イギリスの犬の公的殺処分数は人口比では日本と同程度~民間の殺処分数を加えれば、その数倍~10倍の犬を殺処分している
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(Summary)
As number of stray or abandoned dogs in UK reaches 110,000 charity reveals that 21 are put down every day
・Annual survey by the Dog's Trust reveals heartbreaking statistics in 2013
・More than 7,000 unwanted dogs were destroyed by councils across country
・Charity says people in survey greatly underestimated number of UK strays
・Also claims people don't do enough to help missing dogs get found
・But research did show number of strays had dropped by 1% from 2012
日本で喧伝されている海外の動物愛護情報に、「イギリスは犬猫の殺処分ゼロ、もしくはほぼゼロに近い」というものがあります。しかしイギリスでのアニマルシェルターにおける犬の殺処分数は7,085頭(2014年)で、人口比では日本とほぼ同数です。これはあくまでも「公的殺処分」だけの数字です。民間の動物保護施設では、その数倍の数を殺処分しています。さらにイギリスでは、犬のブリーダーやトレーナーなどの管理者・所有者が、私的に拳銃などで犬を殺処分することは合法です。公的殺処分以外の犬の殺処分数を加えれば、イギリスでは日本の数倍~十倍以上の数の犬を殺処分していることになります。
「殺処分ゼロ」、もしくは「ほとんどゼロ」の国として頻繁に日本で取り上げられる国はドイツとイギリスです。ドイツに関しては、私は何度も行政が制度として行う「公的殺処分」も厳然として存在し、相当数が殺処分されていることを紹介してきました。ドイツでは連邦法と州法で飼育を禁じる犬種があり、例外的に厳しい飼育条件を満たさないかぎり、行政がそれらの犬を押収して殺処分しなければならないと各州法に規定があります。また、咬傷事故を起こした犬や行動などにより危険と判断された犬も行政が押収して強制的に殺処分する権限があります。例えば*1、ヘッセン州では、人口比で東京都の6倍数の犬を殺処分していました。これらについては、私は記事で取り上げています。
そのほか、ドイツ連邦共和国全土では、1年で警察官が犬などを射殺する数は1万2,000頭に及びます。そのほか狩猟法により浮遊犬猫を狩猟駆除することがハンターの責務とされ、ドイツ全土で年間40万の猫と6万5,000頭の犬が事実上殺処分されています。それらの広義の殺処分数を併せれば、ドイツにおける犬猫の殺処分数は、人口比で日本の10倍を超えます。
今回は、イギリスを取り上げます。イギリスの、アニマルシェルターの2014年における犬の収容数や殺処分、一般譲渡数などの統計が発表されています。
As number of stray or abandoned dogs in UK reaches 110,000 charity reveals that 21 are put down every day 「イギリスの慈善団体によりイギリスの野良犬または捨てられた犬の数が年間11万頭に達し、毎日21頭が殺処分されていることが明らかになりました」。2014年9月7日、から引用します。
Annual survey by the Dog's Trust reveals heartbreaking statistics in 2013.
More than 7,000 unwanted dogs were destroyed by councils across country.
Charity says people in survey greatly underestimated number of UK strays .
At any one time there are more than 110,000 stray or abandoned dogs in the UK, with 21 dogs a day being put down by local authorities, research has shown.
But it's not all bad news as the overall numbers of stray and abandoned dogs handled by councils has actually fallen one per cent this year from 111,986 to 110,675, and 10,084 dogs were reunited with their owners thanks to electronic chips.
Once the dog is in local authority care it is only seven days before their pet can be transferred to a new owner or they are put to sleep if a new home cannot be found.
A huge 7,085 dogs were destroyed by councils over the year.
We're calling on dog owners across the UK to come along to one of our free microchipping events at www.chipmydog.org.uk so that we can continue to improve the situation ahead of the change in law in Wales in 2015 and England in 2016 which will make microchipping compulsory.
