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【シゴトを知ろう】将棋棋士 編

  • マイナビ進学編集部
  • 2016.11.29
【シゴトを知ろう】将棋棋士 編

将棋は日本における最も歴史の古い、代表的な娯楽の一つ。将棋棋士は「プロ棋士」とも呼ばれ、娯楽としての将棋とは一線を画し、厳しい勝負の世界で生きています。今回は女流棋士として活躍する長谷川優貴女流二段に、お話を伺いました。

厳しく楽しい将棋の世界

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
 
女流棋士はプロの女性棋士のことです。将棋を指すことを職業にしているという点では共通しますが、女流棋士は男性のプロである棋士とは異なり、女性のみで構成された団体に所属し、プロになる道のりも別のものになっています。
現在、棋士を目指して頑張っておられる女流棋士もいますが、なかなか壁は厚いのが現状ですね。

最も重要な仕事はもちろん対局です。女流では年間6試合あって、トーナメント形式になっていますので、勝ち進むほど対局数は増えていきます。ですので、全部に初戦負けしてしまうと、年間6局ということになってしまうわけですね。

試合以外の仕事としては、テレビの将棋番組などでご覧になったこともあるかもしれませんが、対局の際の「聞き手」をしたり、様々な将棋関連のイベントに呼ばれたりもしますし、一般の方に教えながら将棋を指す指導将棋をしたりもしています。

<対局のある日のスケジュール>
10:00 対局スタート
午前中 対局
12:00〜12:40 昼休憩
午後〜対局終了まで 対局
※終了時間は試合によるが、長引いて翌日に持ち越すことも

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
やはり将棋が好きなことが仕事の楽しさになっています。勝負の世界は厳しくて、実際に女流棋士になってみてこんなにも厳しいんだとすごく思ったのですが、それでも実力の世界ですから、勝負がはっきりと出るということが私は好きなんだと思います。

私は現在21歳で、どの現場でも年上の方々に囲まれているという状況なのですが、皆さん本当に優しくて良くしてくださいます。また、小学生の時から将棋一筋でしたので、イベントなどの仕事を通じて、企業などを訪問する機会があると、いろんな世界が垣間見えて新鮮です。この仕事を通じて色々な経験を積ませてもらっています。
 
 
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
 
将棋棋士には引退規定というものがあり、成績が悪ければ引退しなければなりません。女流棋士に関しては、成績下位者には「降級点」というものがつけられるのですが、これが3つ蓄積すると引退しなければなりません。そういう中でやっているという厳しさはありますね。

また、私は元々引っ込み思案で、人前に出たり、人前で話したりすることが苦手なのですが、聞き手やイベントの仕事ではそういう機会も多く、その度に緊張します。

子供の頃から女流棋士になると決めていた

Q4. どのようなきっかけ・経緯で将棋棋士になりましたか?
 
両親が共働きで忙しく家に不在がちでしたので、子供の頃は祖母に面倒をみてもらっていました。幼い頃、祖母に遊んでもらいたくても、祖母は大好きな将棋のテレビを見ていて遊んでくれなくて。
何とか祖母に相手にしてもらいたくて、祖母が通っていた(祖母の従兄弟である)野田敬三六段の主催する教室の「こども教室」に行ってみたことがきっかけです。
初めは言われるがままに通っており、将棋に対する思いもあまりなかったのですけど、将棋を知るうちにどんどん面白くなり、小学6年からは道場にも通うようになりました。
 
 
Q5. 将棋棋士になるために何を学びましたか?
 
中学1年の時に女流棋士になりたいと心を決め、2年生の時に親にも相談しましたが、まずは進学を優先しなさいということで反対されました。けれどあきらめきれず、中学3年で女流棋士になるための資格を得るため、日本将棋連盟の「研修会」に入会しました。
ここで一定の勝ち星を上げていけば女流棋士になることができます。そして私は高校1年生でプロになりました。


Q6. 進学についてはどのように考えていましたか?
 
中学1年生の頃からずっと女流棋士になると決めていて、幸い研修会入会後、1年半あまりでプロになることができ、恵まれていたと思います。大学進学は最後の最後まで迷ったのですが、私は器用でないので、両立は難しいと判断し、進学はしませんでした。

あきらめない、続けることが大事

Q7. どういう人が将棋棋士に向いていると思いますか?
 
対局は長時間にわたるので、将棋といえば集中力がすごい、というイメージがあるのではないかと思います。私は将棋では集中力はありますが、他ではそうでもないですし、むしろ将棋をすることで集中力を身に付けられる面があると思っています。 
まずは将棋が好きなことが一番大事ですが、逃げも隠れもできない実力の世界にあって、負けてもあきらめず、何度でも立ち上がって来る粘り強さを持った人が向いているのではないでしょうか。

 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
 
何にせよ、好きなことをするのが一番だと思っています。そして続ける事。私も負けたら辛いし、やめたくなったりすることもあるけれど、あきらめず続ける事が一番大事だと思っています。これからもプロとしてやれる限り、頑張って続けていきます。みなさんも好きな事をあきらめず、続けてください。
  

お話を伺っていて、将棋棋士の世界はアスリートの世界に似ていると感じました。一切ごまかしのきかない一対一の真剣勝負で全てが決まる。本当に厳しいけれど、清々しい世界でもありますね。長谷川さんが将棋をすることで集中力が高まったように、仕事に就いた後で能力が鍛えられることも多そうですね。
 
 
【profile】日本将棋連盟関西本部所属 長谷川優貴 女流二段
公益社団法人 日本将棋連盟ウェブサイト

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