下腹部が痛い場合は要注意かも?「膀胱炎」の症状と治療法まとめ
冬になりやすい膀胱炎。「おしっこを我慢すると膀胱炎になるよ」なんて言われますが、本当の膀胱炎の原因は?膀胱炎になってしまうとどんな症状があらわれるんでしょうか?実はおとなの膀胱炎と子どもの膀胱炎の原因は少し違うようです。大人と子どものそれぞれの症状について解説します
膀胱炎とは?
膀胱炎とは膀胱が炎症を起こしていること!
腎臓で体内の余分な老廃物や塩分を外に追い出すために尿が作られ、左右の尿管から送られてきた尿を一つのところでためておくための臓器が膀胱です。ちょうどおなかの真ん中あたりにあります。大人の膀胱炎も子どもの膀胱炎も、なんらかのきかっけで膀胱が炎症を起こしている状態を膀胱炎というようです。
膀胱炎の原因はほとんどが、膀胱が大腸菌などに感染することで起こるといわれています。膀胱炎になると、本来の膀胱の働きが落ちてしまいます。
膀胱炎は5種類に分類されます
膀胱炎になってしまう原因によって分類されています。大きく分けると急性と慢性の膀胱炎にわけることができます。
●急性膀胱炎
●慢性膀胱炎
●出血性膀胱炎
●間質性膀胱炎
●放射線性膀胱炎
1.急性膀胱炎
通常「膀胱炎」というと急性膀胱炎のことをさしているようです。それだけ急性膀胱炎にかかる人が多いからです。急性膀胱炎の原因は、細菌感染によるもののようです。急性膀胱炎の原因菌の8割以上は大腸をすみかとする大腸菌と言われています。
ほとんどの場合は尿道から体内に大腸菌が入り込んで膀胱で大腸菌が増殖して炎症が起こります。もともと基礎疾患のない健康な女性がかかる膀胱炎で男性が急性膀胱炎にかかるのは極めてまれのようです。
おしっこを我慢してしまったり、ストレスや過剰な労働や感染症にかかったり無理なダイエットなど免疫力が低下してしまうときに起こりやすいと考えられています。このほかにも体が冷えていることなども原因と考えられます。
2.慢性膀胱炎
慢性膀胱炎は、急性の膀胱炎が慢性化してしまうこともあるようです。また、合併症を伴ってしまい、免疫力が下がることで細菌が膀胱内に入ることを許してしまうことも原因の一つと考えられています。原因となる合併症には、前立腺肥大や腎臓や尿路に結石ができること、また癌、などがあげられます。女性だけではなく男性も膀胱炎を患うことはあります。
急性膀胱炎から慢性膀胱炎になってしまうケースもあるようです。
慢性膀胱炎は症状が軽く自覚症状がない場合もあり、知らず知らずのうちに膀胱炎になってることもあるようです。
3.出血性膀胱炎
出血性膀胱炎は、ウィルスや細菌、抗がん剤の投与、食物や薬のアレルギーなどが原因となる膀胱炎だそうです。その中でも、ウィルスによるものが多く、一般的に出血性膀胱炎といえば、ウィルスが原因とされるそうです。
出血性膀胱炎の原因ウイルスで一番多いものはアデノウイルスだそうです。アデノウイルスは夏風邪の一種で、子どもがかかりやすい膀胱炎のひとつになるようです。アデノウィルスによる出血性膀胱炎は、アデノウイルスに対する薬がないために自然に治るのを待つようです。
症状はハッキリと尿に血が混じっており、白く濁る膿尿の症状がない膀胱炎で排尿時に痛みが出るようです。
4.間質性膀胱炎
間質性膀胱炎は、細菌やウイルスの感染がないにもかかわらず、膀胱に痛みを伴った炎症が発生する膀胱炎だそうです。
膀胱の粘膜が傷つき、さらに粘膜より深い間質や筋層にまで炎症が起きて、膀胱の筋肉が縮まることも知られているようです。日本では10年ほど前から知られるようになりましが、いまだ間質性膀胱炎が発症する原因は分かっておらず、尿中にも感染性の微生物は認められません。
アメリカでは70万人以上が罹患し、うち90%が女性と言われており、特に中高年の女性に多く発症するようです。
5.放射線性膀胱炎
放射線性膀胱炎はがんの治療で放射線治療を受けた後に起こる膀胱炎だそうです。前立腺がんや膀胱がん、子宮がんなどの泌尿器のがん治療で、膀胱が放射線を浴びたことによって炎症を起こす膀胱炎です。放射線治療を受けてから数年後に症状が現れることもあるそうです。
その痛み,間接性膀胱炎かもしれません。 | 医療法人神楽岡泌尿器科
頻尿,尿意切迫感,膀胱痛など,膀胱の病気にはよく見られる症状。これらの症状を主症状とする病気のひとつに「間質性膀胱炎」があります
「放射線性膀胱炎」より参照
若い女性がかかりやすい膀胱炎は?
