【シカゴ=稲井創一】米航空大手デルタ航空は28日、同社便に先週搭乗した次期米大統領ドナルド・トランプ氏の支持者が機内でヒラリー・クリントン氏を大声で罵るなど騒ぎ立てたことが迷惑行為に相当すると判断。その乗客のデルタ便への搭乗を今後拒否し、同便に乗っていた他の乗客に対して払い戻しに応じると発表した。
一乗客に対する異例の対応をあえて公表することで、ブランド価値を守ると同時に、機内で米国人の乗客に節度ある態度を求める。同日、デルタが公表したエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)の従業員あてのメールで明らかにした。
メールによると、米感謝祭期間中にペンシルベニア州アレンタウンからジョージア州アトランタ行きの便で男性が通路に立ち、大声でトランプ氏をたたえ、クリントン氏をののしったという。その様子は動画共有サイトなどに流れ、他の客が困惑する模様も映し出されていた。
バスティアンCEOは「今ほど社会の緊張感が高まっている時期はなく、機内や施設で礼儀正しさが求められる」とメールの中で従業員に訴えた。今回のトランプ氏の支持者の行動に対するデルタの対応は、中傷合戦に終始した大統領選が米社会に深い亀裂を残した証しと言えそうだ。