失脚のヤヌコビッチ氏「憲法違反のクーデター」と非難
【ロストフナドヌー(ロシア南部)杉尾直哉】2014年2月にウクライナの首都キエフで起きた騒乱(100人以上死亡)で反政府デモに参加した民間人を銃撃した罪に問われた元警察特殊部隊5人の公判が29日、キエフの裁判所で開かれた。騒乱を受けて失脚したビクトル・ヤヌコビッチ前大統領(66)が亡命先のロシア南部ロストフ州の裁判所に出廷。ビデオでつないで初めて証人調べに応じ、「無実」を訴えた。
ロシアに脱出して以降、ヤヌコビッチ氏が公開の場で長時間にわたって自身の立場を表明したのは初めて。証人調べに応じたのは、ウクライナ紛争が長引く中、ポロシェンコ政権が支持を急速に失っていることや、米国で親露的発言を繰り返してきたトランプ次期大統領への政権交代が決まったのが理由とみられる。
ヤヌコビッチ氏は約5時間にわたって「(反ロシア派の)過激派が騒乱を起こしたことが、クリミア半島のロシアへの編入やその後のドンバス(ウクライナ東部)の紛争を招いた原因だ」などと訴えた。「治安機関に対して、自分は『流血の事態を避けよ』としか命じていなかった」と強調し、騒乱を「憲法違反のクーデター」と非難した。
公判後に記者会見したヤヌコビッチ氏は「(亡命後)初めて自分の考えを表明できて満足している。騒乱の真実を明らかにするため、責任を果たしたい」と述べた。