聞き手・石橋亮介
2016年11月28日06時59分
■三井物産 安永竜夫社長に聞く
働き方の改革には、企業の意思決定を含む業務工程の効率化や仕事の中身の見直しと、個々人がプロの職業人として自覚を高め、働き方を工夫することがセットで必要だと考えている。
商社は国内の仕事もあれば地球の裏側が相手の商売もあり、出張も多い。全員が同じ時間帯で働くことは不可能だ。フレックスタイムや在宅勤務などを利用し、子育てなどのライフステージにあった働き方を確保しつつ、仕事のスケジュールと結果の出し方を管理者とともに綿密に話し合うことが欠かせない。
働き方改革と企業のパフォーマンスの向上は並走する関係だ。仕組みや制度の改善とあわせて、個人がより結果を出すための努力も求めたい。当然、時間給ではなく限られた時間の中で努力した人を評価する仕組みも必要になる。
残業が少ない欧米でも、大きな仕事では徹夜もいとわず、そのかわりしっかりと休みも取る。本人が働き方を工夫し、企業も受け入れている。日本でもそうした自発的な働き方ができるようになるのが理想だ。
社内の業務工程については、意思決定の簡素化を進めている。案件をつくる段階から法務や経理の担当者と一緒に取り組むことで、会議の数を減らし投資判断もスピードアップできる。業務工程の見直しは、一つの仕事にかかる時間や求められる結果を明示することにもなり、長時間労働を許してきた日本の企業風土を変えることにもつながるはずだ。(聞き手・石橋亮介)
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