本稿は読者投稿コーナーに応募してくれた方からの原稿です。
お世話になっております。以前統合失調症急性期の体験記事を投稿したヤマカワと申します。
本日は、Twitter等で話題を呼んだ『統合失調症体験VR』こと「ヴァーチャルハルシネーション」について書かせて頂きます。
はじめに
発端になったのは@kado_dododoさんのこちらのツイートのようです。
RT、いいねとも非常に数が伸び、以下のまとめが出来るまでになりました。
【動画あり】統合失調症体験ができるVRがとてもしんどいと話題に
実はここで紹介されている体験動画、ネット上で見ることが可能になっています。
こちらのページですね。
バーチャルハルシネーションについて ~統合失調症の幻覚疑似体験~
そんな感じで、「統合失調症体験VR」なるものが大きく日の目を見ることになりました。
冒頭にも少し触れたように統合失調症の体験がある私。
さてさてどの程度リアルなもんなんでしょうかと、軽い気持ちで動画を再生しました。
正直、割とキツイです。
ある程度体調が整っている今だから良いものの、ちょっとつらい時期だとメンタル面がガクッと落ちてしまったかもしれません。
動画冒頭にも注意書きがありますが、現在精神科の疾患で通院中の方、精神的に不安定な自覚のある方は、安易に動画を見ないようにして下さい。
そして注意書きをしておいて難ですが、本稿ここから先では、動画のネタバレを多く含む内容をお届けします。興味のある方は先にリンク先の動画を見てから読み進めていただけると幸いです。
バーチャルハルシネーション(VH)とは
動画の紹介に入る前に、そもそもここで使われているものは「バーチャルハルシネーション」と呼ばれているようなので紹介しておきます。英語のスペルは”Virtual hallucination”。VHとか略されるらしいです。
ざっくり言うとヴァーチャルリアリティ(VR)の技術を医療用に応用したものだそうです。
VRについては近年特に話題になっていますね。Oculus Riftであるとか、PSVRなんかが有名です。
ヘッドマウントディスプレイっていう機器を頭に装着して、実際に振り向いたりするとそれに応じて表示される映像が変わっていく、という何とも未来感溢れるデバイスで、アラサーど真ん中の筆者にも少年の心を思い出させてくれます。お高いけどね。
で、この技術を応用してヤンセンファーマさんっていう会社が開発したのがこちらのバーチャルハルシネーションだそうです。このへんのページとか参考になります。
さて、ではいよいよ問題の動画の紹介に入っていきましょう。
動画の紹介
(1)軽蔑、嘲笑、命令してくる幻聴 (1:33~)
①概要
一発目からなかなかディープなケースです。大学受験が上手く行かず浪人したあきらさん。昼食を買いにコンビニへ行きますが商品を選ぶ時から幻聴が発生します。盗聴や情報流出を疑うようにもなってしまい、幻聴に対して「うるさいうるさい!」と口に出しちゃって周囲の客から不審がられた、というお話です。
②ここがリアル
一発目ですが 、いきなり私の実体験に最も近い幻聴だなぁと感じました。ポイントは4つくらい。
a.コンプレックスを容赦なく突いてくること。
b.盗聴、監視されること
c.思考の焦点が狭く、それでいて大きく揺さぶられること。
d.哀れみ、嘲笑されること。
a.について。もともとの思考の発端は「お金がないこと」だったり「親に迷惑をかけられない」だったりですが、幻聴はそれらを「大学受験が上手く行かなかったしね」と結びつけ「お前って大事なところでいつも失敗するタイプだよな」と人格を否定する言葉をぶつけてきます。人に知られたくないこと、知られているはずのないことが漏れている。何で!? どうして!? と疑心暗鬼になってしまう部分が、とてもリアルです。終盤には「いつも同じ服着てる」とか「センス無いよね」と言った幻聴も聞かれますね。これも恐らく、あきらさん自身がファッションへの関心が弱く、コンプレックスに思っている部分が表面化したものかと思います。
b.について。ここは幻聴というより妄想ですが、自分を監視されている、盗聴されている、と言うのはよく見るケースだと思います。一般化されている語彙で被害妄想とありますし、少し馴染みが薄いですが注察妄想なんて言葉もあります。どこからどう見ているか分からないのが怖いし、きっと見ている人たちは自分のことをあざ笑ったりしてるだろう、とか考えて震え上がった経験が、私にもあります。想像すらできない巨大な絶大な何かに弄ばれる気持ちというのは、なかなかに辛いものです。
c.について。例えば動画では、 直前までおにぎりのことを考えていたのに、ヘッドホンをしている人を見たら盗聴に興味が集中しますね。多分この人はヘッドホンのお客さんを見た瞬間に意識が全てそこに集中してしまい、空腹感とかおにぎりとかはもちろん、お金がないこととか大学受験失敗のトラウマとかも頭から消えてます。外界の些細な刺激に思考がめちゃくちゃ振り回されます。なので、急性期の状態だと一つのことをずっと考え続けることが非常に難しくなります。思考がどんどん飛び飛びになって、文字通り統合が失調する感覚です。
d.について。終盤では幻聴が「かわいそう」「ああはなりたくないよね」とあきらさんを見下してきます。幻聴同士が自分のことを噂している、というのは私も感じたことが有ります。陰口を言われているかもしれない、と不安になる経験は多くの皆さんにあるかと思いますが、それが現実に聞こえてくるようなものかと思います。ぐっさり心に突き刺さりますし、自信とかプライドとか、基本的に音を立てて崩れていきますよね
③ここは微妙?