女性がかかる膀胱炎のほとんどは急性膀胱炎のようです。
女性は体の構造上の理由で男性よりも膀胱炎にかかりやすいと言われています。とくに20~40才の女性25~35%が膀胱炎にかかることがあり、なんと女性の2人1人は一生のうちに1度は膀胱炎になるといわれています。
女性にとっては、とても身近な病気であるといえます。
トイレのあとは注意!
膀胱で尿をためて体外に出すための通り道である尿道の長さは、男性で16~20センチメートル、女性は4センチメートルほどしかありません。女性の尿道のほうが短いので、体の外から細菌が入り込みやすく膀胱炎を起こしやすいことが知られています。
さらに女性の尿道は肛門の近くにあり、トイレの後おしりを拭くときに大腸菌などが尿道から膀胱に入りやす構造でもあるためのようです。
おしっこをした後や排便をした後は、前から後ろに向かって拭くのがよいようです。
性行為に注意!
女性の膀胱炎は、性行為をすることで、細菌が尿道から入り込んで膀胱炎にかかることも多いようです。性行為のときなどに肛門周囲にいる真菌類、大腸菌などの微生物が尿道から膀胱に入りやすいためのようです。膣にかゆみや痛み、違和感などの症状としてでることがあるようです。またカンジタ真菌の感染によって膀胱炎になることもあるようです。
性行為のあとはすぐに、おしっこをし微生物が体の外に出るようにしたほうがよいようです。
なんと若い女性の膀胱炎の75-90%は性交渉が原因とする欧米の報告もあるようです。
生理中のナプキンに注意!
生理の時のナプキンをこまめに取り換えないと、細菌が増殖してしまいます。雑菌を尿道付近に付けたままでいると尿道を伝わって膀胱炎が起こりやすくなるようです。生理中は3時間おきにはナプキンを取り換えて細菌が増える状況を作り出さないようにしたほうがよいでしょう。
生理中は免疫が弱っていて細菌に対する抵抗力も低下している時期ですから注意が必要です。
真菌尿路感染症: 尿路感染症: メルクマニュアル18版 日本語版
「症状と徴候」より参照
「病態」より参照
中高年の女性がかかりやすい膀胱炎は?
中高年の女性も急性膀胱炎にかかりやすいのですが、若い女性とは少し原因が異なります。中高年の女性では閉経後に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。そうすると尿道の周囲にある腟や外陰部の皮膚や粘膜が薄くなり、バリア機能が低下して細菌の感染が起こりやすくなり、何度も再発しやすくなります。エストロゲンの減少が原因で膀胱炎を繰り返す場合には、エストロゲンのクリーム剤や腟内に挿入して使用するエストロゲンの坐薬を使うことで効果があることがあるようです。
また出産回数の多い女性は子宮下垂(子宮脱)や膀胱下垂を起こしやすく、おしっこをした時に膀胱を空にすることが難しくなり、膀胱炎を起こしやすくなります。
他にも原因がわかっていない間質性膀胱炎も特に中高年の女性に多く発症するようです。
「原因」より参照
膀胱炎はどんな症状が出る?
