全身に紅斑があらわれかゆみもひどい!扁平苔癬の代表的な症状とは?

扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは、全身に広がる可能性のある発疹を伴う病気ですが、症状が広がると治りにくいこともあり、皮膚に跡が残ってしまうこともあるようです。そんな扁平苔癬について詳しく記載します。

扁平苔癬について勉強しよう!

扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは、原因不明の皮膚の病気で、赤、紫色の発疹が全身、口の中や生殖器にまでできるとされる病気です。我慢できないほどのかゆみの症状があらわれることもあり、かいてしまうことで発疹がさらに広がって大きくなってしまうと言います。

この記事では扁平苔癬について、考えられている原因や、特徴的な症状、検査方法や治療方法などについて、詳しく記載させていただきます。

全身にあらわれる発疹!扁平苔癬について

扁平苔癬の特徴を見て行きましょう。全身のどこにもできることがあるといい、初期では離れて発症した発疹が、やがて融合して大きな網目状の発疹になってゆき、激しいかゆみを伴うこともあると言われています。

紫紅色をした発疹

扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは再発性のかゆみを伴う皮膚の病気で、小さい、赤か紫色(紫紅色(しこうしょく))の隆起した発疹(ほっしん)ができますが、最初は発疹は1つずつ離れていて、その後、複数の発疹が融合(ゆうごう)し、ザラザラしたうろこ状のかさつきを伴う丘疹(きゅうしん)になると言います。

よくみられる症状として、身体のあらゆる部分、ときには口内に、赤や紫色の隆起からなる、かゆみを伴う発疹が生じ、かさついたうろこ状の斑(はん)になると言います。1年以上、症状が続くこともあり、また再発することがあると指摘されています。

扁平苔癬(へんぺいたいせん): 皮膚のかゆみと非感染性の発疹: メルクマニュアル オンライン版 > 家庭版
http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/皮膚のかゆみと非感染性の発疹/扁平苔癬(へんぺいたいせん).html

我慢できない程のひどいかゆみ

扁平苔癬の皮疹はほとんどの場合かゆみを伴い、かなりひどいかゆみになることもあると言います。隆起した皮疹は紫色をしており、正常な皮膚との境目に傾斜がついていて、横から光をあてると、この隆起には独特の光沢がみられると説明されています。

皮膚をかいたり、皮膚に軽いけがをしたりすると新しい皮疹(ひしん)ができ、皮疹が治った後も、その部分の色が変化して皮膚に残ることがあると指摘されています。

小さな発疹がそれぞれ離れて発症

扁平苔癬の典型的な皮膚病変は、栗粒(あわつぶ)大で多角形の境界鮮明な紫色の扁平な丘疹が複数増加して、強い掻痒(そうよう:かゆみ)を伴い、丘疹の中央が陥没することもあるとされていて、また、やがて丘疹が癒合(ゆごう:融合)すると、特徴的な網目状に配列した白色線条(はくしょくせんじょう:Wickham線条という)があらわれると言います。

膝(ひざ)、肘(ひじ)、手関節の屈側、下腿(かたい;ひざから足首までの部分)伸側、仙骨(せんこつ)部(背骨の腰の部分)に好発し、腋窩(えきか;脇の下)、鼠径(そけい)部(脚の付け根)、乳房下部にもあらわれる場合がああると指摘されています。

うろこ状のカサついた丘疹

上述のとおり、扁平苔癬では、複数の発疹が融合した結果、体のさまざまな部分に、ザラザラしたうろこ状の、かさつきを伴う丘疹ができると指摘されています。

扁平苔癬(へんぺいたいせん): 皮膚のかゆみと非感染性の発疹: メルクマニュアル オンライン版 > 家庭版
http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/皮膚のかゆみと非感染性の発疹/扁平苔癬(へんぺいたいせん).html