そんな感じでだいぶリアルだなぁと思ったのですが、あえて言うならば「当事者の思考がちょっとぎこちないかなぁ」という印象を持ちました。
例えば「ここにいては危険だ、早くこの店を出なくては」とかいう脳内の声がありますが、この辺とかちょっと頭の中の言葉にしては白々しいというか、台詞としての出来が微妙な印象を受けました。「監視されている……僕の情報をあちこちに流すなよ」とかもちょっとぎこちない言葉選びに思いますね。
「秘密が漏れてんのこの店に来たせいじゃね? 絶対ヤバイってこの店」みたいな感じの砕けた言葉選びの方がリアリティ増すのかなぁとか思います。
(2)行動を予言してくる幻聴 (3:42~)
①概要
続いては転職を繰り返す女性、あけみさん。新職場で一週間経過したところ。周囲は好意的に声をかけてくれますが、名前と住所の入力という簡単な業務を依頼されると、「あなたはミスをする」「またクビになる」などと断言してくる幻聴がしてしまいます。実際に最初から入力をミスし、苦しみのあまり声を上げてしまい、上司に心配されるというお話です。
②ここがリアル
仕事のストレスが原因で発狂した私には想像できすぎる話です。あの頃のことは思い出したくないです。
a.どんなに周囲が好意的でも、病気の時は全くフォローにならないところ
b.幻聴を発している人の他人事のような視点
c.他人の声に「私は間違える」という言い方が混ざっている。
d.すぐ修正可能なものなのに、誰にも迷惑をかけないのに、小さなミスで心がメチャクチャになるところ
a.について。実際映像を見てみると笑顔で挨拶してくれたり「慣れた?」とか「何かわからないことあったら聞いてね」とか言ってくれたり、職場はとても親切なのです。
ここは完全に個人の体験からなんですが、周囲が優しすぎたり、出来すぎたりすると余計に辛く感じることがあります。丁寧に説明され、笑顔で対応されると「こんなにしっかり支えてもらってるのに出来ない自分の馬鹿さ愚かさ無能さ無価値さ」に反吐が出そうになりますし、ミスをフォローしたり許したりしてもらえると「そんなこと言ってる割に本音では自分を見下してるに違いない」と考えちゃうし、その後すぐに「あんなに素晴らしい人なのにそんな疑いの目で見ちゃうなんてやっぱり自分が狂ってる」という方向で自分を責めてしまい、結局消耗して自滅します。妄想著しい時の優しさ配慮は、まさに焼け石に水ってやつかと思います。悲しいけどね。
b.について。例えば 「見るからに失敗ばかりしそうな感じじゃん」などと、他人事のように、上から目線で、こちらの感情を弄ぶように、意地悪く言ってくるシーンがありますね。健常者の思考なら、なかなか自分のことを「見るからにダメ」とは思わないんじゃないのかな、と思います。あけみさんはきっと周りの目や評価がとても気になってしまうタイプで、相手が自分のことをどう思っているかをかなりリアルにシミュレートしてしまう人なのかなぁ、と思いました。
c.について。中盤にPCの画面が紫色になって歪む演出が出るのに少し先駆けて、呪いのような言葉がどんどんかけられてきます。「あなたはミスをする」「またクビになる」「あなたは絶対間違える」……想像したくもない状況ですが、それが途中から「わたし」に切り替わります。とても印象的ですよね。まるで幻聴が自分の自我まで脅かしてしまうかのような。最初は他人の声だったのに、途中から自分の考えに変わってきてしまい、思考が乗っ取られたような感じすらしたのではないでしょうか。
