血液検査で調べるmcvって何?数値から推測できる病気6選と治療法とは?
皆さん健康診断は毎年受けていると思います。血液検査一つとってもさまざまな数値があり、結果を見ても見慣れない数字や記号がたくさんあって、よくわからない内容もあると思います。そこで今回は、血液検査で分かるmcvという項目の解説をします。
血液検査のmcvって何?なんのために検査するの?
mcvとは、血液の異常や貧血の原因を判断する赤血球恒数の一つ
女性に多い貧血の症状には、薬の服用だけで治療できる軽度のものから、入院して治療しなければならない重度のものまであるそうです。mcvを一言で説明すると、平均赤血球容積です。もっとわかりやすく言うと、赤血球一個当たりの大きさという事のようです。赤血球の大きさによって、酸素の運搬能力が違ってくるそうです。
貧血にもさまざまな種類があるそうで、その貧血の種類によって治療方法などが変わってきてしまうために、貧血などの症状がある時にその原因を突き止める目的で、血液検査の結果から算出するようです。また、mcvは赤血球恒数や赤血球指数と呼ばれており、血液の状態を示す指標としてとても重要な数値だそうです。
こんな症状があったら貧血の可能性が!
貧血は何らかの原因で血液の酸素運搬能力が低下してしまい、動悸、息切れ、疲労感などの症状が出るそうです。貧血の症状はそのほかにも顔が青白くなったり、食欲がなくなったり、足がむくんでしまうこともあるそうです。ただ、自覚症状の強さは貧血の進行の早さなどで左右されることが多いそうです。
たとえ貧血としては軽くても、急激に進行した場合は動けなくなることが多く、重度の貧血でもゆっくりと進行した場合は十分日常の活動ができていることもあるそうです。
赤血球恒数は他にもmchやmchcがある
血液の状態を示す赤血球恒数は、赤血球一個あたりの大きさを示すmcvの他にも、mchやmchcという指数があるようです。mchは平均赤血球色素量、mchcは平均赤血球色素濃度量と言われています。mchの平均赤血球色素量は、赤血球一個あたりに含まれているヘモグロビンと呼ばれる、酸素を運搬する能力のある血色素の量だそうです。
mchcの平均赤血球色素濃度量は、赤血球に含まれているヘモグロビンの濃度だそうです。mchとmchcは似た印象を持たれるかもしれません。一個の赤血球に含まれているヘモグロビンの量が同じでも、赤血球一個あたりの大きさmcvが違ければ、ヘモグロビンの濃度も変わってくるため、酸素の運搬能力も違ってくるそうです。
mcvってどうやって調べるの?赤血球恒数の正常値と単位はいくつ?
mcvは血液検査で採血して調べる
mcvなどの赤血球恒数は採血して調べます。それも、直接赤血球恒数が分かるわけではなく、血液検査で赤血球数とヘマトクリット、ヘモグロビンの数値から算出するようです。血液中には赤血球の他に、血漿(けっしょう)と呼ばれる液体成分や白血球、血小板なども含まれています。赤血球数とはその単位体積当たりの、血液中に含まれている赤血球の数です。
ヘマトクリットは単位体積当たりの、血液中での赤血球の占める体積の割合だそうです。これは血液中の赤血球の密度とも言えそうですね。ヘモグロビンは、ヘムタンパク質と呼ばれる酸素の運搬能力がある物質で、その量を検査で調べるようです。
mcvの正常値
mcvは(ヘマトクリット/赤血球数)×10で求められる、赤血球一個あたりの大きさです。mcvの基準値は、男性の場合83.0~103.0μm3(立方マイクロメートル、fl:フェムトリットルの場合もあり)、女性の場合は81.0~100.0μm3だそうです。この基準値に収まっている場合は正球性貧血、大きい場合は大球性貧血、小さい場合は小球性貧血と言われるようです。
mcvの単位
前述のようにmcvはμm3(立方マイクロメートル)やfl(フェムトリットル)という単位が使われます。μは100万分の1(10-6)で、fは(1000兆分の1)という意味です。
mchの正常値
mchは(ヘモグロビン/赤血球数)×10で求められる、赤血球一個あたりに含まれるヘモグロビンの量です。mchの基準値は男性の場合は28.0~36.0pg(ピコグラム)、女性の場合は27.0~35.0pgだそうです。p(ピコ)は1兆分の1(10-12)という意味です。この基準値より高い場合は大球性貧血、小さい場合は小球性低色素性貧血と判断できるようです。
mchcの正常値
mchcは(ヘモグロビン/ヘマトクリット)×10で求められる、赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度です。mchcの基準値は32.0~37.0%だそうです。この基準値より低いと、小球性低色素性貧血と判断できるようです。
血液検査でmcvの数値が高いと悪いの?低いと悪いの?