感染症に合併している場合

また扁平苔癬の原因として、過去にはカラーフィルムの現像液に触れて誘発される、といった原因がよく指摘されていたようですが、最近ではC型肝炎やエイズウイルスなどの感染症に合併するケースが多くなってきていると説明されています。

薬の副作用も!扁平苔癬の原因について

扁平苔癬の原因については、まだ解明されていないとようですが、薬剤が原因で起こることがあると言います。薬剤が原因で起こる皮疹は、薬疹と呼ばれますが、重い症状に発展することがあり注意が必要であるとされます。

詳しく解明されていない

原因はいまだはっきりとしていないと言われています。自己免疫反応の異常が背景にあると考えられているとも指摘されています。

特定のリンパ球がダメージを与える

また扁平苔癬の原因については、ある種のリンパ球が皮膚の細胞を攻撃するために起こる病気と考えられるようになってきていると言います。このため表皮真皮(ひょうひしんぴ)接合部にバンド状のリンパ球浸潤(しんじゅん)をきたす特徴的な苔癬状(たいせんじょう)炎症反応があり、表皮は肥厚して鱗屑(りんせう)を伴っていると指摘します。

薬剤が原因

薬剤が原因で生じた扁平苔癬に似てる発疹は、扁平苔癬型薬疹(へんぺいたいせんやくしん)として扁平苔癬とは区別されると言います。

扁平苔癬型薬疹の原因には、β(ベータ)-ブロッカー、NSAID、ACE阻害薬、スルホニルウレア、金製剤、抗マラリア薬、ペニシラミン、チアジドなどの薬剤が挙げられ、扁平苔癬型薬疹は非薬剤誘発性のものとでは区別できないことがあったり、より湿疹(しっしん)に近いパターンを示すことがあるとも言われています。

脱毛も!扁平苔癬の詳しい症状とは?

扁平苔癬の症状をさらに詳しく見て行くと、かゆみや発疹の症状が治まったあとに色素沈着と呼ばれる跡が残ってしまったり、頭皮に生じて脱毛の症状が出たりすることもあるようです。

かきむしると新しい発疹が現れる

扁平苔癬では、引っかくなど外力が加わったところに同じような発疹ができるケブネル現象があらわれると言います。

ケブネル現象は発疹がない正常な皮膚を掻いたり傷つけたりすると、そこに新たな発疹があらわれる状態のことを呼ぶとされ、ケブネル現象は乾癬(かんせん)の人に多くみられる症状で、乾癬以外の皮膚疾患でも起こることがあるとの説明があります。

乾癬とは慢性の経過をとる皮膚疾患のことで、人によって症状や発症する場所が異なり、治療方法も様々で典型的な症状として、皮膚から少し盛り上がった 浸潤(しんじゅん)、肥厚(ひこう)、 赤い発疹(紅斑(こうはん))の上に、銀白色のフケのようなもの(鱗屑(りんせつ))が付着し、ポロポロとはがれ落ちる症状があらわれると言います。

乾癬がなぜおこるかはわかっておらず、乾癬になりやすい体質の人に、感染症や精神的ストレス、薬剤などの要因が加わることで発症すると考えられていて、さらに糖尿病や脂質異常症(ししついじょうしょう:高脂血症(こうしけっしょう)とも言います)、肥満なども影響するとも指摘されるようです。

色素沈着を起こし跡が残る

扁平苔癬の発疹が消えた後、症状が軽快した後で、皮膚に色素沈着(しきそちんちゃく)が残ると言われています。皮膚の色素沈着は、さまざまな原因で皮膚に炎症が生じ、症状がおさまった後に、色素が残ってしまうも状態のことをいい、一過性のものと慢性のものがあるとされています。

ケガなどの傷や、やけどが治った後に色素沈着する場合などが一過性で、アトピー性やナイロン・タオル性など皮膚の炎症を繰り返すことでおこるものが慢性であると説明されています。