d.について。PCのデータ入力というのは基本的にBack SpaceやDeleteなどでいくらでも消せますし、何度でも入力し直せるものです。この原稿を書きながら、筆者も何度も何度もタイプミスをしては直し、文字を綴っております。このあけみさんのケースでも、ちょっと入力をミスしたところで普通に削除し、普通に記入を続けていければ誰も困りはしないわけです。でもそれができず、入力をミスしたのは「予言が成就したからだ!」と思い込んでしまう。「一つ目から全然できない……」と自分の無能力な部分に思考を強烈にフォーカスしてしまっています。まるでこの世の終わりみたいな絶望感に包まれてしまいます。ホントに、泣けてくると思います。
ちなみに筆者の急性期のケースでは、スマホに文字を入力するとき、同じミス(例えば「佐東」さんを「佐藤」さんに直さなきゃ、と思いながら何度も「佐東」さんと入力してしまうようなもの。焦って予測変換の一番目に来るものを選んで確定してしまうようなもの)を繰り返して「どうしてどうして?自分の行動誰かに操られてる?」みたいになりました。
③ここは微妙?
さて、あけみさんのケースでちょっと気になったのは「ここまで否定的な妄想ばかりだと多分一行目すら打てずに叫び出すのではないか」ということです。
失敗を予言する言葉の洪水が襲い来る一方では、「さっさと仕事しろよ、クビにするぞ」みたいな脅しめいた幻聴、妄想もあったんじゃないかなぁというのが筆者の考えです。一方で「仕事しろ」と鞭打たれ、一方で「失敗する」と予言され。色々な幻聴の間で板挟みになってストレスが急上昇したのではないか、と思います。
(3)生活音に重なって聞こえてくる幻聴 (6:12~)
①概要
20代女性、はるこさん。仕事を辞め、両親と暮らしています。水道の音に混じって、母親が自分を呼ぶ声が聞こえてきます。母親に確認しても呼んでないらしい。その後はマンションの下の部屋からテレビの音が聞こえてきてうるさいと感じますが、実際には下の部屋は留守だった、というお話です。
②ここがリアル
正直に申し上げると、自分の急性期にはこのような体験がない(自覚がない)ので、想像しての記入になります。
a.自分を呼ぶ声の小ささ
b.テレビの音の小ささ
c.はるこさん(仮名)の演技力
a.について。
一度では聞き取れずに、動画を一度戻して確認した方も多いのではないでしょうか。
この声の小ささが、生活音に重なるものの場合はリアルだと思います。
普通のボリュームで聞こえたら「何?」と普通に返事をしてしまうところ、非常に小さいので自分の中にも「あれ、呼ばれたのかな?」という感覚が残りそうです。呼ばれてないらしいけど、やっぱり気がかりになる。モヤモヤする気持ちは、増幅していきますよね。
b.について。
前二つ、あきらさんあけみさんのエピソードの幻聴に比べて、テレビの音と言われる幻聴も小さいように思います。
人の話し声のようなものが小さく聞こえるような感じですね。
こうした「はっきり分からない、聞き取れない音」が「ずっと流れ続ける」というストレスは苦痛を伴いますよね。
c.について。
はるこさんの、最初の苛立ちから床を叩くまで感情が動いていく様子がとてもリアルです。「まただ……」と気落ちしたところから始まり、少し呻くような言葉になった後、「もう我慢できない」と心を決め、床を叩き始める。「テレビの音止めてよ!うるさいよ! うるさい!」に向かってどんどんクレッシェンドしていきますね。ヒステリックでとてもリアルです。ちなみに言うと、最後に怪訝そうなお母さんが「下のお宅は留守よ」と告げる時に流れる不自然さ・気まずさも、痛いくらいリアルです。
③ここは微妙?