低いと臓器の疾患や栄養の吸収不良が考えられる
赤血球の大きさmcvが小さい場合は、ヘモグロビンの量mchも低い場合が多いそうです。その場合は内臓からの出血や、食事量が減ってしまっていたりして、赤血球の原料となる栄養が足りていないことが考えられるようです。
mcvが小さいということは赤血球の大きさが小さいということなので、必然的に赤血球に含まれるヘモグロビンの量も少なくなり、mchも低い値になることが多いそうです。赤血球の大きさやヘモグロビンの量が少ないと、その分運べる酸素の量が少なくなってしまうために、貧血になってしまうそうです。
高いと悪性貧血などの可能性がある
mcvが高すぎてもよくないそうです。mcvが高い場合は悪性貧血や、肝障害の可能性があるそうです。mcvが高いということ、は赤血球の大きさが大きいということです。この場合、赤血球中のヘモグロビンの濃度mchcは正常値で、赤血球一個に含まれるヘモグロビンの量mchが高くなることがあるそうです。
mcvが正常値でもmchやmchcの値によって貧血になることも
赤血球の大きさmcvが正常値でも、何らかの病気が隠れている可能性があり、貧血になることがあるそうです。それは、ヘモグロビンの量や濃度次第で、酸素運搬能力が左右されるからです。
そのため、赤血球の大きさが正常値でも、赤血球1個あたりに含まれているヘモグロビンの量が少ないと、結果的に貧血になってしまうそうです。mcvが正常値の場合は、腎不全や胃潰瘍、薬剤による貧血の可能性があるそうです。
血液検査のmcv赤血球恒数で分かる病気の種類は?
1.鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は酸素運搬能力のある、ヘモグロビンの材料となる鉄分が不足することによっておこる貧血です。鉄欠乏性貧血は、貧血全体の大部分を占める病気だそうで、原因は4つに分けられるようです。それは、鉄分の摂取量の不足、体内の鉄需要の増加、過剰な鉄損失、吸収障害だそうです。鉄分の摂取不足は、ダイエットやインスタント食品などでの、食生活の乱れから引き起こされるようです。
体内の鉄需要の増加は妊娠、出産、母乳育児や思春期の女子の急激な成長によって、貧血が引き起こされるようです。過剰な鉄損失では月経過多や、潰瘍、がんや痔など消化管からの出血によって引き起こされるようです。吸収障害は、胃の切除などで鉄分の吸収が障害されることで、引き起こされるようです。鉄欠乏性貧血になると、食事療法だけでは治らないようです。
2.悪性貧血
悪性貧血は、赤血球が作られるのに欠かせない葉酸や、ビタミンB12が不足してしまうことで起こる病気です。葉酸やビタミンB12が不足すると、正常に血液が作れずに赤血球が減少し、mcvが高く、赤血球の大きさが大きくなる特徴があるようです。葉酸欠乏症は、極端な偏食や大量の飲酒の習慣がある人が、発症する可能性が高いそうです。
ビタミンB12欠乏症は、胃の切除が原因になるそうです。この場合、病気で胃を切除しても5年程度は、体内にビタミンB12のストックがあるために発症しないようですが、5年を経過すると、体内のストックが切れてしまい発症するようです。
3.肝障害
肝臓の障害によっても、貧血が引き起こされるようです。慢性の肝障害などでは脂質の代謝異常が起こり、赤血球の膜の構成が変化してしまうそうで、赤血球が大きくなってしまうようです。
肝障害はE型肝炎やC型肝炎のように、ウイルスによる感染症の場合や、アルコールの過剰摂取による肝炎や脂肪肝などがあるそうです。ウイルス性肝炎の場合は、投薬によって治療するようですが、B型肝炎は完治させることが難しいそうで、薬の服用を続けなければならないそうです。
4.腎性貧血
