尿蛋白の原因は?腎機能の障害?陽性が出る11の原因や疾患を徹底解説!

健康診断で尿蛋白が出てしまった、何回も続けて出ている、そんな方いらっしゃいませんか。今回は尿蛋白の原因と可能性のある疾患と、疾患と診断されてしまったとき、どうすればよいのか考えていきます。

尿蛋白が出る原因は腎機能の障害?

健康診断で尿蛋白が陽性と出てしまった、困った、そんな方いらっしゃいませんか。今回は尿蛋白が出てしまったときの、原因を考えていきます。一体どんな原因が、疾患が考えられるのでしょうか。

尿蛋白とは?

尿に含まれるたんぱく質

尿タンパクとは、尿の中に含まれているタンパクの総称です。

通常は尿に混ざらない

たんぱく質は腎臓の糸球体と呼ばれる部位でろ過され、尿細管という部位で再び再吸収されて血液中に戻るため、尿に含まれて排泄されることはありません。あるとしてもごくわずかの量になります。

正常な人が尿に排泄しているタンパク質の量は?

とはいえ、正常の人でも1日に40~120mgの蛋白を尿に排泄しています。1日に150mg以上の場合を異常とみなされます。

尿蛋白検査

健康診断や人間ドックで尿蛋白検査が行われます。では、尿蛋白検査の詳細と、調べてわかることをみていきましょう。

尿蛋白の検査方法と調べてわかることは?

定性検査


健康診断や人間ドックの尿検査で調べられる尿蛋白の検査方法です。定性検査では試験紙を尿で濡らしたときの変色具合でたんぱく質が出ているか判断されます。

正常値は尿蛋白陰性(マイナス)、プラスマイナスも正常値として扱われることが多いようですが、注意が必要です。プラス1~4は異常値です。下記はおおよその目安となります。

(マイナス) 14 mg/dl以下
(プラスマイナス)15~ 29 mg/dl
(プラス1)30~ 99 mg/dl
(プラス2)100~299 mg/dl
(プラス3)300~999 mg/dl
(プラス4)1000 mg/dl以上

定量検査

定量検査では、1日の尿にどれくらいタンパクが出ているかを分析測定します。通常は定性検査で尿タンパクが出ていることが認められた場合に定量検査が行われます。

1dl当たり0~10mg、1日の尿量に換算すると60mg以下であれば正常だそうです。1日の尿タンパク量が100mg以上なら、異常値とみなされます。

腎臓・尿管

尿蛋白の検査では、腎臓や尿管の障害の有無を調べます。

異常値が出た場合1

異常値が出ても1回の検査だけでは診断されることはあまりありません。複数回検査を重ねることが一般的です。そして、検査のたびに異常値がみられたとき、さらに精密検査をします。

まず、腎臓内科や泌尿器科で血液検査や尿中成分の定量検査、尿沈渣が行われます。尿沈渣というのは、尿を遠心分離器にかけたときに沈殿してくる赤血球や白血球、細胞、結晶成分などの固形成分のことです。これらを精査することにより腎臓や尿路系の病気の種類や部位を推測することができます。

異常値が出た場合2

尿蛋白と同時に、尿潜血検査で陽性(プラス)の結果が出てしまった場合も慎重に精密検査をすすめます。
尿蛋白同様、尿潜血でも腎臓や尿管の異常をみつけることができます。画像検査(超音波・CT・腎盂造影)などの検査も行われ、最終的に診断されます。

尿蛋白が異常値(陽性)となる原因は?

病的な蛋白尿

病的な蛋白尿は尿がつくられている過程によって分類されます。血液は腎臓でろ過されて、不必要な水分や老廃物が尿管を通して膀胱にためられ、尿道を通って尿として体外に排泄されます。

尿がつくられる過程で、腎臓より前の段階で異常があり、尿蛋白が陽性になるものを「腎前性蛋白尿」、腎臓に異常があるために陽性となるものを「腎性蛋白尿」、腎臓より後の臓器(例えば膀胱など)が影響して陽性となるものを「後性蛋白尿」と区別されます。

腎前性蛋白尿

腎前性蛋白尿の場合、腎臓自体には異常がありません。腎臓以外の臓器の障害や感染症・悪性腫瘍などが原因となって、血液中に低分子蛋白の増加がおこり、その結果、尿細管での蛋白の再吸収が追いつかなくなる病態で尿蛋白が陽性になるそうです。腎前性蛋白尿の場合は、その原因となっている病気に対する治療が必要になります。

腎前性蛋白尿で疑われる疾患

腎前性蛋白尿では、下記のような疾患が疑われます。

多発性骨髄腫

骨髄の中には形質細胞という細胞があり、免疫グロブリンと呼ばれる蛋白がつくられているそうです。この蛋白は細菌、ウイルスなど体内に侵入してきた異物を攻撃する役割があります。