1.やたらトイレが近くなる
1回あたりのおしっこの量は多くないのに、何度もおしっこを出したくなる感覚におそわれます。スッキリとおしっこを出した感覚が得られず、まだ残っている感じがする(残尿感)こともあるそうです。症状が強いときは、10分間おきにトイレに行きたくなることもあり、さらに悪化するとトイレから出られなくなるくらいになることもあるようです。
2.おしっこをするときに痛む
トイレにて排尿時に、膀胱が収縮して尿を出します。その際、炎症を起こした膀胱が刺激されてい痛みが出ます。または排尿が終わる直前が一番痛むといわれています。痛む場所は、膀胱以外にも尿道の入り口が痛むこともあります。膀胱炎は、差し込むような痛みや、下腹部を刺されるような痛みがあるそうです。
3.尿の色が濁る
膀胱炎になると、細菌が尿の中で増殖し、白血球や炎症を起こした膀胱の粘膜がはがれたりして尿が白く濁ることがあるそうです。 尿に膿のようなドロッとしたものが混ざることもあり、臭いもきつくなることが多いようです。
4.尿に血が混じる
尿の色がピンクやワイン色をしている、尿に血が混じるなど、いわゆる血尿が出ることがあるようです。
肉眼で確認できる尿の色の変化のほかに尿検査で、「おしっこに血が混じってます」とか「尿潜血陽性です」といわれて尿に血が混じっていることがわかることもあるようです。
尿に血が混じる血尿は、尿を作る腎臓や尿管、尿道、膀胱が病気があるようです。
ハッキリとした症状がでないことも
膀胱炎の初期のころ、つまり細菌に感染したばかりはハッキリとした症状があらわれないことがあります。
また膀胱に細菌が感染していにも関わらず症状が出ていないケースが高齢者には多いようです。
「症状」より参照
膀胱炎がひどくなると腎臓にも症状が出る
膀胱炎にかかりはじめのころはハッキリとした症状が出ないこともあるようです。また症状が出ているのにもかかわらず放っておくと悪化して恐ろしいことに腎臓にまで細菌が達して腎盂腎炎(じんうしんえん)に発展してしまうようです。では、膀胱炎が悪化して腎盂腎炎(じんうじんえん)になってしまうとどのような症状が出るのでしょうか?
1.発熱・悪寒(おかん)・寒気・全身倦怠感
通常の膀胱炎ですと熱が出ることはないようです。ところが膀胱炎の症状が進むと細菌が膀胱から腎臓にまでさかのぼり、腎臓が炎症を起こしてしまうこともあるようです。この症状は腎盂腎炎(じんうじんえん)といわれ膀胱炎の症状に加えて熱が出て、ひどいときには40度の発熱になることもあるようです。
40度の発熱が出るときは、悪寒がして全身倦怠感が出るといわれています。膀胱炎で発熱しているときは、膀胱内でかなりの感染が広がっていて、腎臓の病気を合併していると考えられます。またその症状が悪化して腎盂腎炎(じんうじんえん)になってしまっているかもしれません。急いで医療機関へかかり適切な処置を受けることをお勧めいたします。
2.腰・背中が痛む
膀胱炎の症状に加えて、腰や背中が痛くなるのはすでに腎臓が炎症をおこしているかもしれません。腎臓はお腹ではなく左右両側の背中のほうにある臓器です。膀胱で増えた細菌が腎臓に達して腎臓で炎症を起こして痛みが出ていると考えられています。腎盂腎炎(じんうじんえん)を起こしていると腎臓の働きが悪くなり細菌が血液中に混じり全身に巡ります。そうなると敗血症となって死にいたることも。膀胱炎を起こしているときの腰痛や背中の痛みは軽くみないほうがよさそうです。
3.吐き気・嘔吐
さらに吐き気や嘔吐の症状があらわれる場合もあります。腎盂腎炎(じんうじんえん)の症状はさまざまで、嘔吐などの消化器症状を伴うことも特徴です。腎盂腎炎(じんうじんえん)が突発的に発症することが多いため、注意が必要です。
子どもがかかる膀胱炎とは?