発疹は身体の両側に現れる

扁平苔癬の皮疹は多くの場合、体の両側に均等にできると言います。発疹ができやすい好発部位は、胴体や四肢(手首の内側、脚)、陰部(亀頭、腟(ちつ)の中)で、この病気の約半数で、口内にびらん(ただれ)ができます。一方で顔に皮疹が出ることはまれであるとも言われています。

扁平苔癬(へんぺいたいせん): 皮膚のかゆみと非感染性の発疹: メルクマニュアル オンライン版 > 家庭版
http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/皮膚のかゆみと非感染性の発疹/扁平苔癬(へんぺいたいせん).html

四肢に生じた場合

四肢にできた場合には、発疹が特に大きく厚くなり、上述のとおり、うろこ状のかさつきを伴い、発疹が融合し広がって行くと言います。また扁平苔癬で、皮疹が頭皮にできると、部分的に脱毛してしまうこともあると言われています。

扁平苔癬(へんぺいたいせん): 皮膚のかゆみと非感染性の発疹: メルクマニュアル オンライン版 > 家庭版
http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/皮膚のかゆみと非感染性の発疹/扁平苔癬(へんぺいたいせん).html

頭部に生じると脱毛

さらに、扁平苔癬の皮疹が頭皮にできると、部分的に脱毛してしまうことがあるとも指摘されています。

扁平苔癬(へんぺいたいせん): 皮膚のかゆみと非感染性の発疹: メルクマニュアル オンライン版 > 家庭版
http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/皮膚のかゆみと非感染性の発疹/扁平苔癬(へんぺいたいせん).html

他の病気かも!扁平苔癬の治療方法とは?

扁平苔癬の検査、診断方法と治療方法を見て行きましょう。まず他の病気との鑑別診断が必要であるとされ、様々な可能性を疑う必要があるようです。扁平苔癬と診断が確定すれば、ステロイド薬が使用されるのが一般的とされています。

検査と診断

診断は特徴的な皮疹がどのように分布しているか、広がりかたの経過などの臨床像から診断され、確定診断には、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査(生検)が行われると言います。生検では,表皮真皮(ひょうひしんぴ)接合部にバンド状のリンパ球浸潤をきたす特徴的な苔癬状(たいせんじょう)炎症反応があるといい、表皮は肥厚して鱗屑(りんせつ)を伴っているとされます。

鱗屑(りんせつ)とは、角質細胞が皮膚にはがれかかった状態で付着している状態のことであると言われます。また、C型肝炎やエイズウイルスと関連することもあり血液検査が行われるといい、エリテマトーデスおよび二期梅毒との鑑別診断が重要であるとも指摘されています。

口腔内で起こった扁平苔癬の鑑別診断が必要なものは、カンジダ症、がん、アフタ性潰瘍(かいよう)、天疱瘡(てんぼうそう)、瘢痕性類天疱瘡(はんこんせいるいてんぽうそう)、慢性多形紅斑(まんせいたけいこうはん)などで、さらに薬疹として扁平苔癬を疑い、薬剤との関連も検討されると言います。

ステロイド外用薬

多くの場合で、ステロイド外用薬が用いられると言います。限局的な症例の大部分では、コルチコステロイドを外用薬として用いるのが第1選択の治療であるとされています。効力の強い軟膏またはクリーム(クロベタゾール、フルオシノニド)は四肢の厚い病変に用いられるようです、

それより効力の弱い薬剤(トリアムシノロン、デソニド)は顔面、鼠径部(そけいぶ)、腋窩(えきか)に用いられると言います。しかし副作用、すなわちコルチコステロイドによる萎縮(いしゅく:皮膚が薄くなること)のリスクを低減するために、漫然と使用し続けてはいけないとされています。