多発性骨髄腫とは、1つの形質細胞が必要ないにもかかわらず、どんどんと増殖する病気だそうです。年齢の高い方に多い病気であり、診断時には、多くの場合60歳以上ですが、30歳代あるいは40歳代の比較的若い方に発病することもあるそうです。また男性の患者数が女性よりも多いとのことです。

溶血性貧血

赤血球は正常な寿命(約120日)が尽きると,循環血液から取り除かれます。溶血では赤血球がそれよりも前に崩壊することに関係しています。貧血は,骨髄での産生が,短縮された赤血球の寿命を埋め合わせることができなくなった時に起こります。この状態が溶血性貧血と呼ばれます。

膠原病

膠原病とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられるそうです。女性に多く見られる病気で、比較的若い女性の不明熱(原因不明の発熱)として発見されることが多いとのことです。SLEやリウマチなど数種類の病気が含まれています。

心不全

「心不全」とは「病名」ではなく、いろいろな心臓病で心臓のポンプ機能が低下したり、心臓以外の原因で心臓の働きが不十分になったり、つまり全身の体組織の代謝に見合う十分な血液を供給できない状態を示す「症候名」です。血液が身体に十分いきわたらなくなっています。

腎性蛋白尿

腎性蛋白尿とは腎臓の「糸球体」か「尿細管」のどちらかあるいは両方が障害されたために起こるものだそうで、病的な蛋白尿の多くがこの腎性蛋白尿とのことです。障害される原因や蛋白尿の量・質もさまざまで、腎臓内科での精密検査・治療が必要になります。

「糸球体」が原因となるものをは糸球体性蛋白尿とよばれます。糸球体には血液をろ過する働きがあり、アルブミンのような大きな蛋白は通常、糸球体を通過することはできません。しかし、糸球体に障害が起こると、アルブミンが糸球体を通過できるようになるため、蛋白が尿の中に通常時よりも多く出現してしまうそうです。

「尿細管」が原因である尿蛋白は尿細管性蛋白尿とよばれます。尿細管では通常、糸球体でのろ過作業によって通過してきた低分子の蛋白を体内に再吸収する働きがありますが、尿細管が障害を受けると、蛋白の再吸収ができなくなるため、蛋白が尿の中に通常時よりも多く出現してしまうそうです。

腎性蛋白尿で疑われる疾患

腎性蛋白尿では下記のような疾患が疑われます

急性・慢性腎炎

腎炎は、腎臓の中の老廃物を濾し出す役割をしている糸球体という毛細血管の固まりに炎症がおきて、その結果、蛋白尿や血尿がでる腎臓病だそうです。

急性腎炎は、細菌やウイルスに感染したあとにかかる場合が多く、むくんだり、血圧が高くなったりしますので、一時、食事療法や薬が必要となることがありますが、通常安静で良くなるそうです。慢性腎炎は、急性と異なり、何年も糸球体に持続的に炎症がおきるため、徐々に腎臓の機能が低下してしまうそうです。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは、尿にタンパクがたくさん出てしまうために、血液中のタンパクが減り(低たんぱく血症)、その結果、むくみ(浮腫)が起こる疾患だそうです。

むくみは、低タンパク血症が起こるために血管の中の水分が減って血管の外に水分と塩分が増えるために起こってしまうそうです。症状としては、むくみ(浮腫)の他に、体重の増加、だるさ、尿の泡立ちなどがあるそうです。

アミロイド腎

アミロイド腎症は、アミロイド蛋白と呼ばれる繊維が腎臓の糸球体や尿細管・間質に沈着してしまい、腎機能が低下してしまう疾病だそうです。

カドミウム中毒

カドミウム中毒が慢性化すると、腎機能に異常が起こってしまいます。その結果、腎臓の細胞が障害されてしまい、たんぱく尿、アミノ酸尿、糖尿といった症状が引き起こされてしまいます。

腎後性蛋白尿

腎後性蛋白尿は腎臓より下部の腫瘍などの影響により、血液や粘液などが尿に混入し、これらの影響で蛋白が尿の中に通常時よりも多く出現してしまうそうです。尿路の病気に伴うものですので、泌尿器科での検査・治療が必要になります。

腎後性蛋白尿で疑われる疾患

腎後性蛋白尿では下記のような疾患が疑われます。

膀胱炎

尿をためている膀胱が炎症を起こすのが「膀胱炎」です。外部から大腸菌などの腸内細菌が、尿道をさかのぼって膀胱の中に雑菌が入り増殖することにより引き起こされる病気ということです。

前立腺炎

前立腺炎とは前立腺の中で炎症が生じてしまった状態だそうです。細菌が前立腺に付いて起きる「細菌性前立腺炎」と細菌がない「非細菌性前立腺炎」 の場合があるそうです。

腫瘍(膀胱、前立腺など)

腎後性蛋白尿では膀胱、前立腺などに腫瘍がある可能性があるそうです。

結石(膀胱、尿管など)

結石とは腎臓などにできるシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのかたまりのことです。腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿の通り道(尿路)にできるため、総称して「尿路結石」と呼ばれるとのことです。