では、大人がかかる膀胱炎と子どもの膀胱炎はどう違うのでしょうか?「膀胱炎」自体は膀胱が炎症を起こすことですが、炎症を起こす原因が大人とは少し異なります。
また子どもの膀胱炎は、ほかの泌尿器にも細菌の感染が起きていることから、膀胱だけでなく尿が関与する、腎臓や尿管などトータルして尿路感染症と言われています。
子どもは膀胱から体の外におしっこを出す管である尿道が短いので、男児女児に関係なく、よく膀胱炎にかかかることが知られています。ほとんどの場合は、尿路(おしっこを出す通り道)から細菌が感染して膀胱炎になる急性膀胱炎が多いようです。しかし、生まれつき腎臓や膀胱、尿管といった泌尿器の病気がひそんでいることもあるようですので注意が必要です。
出血性膀胱炎になることもある!
大人がよくかかる膀胱炎は細菌の感染が原因でおこる急性膀胱炎が多いのですが、子供は出血性膀胱炎にかかることも多いようです。出血性膀胱炎はウイルス感染が多く、人間の体がウイルスに対して、反応した結果、炎症が起こるようです。
とくに夏に流行するアデノウイルスによる出血性膀胱炎が最も多いとみられています。アデノウィルスは夏風邪とも呼ばれています。アデノウイルスによる出血性膀胱炎では、排尿時に痛みがあり、真っ赤な血尿が出ます。アデノウィルスに効く薬は今のところ無いので、出血性膀胱炎に対しては薬を飲まずに自然治癒をのぞむようです。
うまれつきの泌尿器に異常があることも!
まだ月齢の小さい乳児や小児が尿路感染症を発症する場合は、たいてい泌尿器系にうまれつきの構造的異常があるために発症しやすくなっているようです。生まれつきの泌尿器の構造的異常は尿路感染症を発症した新生児と幼児の50%、学童の20~30%にみられるというデータがあるようです。
泌尿器の構造異常には膀胱尿管逆流と水腎症が考えられるようです。
●膀胱尿管逆流症とは?
尿が正常に流れず逆流などを起こした状態を言います。通常はおしっこをするときに膀胱から尿管へと流れますが、その尿が逆流を起こしてしまうことで起こります。
膀胱と尿管の便が何らかの原因により正常に働かなくなり、排尿時に弁が閉じておらず、尿管のほうへ流れ込んでしまい逆流してしまいます。そして腎臓に尿が再び入り込みその中にウイルスや細菌も潜んでいることから炎症を起こします。
乳児では1%ぐらいの確率でみつかるというデータもあるそうです。1才以下では男の子か多く、それ以上になると女の子にもいるようです。
●水腎症とは?
腎臓で作られた尿の流れがせきとめられて、尿の通り道や腎臓の中に尿がたまった状態をいうようです。たまった尿によって腎臓は大きく膨らむケースもあれば、正常に比べてわずかに膨らんでいるだけの軽いケースもあります。尿が体外に流れていく途中に狭い場所、流れにくい場所があると、せき止められた尿路が拡張して水腎症になってしまうようです。
膀胱尿管逆流症|主な病気・症状|小児泌尿器科|東京女子医大泌尿器科
「膀胱尿管逆流症とは」より参照
子どものこんな様子が膀胱炎かも⁉
子供は、自分の体のことを上手に伝えることがまだできません。なんでもお腹痛いと言い出したりしがちです。そのため、周りの人が様子を観察しておかなくてはなりません。新生児・乳児は機嫌・活気・顔色・哺乳力では判断できないという報告もあり、尿路感染症の発見は難しいようです。また発熱もサインの一つといわれています。
とはいえ、放っておくと腎臓にも影響がでてくるのが膀胱炎ですから、早めに気づいてあげたいものです。少しでも早い発見につながるよう膀胱炎にかかっているときの子どもの様子のチェックポイントをご紹介します。
おしっこのときに機嫌が悪い
赤ちゃんは、痛みや不快感があっても言葉がしゃべれないので、機嫌が悪くなって痛みや不快感のアピールをします。幼児期になって少し意思表示ができるようになると、おなかや背中を痛がる、おしっこのときに痛みを訴えることがあります。
熱が出る
新生児と乳児では尿路感染を起こしているときに発熱(38.5℃以上)が起こることがあるようです。しかし幼児以降の発熱は感染が腎臓に達していることをのあらわれで、通常、膀胱炎だけでは熱は出ないようです。
腎盂腎炎(じんうじんえん)の症状は高熱、腹痛、悪心・嘔吐、倦怠感あげられているようです。
腎臓に細菌感染が生じると、腎瘢痕(じんはんこん)と呼ばれる腎臓の機能が低下を生じることもあるようです。
どの月齢・年齢においても高熱の場合は膀胱炎だけでなく腎盂腎炎(じんうじんえん)を起こしていて重症化している可能性がありますから注意が必要です。
トイレへ何度もいく
大人の膀胱炎の症状と同じくトイレが近くなるようです。また、トイレトレーニングは終わり、普段はおもらしをしないのにパンツをぬらして失敗してしまったといったことも出てくるようです。
「小児のUTIの臨床所見と検査所見|1.臨床所見」より参照
「症状:どのように見つけられるか」より参照
膀胱炎の受診は何科?
