2016-11-28

つられて笑う

私の住む地方は、雪は降るが積もりはしない比較的温暖な場所だった。

幼い私は、テレビに映る積もった雪にダイブする芸能人を見て「私もやってみたいな」と家族の前でこぼした。せがんだけわけではない。ただ、本当に口にしただけだった。

その翌年の春休み、日がまだ昇らない時間に出かけることになった。行き先は父しかしらず、家族の誰も目的地を知らないまま車に乗り込み連れられた。

そのまま私は寝てしまい、目を覚ました頃に見た景色は一面の銀世界だった。

一瞬、夢かと思うほど現実味がなく何と言葉にしていいのかわからなかった。

その後、直ぐに自然公園のようなところに車が停められ、私は急いで外に出た。

「雪だ!!!

私に続き、家族が車を降りてくる。初めて見る、一面の雪景色にただひたすら魅了された。

「飛び込んでいいぞ」

父が私にそう告げた。その時、この旅行が私の為だと理解した。

あの時、何気なくこぼした私の言葉を覚えていてくれたことがとても嬉しかった。

雪に思いっきり飛び込んだ。痛みなど、全く感じなくこれが降り積もった雪の力かと感動した。

「痛くないよ!」

起き上がり父に告げれば、私よりも嬉しそうな父がいた。

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