病的ではない場合

尿蛋白が出た場合も、病的でない場合があります。生理的(機能的)蛋白尿と呼ばれるもので、腎臓自体に障害があるわけではありません。生理的な影響で一過性に尿中に蛋白がみられるものです。

病的でない蛋白尿の原因--物理的な原因等

<運動や発熱による蛋白尿>
激しい運動や入浴後、発熱時に尿蛋白が陽性になることがあるそうです。

<起立性蛋白尿(腎静脈の圧迫)>
起立していることにより、腎静脈が圧迫されて起こるもので、横になっている場合では尿の中に蛋白は出ません。若い人や、特に学童に多く、成長とともに蛋白はでなくなるということです。

<月経前>
月経前にも尿蛋白が出ることがあります。

<精神的なストレス>
精神的なストレスの影響下に置かれると、時々、人間は尿蛋白が陽性になってしまうことがあります。

病的でない蛋白尿の原因2—食べ物等が原因のとき

<たんぱく質の過剰摂取>
たんぱく質を過剰摂取したときには、翌日尿蛋白が陽性に出ることがあります。たんぱく質の摂取を抑えると、尿蛋白はでなくなります。

<プロテインの摂りすぎ>
プロテインを摂りすぎると、尿蛋白が陽性に出ることがあります。

妊娠中の蛋白尿

妊娠していると、蛋白尿になりやすくなります。ひどくなると妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の判断基準になります。 妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合に妊娠高血圧症候群と診断されます。

妊娠高血圧症候群に判定されてしまったら、塩分・糖分の摂取を控えるようにして、体重管理に気を付けてください。そして、安静をこころがけて、医師の指示に従って、服薬・食事療法を行うようにしてください。

腎臓系の病気等の診断がされたら?

尿路感染症・腎炎等と言われたら

尿路感染症はおしっこの出口(尿道口)から細菌が膀胱内に進入することで生じるそうです。膀胱の中で感染がとどまっているものは膀胱炎と呼ばれ、細菌が膀胱からさらに腎臓まで進入すると腎盂腎炎を起こします。尿路感染は尿の中に細菌がいることを確認することで診断されます。

発熱をともなわない膀胱炎の場合は通常、抗菌薬を3日間服用すれば完全に治るそうです。多くの場合は抗菌薬服用後24時間で症状の改善がみられるそうです。しかし高熱を伴い腎盂腎炎が疑われた場合は抗菌薬の投与は2週間必要とのことでした。

最初は食欲もなく脱水気味になっていることが多いので点滴で抗菌薬を投与し、解熱後食欲も出てきたら原因の細菌に有効な抗菌薬を飲み薬で続ける必要があるそうです。安静にして医師から処方された薬をきちんと服用して完治するようにしましょう。

腎臓病の食事療法

たんぱく質を摂りすぎないようにする

たんぱく質を多くとりすぎると、腎臓からしか排泄されない尿素窒素やクレアチニン等が多くなり腎臓への大きな負担になってしまいます。

疾患ごとにたんぱく質の量が制限されます。
   腎炎 標準体重1kg当たり0.5~1.0g (過剰摂取を避ける)
   ネフローゼ症候群 標準体重1kg当たり0.8~1.1g (過剰摂取を避ける)
   腎不全 標準体重1kg当たり0.6~0.7g (厳しく制限する)

エネルギーは十分とるようにする

たんぱく質が体内で有効に利用されるよう、エネルギーは不足しないようにしましょう。また、エネルギーが不足しますと、身体中のたんぱく質が分解されエネルギー源になり(これを異化作用といいます)、体内の尿素窒素が増えるため、たんぱく質を多く食べたことと同じ状態になり、たんぱく質を制限する意味がなくなってしまうそうです。

食塩は控える

腎臓でのナトリウムを排泄する能力が落ちていますので、食塩は控えましょう。

その他

その他、疾患によりカリウム、水分に制限がある場合があります。
例えば、腎炎では水分が症状により制限されるときがあります。
腎不全の場合は、水分・カリウム・リンが制限されることがあります。

腎臓病と運動について

以前は、運動をすることで腎機能に悪影響が生じるとされており、腎臓に障害のある患者さんでは、運動を控えた方がよいと考えられてきました。

しかし最近では、適度な有酸素運動によって、尿蛋白減少などの効果がみられたとの報告がでてきているようです。主治医の先生とよく相談して、適度な運動が身体によいと判断されたときは、運動療法を行ってみてください。

尿蛋白が出た時は早めの治療を心がける

尿蛋白が出た場合、可能性のある原因を探ってきました。慢性腎臓病(CKD)は、20歳以上の「成人の8人に1人いる」と言われ、新たな国民病ともいわれています。慢性腎臓病(CKD)とは慢性のすべて腎臓病を指しています。その比率の高さには驚かされます。

慢性腎臓病(CKD)があると、脳卒中や心筋梗塞など心血管病発症のリスクが高くなってしまいます。そして、最終的には透析や移植がさえ必要になってしまいます。そうはならないように、早め早めの予防と治療を心がけましょう。

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