ステロイド含有テープ

また扁平苔癬が治りにくい場合には、ステロイド含有テープの使用や光線療法(PUVA療法)が行われる場合もあると言います。

光線療法とは、光を人工的に作り出して、それを体に照射することによって治療する治療法で、紫外線(ultra violet :UV)の長波長(UVA : 320~400nm)、中波長(UVB : 290~320nm)には皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する働きがあるため、乾癬(かんせん)の治療に用いられると言われています。

PUVA療法とは、光線に対する感受性を高めるソラレンという薬剤を使用し、UVAを照射する光線療法で、PUVA療法には外用PUVA(ソラレンを発疹部位などに塗ってUVAを照射する)、内服PUVA(ソラレンを服用してUVAを照射する)、バスPUVA(ソラレンを含む温水に入浴した後、UVAを照射する)の3種類があり、日本では主に外用PUVAが行われると指摘されています。

光に対する感受性が高くなるため、外用PUVAや内服PUVAの場合、実施後12時間は日光にあたらないようにする必要がありますが、バスPUVAの場合はソラレンの効果はすぐになくなるので遮光の必要が無いとの説明があります。

口唇や口のなかの頬粘膜の発疹の場合

口唇や口のなかの頬粘膜(きょうねんまく)の発疹には、ビタミンA類似物質であるレチノイド(チガソン)の内服が効果があることがあるとの指摘があります。

一方でレチノイドの内服(アシトレチン30mg、1日1回、8週間)は、それ以外の治療が奏功しなかった場合に適応になるとの指摘もあり、口腔内の扁平苔癬に対しては、リドカインのビスカス製剤は、表面の崩れた潰瘍(かいよう)の症状に有用であるなどとの説明もあります。

かゆみがある場合

扁平苔癬のかゆみの症状に対しては、抗ヒスタミン薬が用いられると言われています。ヒスタミンは肥満細胞から出され、くしゃみや鼻水、かゆみの原因になる物質で、抗ヒスタミン薬はヒスタミンの働きを抑える薬であると言います。

自己判断せず皮膚科で治療を!

最後までお読みいただきありがとうございました。扁平苔癬は全身におきる可能性のある発疹ですが、このような症状の他の病気も念頭において診断、治療する必要があるとされますので、上記に記載の症状があったとしても自己判断をせずに、皮膚科を受診して検査を受けた上で治療をすることが重要であると思われます。

記事内容に関する通報フォーム

関連するまとめ

こんなまとめも人気です♪

[溶連菌感染症の症状・原因・治療法]大人も要注意!発疹やかゆみが出る前に予防するための方法まとめ

[溶連菌感染症の症状・原因・治療法]大人も要注意!発疹やかゆみが出る前に予防するための方法まとめ

発疹には意外な病気が隠れてる?注意すべきその他の症状や、病気の種類を大人と子供に分けて解説

発疹には意外な病気が隠れてる?注意すべきその他の症状や、病気の種類を大人と子供に分けて解説

帯状疱疹の初期症状でチクチク、ピリピリ痛い!原因は昔かかった水ぼうそう?11の原因と症状や対処法を徹底解説します!

帯状疱疹の初期症状でチクチク、ピリピリ痛い!原因は昔かかった水ぼうそう?11の原因と症状や対処法を徹底解説します!

赤ちゃんの突発性発疹は産まれて初めての試練です!外出やお風呂は大丈夫?ママが知りたい症状と対処法など11のまとめ!

赤ちゃんの突発性発疹は産まれて初めての試練です!外出やお風呂は大丈夫?ママが知りたい症状と対処法など11のまとめ!

【梅毒の初期症状】かゆみやしこり・発熱など早期発見で症状の進行を防ぐために必要なポイント

【梅毒の初期症状】かゆみやしこり・発熱など早期発見で症状の進行を防ぐために必要なポイント

このまとめのキュレーター

カテゴリ一覧

内容について連絡する

運営会社 | WELQについて | お問い合わせ | プライバシーポリシー | ご利用上の注意 | 会員規約

WELQ [ウェルク] | ココロとカラダの教科書