子宮頸がんワクチンを打った少女たちが激しく痙攣する――そんな衝撃的な映像をニュースで見たことがある人は少なくないだろう。
2016年7月27日、15歳~22歳の女性63名が、ワクチンの副反応で健康を害したことを理由に国とワクチンメーカーに損害賠償を求め、提訴した。
しかし、ワクチンと被害を訴える少女たちの症状の因果関係は科学的に証明されていない。それどころか、薬害と言えるような因果関係がないことを証明する名古屋市調査の最終解析は、なぜか公開されなかった。医師でありジャーナリストの村中璃子氏は自ら情報開示請求を行いこの結果を入手し、「新潮45」12月号でその内容と騒動の実態を明らかにした。
日本では2013年4月に定期接種化された子宮頸がんワクチンだが、そのわずか2カ月後、「積極的な接種勧奨の一時差し控え」となった。
このころ、冒頭に挙げた痙攣する少女たちの映像のDVDが全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会によって販売され、大きな世論が作られた。
映像について、村中氏はこう記す。
〈ある小児科は言う。
「初めてあの映像を見た時、あぁ、たぶん、よくいる患者さんだねって小児科医同士で言ったものです」
別の小児科医は、
「今はもう誰も子宮頸がんワクチンを打っていないから打っていない子しかいませんが、同じような症状の子は今でもたくさん来ていますよ」
と言った。〉
心の葛藤やストレスが引き金となって、脳に異常は無いのに手足をばたつかせたり全身をくねらせる、といった痙攣発作は、「偽発作」と呼ばれ、精神科や小児科、神経内科の教科書でも紹介される症状だ。
一方で、子宮頸がんワクチンの危険性を訴える医師たちもいる。少女らの症状は広範囲に及ぶため、その治療法もさまざまだが、中には危険なものも含まれる。
記憶障害を訴える10代の少女に高齢者の認知症薬を処方、身体への負担が大きいだけでなく1回約100万円と高額な「血漿交換療法」、少女の身体にメスを入れて脊髄管内に電極を埋め込み電流を送る「脊髄電気刺激療法」……。
〈いずれも、治療の選択が検査や画像など、客観的データに基づいていればよいが、「患者が望むから」「患者が良くなったというから」という理由で施行するのは危険だ。〉
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