赤血球の大きさmcvも、赤血球に含まれるヘモグロビンの量mchも、正常値の場合は腎性出血を起こしているかもしれないそうです。腎臓でつくられるエリスロポエチンという物質を作っており、それが骨髄に作用して赤血球を生産する数を調節しているようです。その為、腎臓の働きが悪くなるとエリスロポエチンが生産できなくなり、血液が正常に作られなくなってしまうそうです。
5. 溶血性貧血
溶血性貧血とは、何らかの原因で赤血球の寿命が短くなってしまい、赤血球の数が足りなくなるために起こる貧血だそうです。溶血性貧血は、大きく分けて2パターンに分類できるそうです。
一つ目は先天性と言われ、生まれつき赤血球に異常があり、もともとの赤血球の寿命の120日よりも早く、破壊されてしまうそうです。もう一つは後天性と言われ、補体と呼ばれる赤血球と結合することで、赤血球が免疫細胞に捕食され、分解されてしまうようになるそうです。
6.慢性炎症に伴う貧血
慢性炎症による貧血は、鉄欠乏性貧血に次いで多い貧血だそうです。体の炎症反応が慢性的に高い人の身体の中では、カイトサインなどの物質が生成されるようです。この物質が血液の製造を阻害したり、赤血球の破壊の原因になってしまうそうです。
貧血の治療法は?
投薬治療
貧血の基本的な治療方法は、投薬治療になるそうです。貧血の原因によって、薬の種類は変わってきます。鉄欠乏性貧血の場合は、赤血球の材料となる鉄分を鉄剤で補給します。悪性貧血でビタミンB12欠乏症のように、経口摂取では対応できない場合は、注射によってビタミンB12を継続的に投与していかなければならないそうです。
また、腎臓で作られ、骨髄に働きかけて血液を作らせる役割のある、エリスロポエチンが分泌できなくなっている場合は、人口のエリスロポエチン製剤を投与して貧血に対応しつつ、腎臓の治療もおこなわなくてはならないそうです。
外科的治療
貧血の原因が腫瘍や癌、消化管などからの出血の場合は、外科的な治療が必要になってくるようです。消化管からの出血の場合で、胃からの出血だと血液が消化液で酸化されるため、便は墨のように真っ黒になるそうです。
大腸からの出血だと、便に鮮やかな赤い血が見られるそうなので、便の状態からおおよその出血部位が推測できるそうです。原因となる疾患によっては開腹手術になることもあるようですが、内視鏡での処置で済むことも多いそうです。
食事療法
貧血になってしまった場合、食事療法は投薬治療の補助として取り入れられる程度で、メインの治療にはならないそうです。人体からは普段、汗や髪などから1日1mgほど鉄を排泄し、女性の場合は一回の月経で15~50mgの鉄を排出しているそうです。
それに対して、食事で1日に吸収できる鉄の量は1mg程度なので、一度鉄欠乏性貧血になると食事療法だけでは鉄を補うことはできないため、鉄剤などの投薬治療が必要になるそうです。貧血の原因で、一番多い鉄欠乏性貧血の再発防止や予防には、食事療法はとても効果的だそうです。鉄分を多く含む食材はレバーやウナギ、アユ、シジミ、ひじき、大豆、切干大根などだそうです。
どこで検査するの?結果が出るまでどのくらいかかるか
内科や健康診断をしているクリニックに行きましょう
貧血が疑われる症状がある場合は、内科や健康診断を行っているクリニックを受診してみましょう。検査結果が出る早さは検査する医療施設によってまちまちですが、早いところだと一時間程度で結果がでる病院もあるようです。
気になる症状があれば、早期受診!
いかがでしたでしょうか?血液検査でmcvなどを調べることで、貧血や貧血を伴う意外な病気が隠されていることが分かるかもしれないですね。貧血の多くは鉄欠乏性貧血だそうですが、中には臓器の疾患など重篤な病気が隠れている可能性もあるそうなので、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診して検査してもらうようにしましょう。
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