実体験に乏しいためか、このケースについてはあまり疑問点がありませんでした。
敢えて言えば、部屋にもうちょっと生活感が欲しかった。お母さん最後正面に回り込んでくるけど、多分後ろから来てはるこさんの身体を揺すったりとかそういう反応になるんじゃね? とか思うくらいです。
(4)過度におだててくる幻聴(8:56~)
①概要
さて、最後は30代男性のさとしさん。ガソリンスタンドでのアルバイト中に大統領来日のニュースを聞き、「大統領は君の親友じゃないか」との幻聴を聞きます。「大統領に会いに行くから仕事を早退したい」と店長に申し出たり、タクシーで「東京まで行きたい。お金は大統領が払ってくれる」と本気で言うなど異常行動を取るお話です。
②ここがリアル
幻聴は悪いものだけではない、というのは私の実体験でもそうです。
謎のおだてに乗って妙に有頂天になりますね。神様になったような気分になって、「自分が触ったものには自分の霊が宿る!」みたいに思い込んでスーパーの品ベタベタ触ってた、なんて話は前の記事にも書きました。
それはさておき、この動画のリアルなところです。
a.一度やることを確信したら訂正できないこと。
b.一生懸命バイトしつつも、おそらく現状に不満を持っていること。
a.について。
これも幻聴というよりは妄想への言及に近いですが。一度「電波を受信するようなイメージ」で頭に刻み込まれたことは、本人の中に強い確信を生んで異常行動に駆り立てます。ちなみに妄想の定義は「事実と異なる内容を」「根拠なく確信し」「説得により訂正不能」となっています。この動画でも店長さんが冗談だと思って笑い飛ばしますが、そんなことは全くおかまいなしになりますね。「これは選ばれし自分にしかわからないことであり、凡俗の諸君には到底理解し得まい」なんていう考え方も、この背景にはある気がします。
b.について。幻聴の中に 「こんなところでアルバイトしている存在じゃない。もっとやるべきことがある」というもの見られますね。自分の能力を大きく見ていたり、境遇に不満があることが感じられます。さとしさんも30代になるのに正社員での仕事ができずバイトだったり、きっと周りにはもっと稼いで結婚してて子どももいる友人知人がいてご自身と比べてしまって……つまり、恐らく発症前も漠然とは感じていたであろう自分を大きく見せたい気持ちや現状に抱いている不満が、病気によって増幅された形に見えました。
③ここは微妙?
今回のエピソード、妄想の分類で言えば「誇大妄想」ってやつになるかと思うのですが、「誇大妄想に陥っている割には態度が丁寧すぎかも?」と思いました。
例えば店長さんが「困るよ」と早退を断る場面で、「こんなバイトと大統領の用事、どっちが大事だと思うんですか!?」とか食って掛かるぐらいの感情の起伏があるものかなぁなんて思いました。多分私の急性期だったら「あなたの一言で日本とアメリカが戦争になりますよ! 大惨事!」とか言ってます。まぁ「大統領の友人として紳士的に振る舞わなければ」という思いがあったのなら納得できますが。こういった妄想の発展の仕方は人により多種多様だと思います。
(5)最後の演出(12:06~)
①概要
さて、エピソードが全て紹介し終わり、ナレーターが解説をして、さぁ終わりかなぁというタイミングで一つ演出が有ります。これはぜひ動画を見ていただきたい。
上記4つのケースより遥かに強烈です。
この演出のためにこの動画が作られたと言っても過言ではないと思います。
もう一度リンクを貼っておくので、まだ見てない方はリンク先の上の動画の12分くらいから見てみて下さい。
http://www.mental-navi.net/togoshicchosho/virtual/
視聴を終える前に、丁寧な女性の声でスイッチを切るように指示があります。ところが実際の機材にはスイッチなど無く、どうすればいいかわからなくなります。そんな中「早くしろよ」「こんな簡単なことも出来ないの?」「後ろ行列が出来てるの気付いてないの?」「スイッチ、スイッチ、スイッチ!」と急かされます。
②ここがリアル
正直、心がざわつきました。何言われるか知ってても見るの嫌です。
a.視聴者自身の行動に訴えかけてくる。
b.不意打ち
c.実際にないもの=出来ないことなのに、「こんな簡単なことも出来ないの?」と言われる。
d.思考の焦点が狭くなる。「スイッチ」ということしか考えられなくなる。
a.について。自分自身が行動しようと思った時に、指示通りに出来ないという矛盾に直面するところが一つリアルです。
b.について。唐突にこの演出が始まることもリアル。幻聴に前触れはありません。周囲の刺激で脳にスイッチが入れば、唐突にでも流れ込んでくるものかと思います。
c.について。「こんな簡単なことも出来ないの?」と、上から目線で見下される。他にも自分のせいで周囲の人達の不快を買ってしまう恐怖が波のように襲ってきます。
d.について。言葉のテンションはどんどん高まってきます。女性のアナウンスもどんどん間隔が短くなり視聴者を急かします。色々な表現で嫌味を言ってきた幻聴も少しずつ単語の種類が削がれ、最後はスイッチスイッチと繰り返すようになりますね。急性期の「思考の焦点が狭くなっていく様子」が、手に取るように分かると思います。
③ここは微妙?
