目次
1 倫理学・政治哲学と宇宙開発――リベラリズムを中心に
1-1 応用倫理学のなかの宇宙倫理学
1-2 ミドルレンジの宇宙倫理学の困難
2 「スペース・コロニー」の倫理学
2-1 ジェラード・オニールの「島」
2-2 オニール構想の吟味
3 宇宙植民に意味はあるか?
3-1 有人宇宙ミッションの意義?
3-2 野田篤司の小惑星
4 恒星間航行
4-1 有人恒星間航行の絶望的困難
4-2 「人間」の意味転換
5 自律型‐人格的ロボット
5-1 人格的ロボットの倫理学
5-2 未来社会のひとつのイメージ――あるSFまんがから
6 「宇宙SF」の現在
6-1 宇宙SFの変質と解体
6-2 ポストヒューマンSFの台頭
7 リベラリズム再審
7-1 「飛躍」の論理
7-2 応用(宇宙・ロボット)倫理学から倫理学原理へ
7-3 ハンナ・アーレントの宇宙開発論
おわりに
補論1 ニック・ボストロムの「超知能」と「シングルトン」について
補論2 デイヴィドソン=ヒース的道徳実在論
註
参考文献
あとがき
索引
内容説明
宇宙開発は公的に行われるべきか、倫理的に許容されるスペース・コロニーとはどのようなものか、自律型宇宙探査ロボットは正当化できるか――
宇宙開発のもたらす哲学的倫理的インパクトについて考察する、初の宇宙倫理学入門!
●著者紹介
稲葉振一郎(いなば・しんいちろう)
1963年東京都生まれ。明治学院大学社会学部社会学科教授(社会倫理学)。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。岡山大学経済学部講師、助教授を経て、2005年より現職。著書に、『ナウシカ解読 ユートピアの臨界』(窓社)、『リベラリズムの存在証明』(紀伊國屋書店)、『経済学という教養』(ちくま文庫)、『オタクの遺伝子長谷川裕一・SFまんがの世界』(太田出版)、『「資本」論 取引する身体/取引される身体』(ちくま新書)『モダンのクールダウン』『「公共性」論』(NTT出版)、『社会学入門〈多元化する時代〉をどう捉えるか』(日本放送出版協会)、不平等との闘い』(文春新書)ほか。