膀胱炎にかかっているかも!と思ったら、重症化しないうちに早めに病院やクリニックを受診しましょう。
膀胱炎の受診は内科や婦人科でもできますが尿検査をしないこともあるようです。より専門的な診察は泌尿器科になります。子どもは15歳までは小児科で診ていただくことができます。さらに子どもの泌尿器を専門的に診察する小児泌尿器科もあります。
膀胱炎の症状改善・治療方法は?
薬を飲む
もっとも多い膀胱炎である急性膀胱炎の治療は、大人の治療法と子どもの治療方法は、ほぼ同じのようです。まずは原因となっている細菌を膀胱内からなくすこと。膀胱にいる細菌をやっつけるためには、抗生物質を服用することのようです。ペニシリン系剤、ニューキノロン系、セフェム系剤などがあります。
大腸菌が原因で起こる膀胱炎が多いと言われています。急激に起こるので、急性膀胱炎とも言います。急性膀胱炎の原因である大腸菌には、ニューキノロン系剤が良く聞くと言われています。
膀胱炎の症状が悪化して腎盂腎炎(じんうじんえん)を起こしている場合は、注射や点滴で抗生物質が投与されることもあるようです。
抗菌剤を使用しても症状が良くならない時があります。そんな時は、菌の検査をし、原因菌に対して有効な抗菌剤に変えてもらい内服する必要があります。また、細菌が原因ではない膀胱炎の場合は、抗生物質を飲んでいても膀胱炎は改善はしないので他の治療法となるようです。
他にも炎症を起こしている原因の菌やウイルスなのか、または機能的なことで起こっているのか、状態によって、薬を選んで投与されます。膀胱炎が起こると尿が全部出なかったり、尿と尿の間の感覚が近くなったり、疼痛や違和感などを取り除くために、対症療法や行われるようです。
頻尿や残尿感に対しては、抗コリン剤と呼ばれている頻尿の治療に使われる薬を使う場合もあるようです。
また、膀胱炎での痛みを和らげるために鎮痛剤や、膀胱内の細菌を尿とともに追い出すのを助ける漢方薬が使われることもあるようです。
「効能又は効果」より参照
「膀胱炎のお薬について」より参照
外科的な手術をする
うまれつき尿管に構造的な異常がある膀胱尿管逆流症や水腎症では手術を行うことがあるようです。
膀胱尿管逆流症が軽い場合は成長するのと共に自然によくなっていくようです。赤ちゃんの時に程度が重くても、成長と共に軽くなることもよく知られているようです。抗生物質での予防を行っていても腎盂腎炎(じんうじんえん)を繰り返し起こすときや、重症の逆流が見つかったときなど、いくつかの条件がそろっている場合は、尿が逆流するのを防止する手術をするそうです。
水腎症は尿管の狭まっている箇所の状態や腎臓の機能の状態や尿路感染症の有無によって手術するかどうかを検討するようです。
中高年の女性の膀胱炎では、感染をおこしやすくしている原因が、子宮下垂や膀胱下垂などの場合は、外科的な手術を行うことで、感染を防ぎ、最終的には膀胱炎を引き起こしにくくするようです。
まれではありますが、膀胱腟瘻(ぼうこうちつろう)という膀胱と腟の間に異常な通路が作られることがあり、これが原因で膀胱炎が繰り返されることがあり、この場合も手術が行われることがあるようです。
日産婦誌61巻7号|E.婦人科疾患の診断・治療・管理|N-228より参照
膀胱炎は再発しやすい
研究によると女性の急性膀胱炎の約半数は1年以内に再発し、その大部分の原因は、腸や膣などに残っていた菌が原因となって再感染しているというデータがあるそうです。さらに何度も膀胱炎を繰り返す場合には詳しい検査が必要となるようです。
膀胱炎の予防法・習慣とは?