ドッグ・トラスト(Dog's Trust)の年次調査では、2013年の悲惨な統計が明らかになりました。
7,000頭以上の不要な犬が、イギリス全土の評議会によって(公的)殺処分されました。
慈善団体は、調査に参加した人達が、イギリスの悲惨さを過小評価している(殺処分の実数はさらに多い)と話しています。
イギリスには11万頭以上の迷惑犬(浮遊犬)や捨てられた犬がいますし、1日に21頭の犬が地元当局に殺処分されています。
しかし協議会で処理された迷子と捨てられた犬の総数が事実、今年は111,986頭から110,675人へと1%減少し、マイクロチップのおかげで10,084頭の犬が飼い主と再会できたことは、すべてが悪いニュースではありません。
犬を地方自治体が保護すると、飼い主が見つかるか、そうでない場合は新しい飼い主に譲渡しますが、安楽死させられるまでにはでわずか7日の猶予しかありません。
1年間で、7,085頭もの莫大な数の犬が協議会によって(公的)殺処分されました。
私たちは、2015年のウェールズでの法律変更に先立って状況を改善することと、 2016年にイングランドがマイクロチップ化を義務化するのに先立って、イギリスの犬の飼い主に対してwww.chipmydog.org.ukの無料マイクロチップイベントの1つに来てほしいと呼びかけています。
イギリスでは、年間110,675頭の犬が収容されます。そのうちの7,085頭の犬が殺処分され、収容数に占める殺処分割合は6,4%です。飼い主に返還される数は10,084頭で返還率は9,1%です(マイクロチップによる飼い主特定数のみ)。
一方、日本の犬の殺処分統計を見てみます。犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況から引用します。
・犬の殺処数と引取り数に占める殺処分数割合~15.811(殺処分数)/46.649(引取り数) 33.9%(殺処分率)
・犬の飼い主返還割合~13.220(返還数)/46.449(引取り数) 28.3%
以上より、イギリスと日本の犬の収容数(引取り数)に占める公的殺処分割合はイギリスは日本よりかなり低いと言えます(イギリスはマイクロチップによる飼い主特定数のみ)。対して飼い主への返還率は日本の方がイギリスより大変高いことがわかります。
さらに人口比で犬の公的殺処分数を比較すれば、日本の人口、1億2,711万人(2016年)は、イギリスの人口、6,318万人(2015年)の2,0倍です。つまり人口比では日本とイギリスの犬の公的殺処分数はほぼ変わりません。つまり犬の公的殺処分数に関しては、「イギリスが日本と比べて著しく少ない」とは言えないのです。
さらに上記の統計は、イギリスにおける行政による公的殺処分数のみです。イギリスでは、1週間公的シェルターに浮遊犬を収容し、その間殺処分するのは著しく攻撃性が高い、病気やケガなどがある個体に限られます。1週間が過ぎた後は、民間のアニマルシェルター(著名なRSPCA「英国王立動物虐待防止協会 The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals」もその一つです)に、飼い主返還されず、かつ殺処分されなかった犬を移譲します。一般への譲渡は、民間アニマルシェルターが担っています。イギリスの公的統計で現れる殺処分数は、公的機関が行った限定的な殺処分数のみです。民間へ移譲された後の殺処分数は一切反映されません。
次回以降の記事では、イギリスの民間における犬の私的殺処分について論じます。イギリスでは民間シェルターやブリーダー、犬の営利業者の所有者(レースドッグオーナーやトレーナー)などが私的にたいへん多くの犬の殺処分を行っています。イギリスでは、犬の所有者や管理者が拳銃で犬を殺処分することを禁じていません。民間では多くの犬が拳銃で殺処分されています。水面下で行われる私的な殺処分を加えれば、イギリスは実数で人口比で日本の数倍程度の犬を殺処分していることになるのです。
(画像)
署名サイト、.@DefraGovUK: "BAN THE BOLT" ABOLISH THE USE OF THE CAPTIVE BOLT GUN TO DESTROY GREYHOUNDS IN THE UK.「ボルト銃(家畜屠殺用銃)による犬の殺処分の禁止を求める イギリスでのグレイハウンドを殺処分するために家畜用屠殺銃の使用を廃絶すること」の、家畜用屠殺銃で、殺処分された元レースドッグのグレイハウンドの死体。
イギリスでは、犬の銃による殺処分の非合法化の運動がしばしばありますが、今のところ禁止する動きはありません。イギリスにおける、犬の銃による殺処分の禁止の法改正を求める署名運動が頻繁に行われます。イギリスでは、犬の飼い主や管理者が私的に拳銃で犬を殺処分することが合法です。イギリスでは、レースドッグだけでも、1万(1万5,000という推計値もあります)頭が私的に殺処分されています。
(参考資料)
ペット後進国の日本!殺処分の現状を知って里親制度にも目を向けて!。2016年06月16日。この「ワンちゃんホンポ」というインターネットサイトの記事は、私が見た限り、すべてが「嘘・偏向・誤り」の羅列です。この様なメディアの記事が信じる人がいるということは、まさに日本が「動物愛護後進国」でる証左でしょう。
「1、ドイツには、殺処分するという概念すらありません。2、(イギリスでは)保護された犬のほとんどが新しい飼い主の元へと引き取られています。3、イギリスでも年間に殺処分される犬の数は日本よりも遥かに低い7,000頭余り」。
1、ドイツには犬の公的殺処分制度が有り、相当数の犬の殺処分があります。ヘッセン州は人口比で東京都の6倍です。
2、「新しい飼い主」とは、民間シェルターです。民間シェルターに移譲後、約半数が殺処分されます。
3、平成27年度の日本の公的犬の殺処分数は15,811頭で、人口が半分のイギリスの殺処分数と人口比でほぼ同数です。
*1、東京都の6倍もの健康上問題のない、かつ咬傷事故を起こしていない犬を公的殺処分していたドイツ、ヘッセン州
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