立場の「枠」外すピアスタッフ 集会で存在意義 語り合う
2016年11月28日 福祉新聞編集部統合失調症など精神疾患を経験し、病院や障害福祉サービス事業所などで働くピアスタッフの全国組織、日本ピアスタッフ協会(原田幾世会長)は12・13両日、神奈川県内で第5回全国ピアスタッフの集いを開き、約300人が参加した。
テーマは「ピアスタッフはだれのため?」。初日のシンポジウムでは、ピアスタッフは障害福祉サービス利用者や専門職(精神科医、看護師、相談員など)といった立場の枠を外し、職場や地域のためにもなるとの発言が相次いだ。
千葉県内の診療所「しっぽふぁーれ」の精神科医、岩谷潤氏は、医師が患者に与える「ことば」や「薬」は効果がある半面リスクも大きいのに対し、患者と共にいるピアスタッフの存在は、「慎重さは必要だが大きな効果がある」とした。
患者宅への訪問チームの中で、本人と会って話す機会が多いのは医療職ではなくピアスタッフだという経験を踏まえ、「その存在意義は医療・福祉の『外』にあるのかもしれない」と報告した。
就労継続支援B型事業所などを展開するNPO法人レジスト(川崎市)の斉藤剛理事長は、法人職員の半数を占めるピアスタッフについて「薬や社会資源などの生きた情報を持っているし職員同士の不調も鋭く見抜く」と説明。職場にまん延しがちな「専門職病」から脱けるのに有効だとした。
ピアスタッフとして障害者相談支援事業所てれんこ(仙台市)で働いて6年目の川村有紀氏は「私は物事を精神保健医療福祉の枠の中でしか見ていなかったことに最近気付いた。ピアスタッフは相談者と地域社会をつなぐ『架け橋』でもあるのでは」と話した。
ピアスタッフをめぐっては、厚生労働省が2016年度から研究班を設け、養成のあり方を研究中。審議会ではピアスタッフの存在がサービス利用者だけでなく、ピアスタッフ自身の回復やその雇用者にも有効だと説明している。
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