再発しやすいと言われている膀胱炎ですが、日頃から膀胱炎にならないための習慣、予防策がありますのでご紹介いたします。膀胱の感染症を年に3回以上繰り返す女性には、以下の方法が予防に役立つ可能性があるようです。
水分をたくさん飲む
膀胱の中にひそんでいる細菌をおしっこと一緒に効率よく出すためには、水分をたっぷり摂るようにしましょう。
クランベリーに細菌が膀胱の表面に付着するのを直接妨害する物質が含まれており、また尿が酸性化されることで細菌の増殖に不利な環境が作られるためクランベリージュースを飲む(1日に約300ミリリットルのジュースまたは50ミリリットルの濃縮液)またはクランベリーの錠剤を服用すると膀胱炎を予防できると言われてもいるようですが、反対にクランベリーは予防に効果がないとする説もあるようです。
おしっこをがまんしない
おしっこをするのを我慢し、膀胱に尿を溜め込むことを続けていると細菌が増えて膀胱の炎症をひどくする可能性があるそうです。
定期的に3~4時間ごとには、尿意がなくてもトイレに行く習慣をつけ、膀胱内の細菌を早めに排出してスッキリするようにしましょう。
陰部を清潔に保つ
排便後は肛門とその周辺の部位には大腸菌が付着してしまいます。紙で拭く際には、日頃から「前から後ろへ」拭く習慣をつけましょう。
オムツや生理用ナプキン、尿もれパッドはつけっぱなしにすると細菌が増殖し尿道から入り込み膀胱炎になりやすくなります。定期的に取り換えましょう。
性行為の後は、すぐにトイレへ行っておしっこをしましょう。尿道から入ってしまったかもしれない微生物を外に出します。さらに陰部を軽くシャワーなどで洗い流していただくと膀胱炎の予防によいようです。
体力を低下させない
ストレスや無理なダイエット、過労などは体力を低下させます。体力が低下すると人間が本来もっている抵抗力・免疫力が下がりいろいろな感染症にかかりやすくなります。食生活、睡眠に気を配りましょう。
身体を冷やさない
膀胱内の粘膜の温度が32℃以下になると、細菌が繁殖・感染しやすい環境になるそうです。また冷え性などで下半身が冷えると、膀胱や膀胱の周りの血の巡りや神経などの機能も鈍くなり、トイレに行く回数が減りがちです。
あたたかい飲み物をたくさん飲むようにして水分も摂り、身体を温めるのが良いと思います。
まとめ
膀胱炎は女性にとっては、とてもポピュラーな病気です。再発しやすい病気だけにしっかり治療をして忙しい毎日を乗り切りたいものです。
子どもの膀胱炎は大人のかかわりがとても大切になります。排泄習慣は一朝一夕ではなかなか身に付かないもの。お子さんのおしっこをがまんさせない、陰部を清潔に保つような拭き方、年齢によっては手で陰部を触りがちな頃がありますから清潔にしておく大切さを教えてあげなくてはいけません。
膀胱炎は自然治癒をすることもありますが、再発を繰り返さない、ひどくならないうちに受診するのがよいでしょう。膀胱炎かな?と思ったら恥ずかしがらずに病院やクリニックを受診しましょう。
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