あまりに強烈すぎて体調崩す人出そうです。そのくらいですかね。
リンク先の下の動画について
リンク先にはもう一つ動画が貼られています。
こちらは3DCGで作られた映像ですね。こちらは幻聴の言葉の汚さあたりがリアルです。 実写に比べると説得力が落ちるので、上の動画に比べると少し体感的には印象が弱いですね。お時間のある方はこちらも見ていただければと思います。
全体を通しての雑感
さて、では全体を通して思ったことをつらつらと。あくまで筆者個人の体験から推察したものであることにご注意いただければと思います。
1.リアルだと思った点
総じて思ったのは「幻聴の内容が当事者の境遇や経験に大きく依っているな」ということです。
あきらさんで言えば大学受験失敗というコンプレックス、あけみさんで言えば前職で怒鳴られたトラウマなど、当事者が思い出したくない、目を背けているような部分が幻聴の内容に大きく影響を及ぼしています。そういう痛いところをえぐるようにえぐるように降り注ぐ言葉の雨。当事者の苦悩が想像しやすくなっているのでは無いでしょうか。
2.リアルだと思わなかった点
ホントにいちゃもんレベルの話になりますが「そもそも脳内の体験を動画で伝えることには限界がある」ということも、今回の動画を見て思いました。 あくまでも筆者の体験ですが、幻聴や妄想はもっと瞬時に頭の中にひらめいていくもののように思います。理路整然ともゆっくりともしていません。
例えばあきらさんのケースで、ヘッドホンをした男性を見た瞬間に
1.「盗聴」を確信し
2.マイクがどこにあるかを検討して
3.一番身近な携帯電話が原因だと確信し
4.問題解決のためにどうすべきかを考え
5.端末を壊す、放り投げるなどの案もかすめて検討しながら
6.電池を外して機能停止させる。
動画ではここまで12秒くらいかかってますが、1~5に関しては多分0.5秒かからないくらいで思考が巡っていくと思います。
こうした思考を言葉や映像を通じて伝えなければならないので、その点はリアルには迫りきれないかと思います。というか、そこをリアルにするには相当ヤバイ技術の実現を待たなければならない気がします。
それでも、敢えて言えば最後の「スイッチを押してください」と責めてくる演出のとき、恐らくあなたの頭を過ったであろう「気持ちの悪さ」や「違和感」が一番幻聴の体験としてリアルなものだと思います。その「気持ちの悪さ」や「違和感」が我慢できないくらい昂ぶり、自分を飲み込んでいくという状態が、幻聴・妄想の根幹なのではないかと思います。
最後に
ここまで長々と私見を書いてきましたが、最後のまとめとして大切なことを述べておきたいと思います。
動画の最後でも触れられていますが、
・統合失調症は誰でも罹りうる病です。
ですが、薬物療法や精神療法で日常生活を送れるくらいには回復することが出来るものです。
・一人ひとりが病気を理解し、当事者を支えていくことが大事です。
統合失調症に興味を持つきっかけとして、この動画を見ることは大変素晴らしいことだと思います。くれぐれも、体調に影響を及ぼさない範囲でご覧くださいませ。
それでは、最後までお読み頂きありがとうございました。
また会う日まで。
【投稿者】
ヤマカワ さん
【プロフィール】
ことばとおんがくがすきなめんへらさん。
社会人一年目で統合が失調。そろそろ良くなって来たかな~というところで弟が自殺。
諸々乗り越えた今では精神保健福祉士として、メンがヘラってるみなさんと楽しく過ごしています。
Twitter:@ymkwlab
ブログ:http://ymkwlab.hatenablog.com/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCv8OYVFH9Sg2MleK1uEHy-A
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