ディフェリンゲルの効果とは?妊娠中は使っちゃダメ!?その5つの知識と6つの副作用や緩和する方法などを解説します!
ディフェリンゲルとはニキビに対して効果的な、アダパレンを主成分とする外用薬です。アダパレンとはレチノイドの一種で、トレチノインと同じような働きをします。角質が増えることを抑制するので、毛穴のつまりが改善でき、それによりニキビを治療していきます。また、デフェリンゲルは効果のある反面、副作用が起こることでも知られていますが、この症状は2週間程度で治まるので、深刻に考えなくても大丈夫でしょう。
ディフェリンゲルの効果とは
ディフェリンゲルとはニキビの原因となる毛穴の詰まりを改善することによって、ニキビを予防・改善していくニキビ治療の外用薬です。ニキビに対する効果は非常に高く、現在では一般的なニキビ治療薬として知られています。
しかし、副作用(随伴症状)が多いことでも知られているので、嫌煙してしまったり途中で使用をやめてしまったりする人も多いようです。その症状は一時的なものなのであることや、継続的に使用することでニキビが改善することなどを、もっと理解する必要があると言えます。ディフェリンのことを正しく理解して、効果やそれに伴う症状や対処法などを詳しく見ていきましょう。
ディフェリンゲルとは?
2008年に保険診療認可
ディフェリンゲルとは、2008年に保険適用となった、ニキビ治療の外用薬です。ニキビ治療に対する考えは、ここ20年ほどで大きく変化し、現在では「ニキビは皮膚科で治療するもの」という考えが広く知れ渡るようになりました。
90年代前半頃はニキビを積極的に治療する皮膚科はほとんどなかったようです。ニキビに対する特別な薬は無く、抗生剤を処方したり、面圧という処置をしたりする程度だったようです。そのため、ニキビに悩む患者さんは、ニキビ用の化粧品や洗顔フォームを使用して対処するという状況だったようです。
90年代後半頃になると、ニキビ治療に積極的な美容皮膚科が頭角を現し、海外の治療法を取り入れながらニキビを治療していくようになりました。その治療は驚くほどの効果を上げ、これまで治せなかった重症なニキビも改善できるようになりました。
しかし、その治療は保険がきかない自由診療だったため、効果のある反面お金のかかるものであり、一般的な治療と呼ぶには少し難しいものでした。海外での治療を取り入れたことによる効果が高かったことや、ニキビは皮膚科で治すものという考えが一般的に広まり、2008年にようやくディフェリンゲルというニキビ治療薬が厚生労働省に認可され、保険適用になりました。
ディフェリンゲルが万能薬というわけではありませんが、この薬が使用できるようになり、ニキビ治療の新しい方法が増えたということになります。
アダパレンという成分
ディフェリンゲルはアダパレンという化合物が主成分のニキビ治療用のゲル状の塗り薬です。ディフェリンゲルにはアダパレンが0.1%含まれています。海外ではさらに濃度の高い0.3%のアダパレンが含まれたディフェリンゲルが治療に使われています。アダパレンとはビタミンA誘導体(トレチノイン)と似たナフトエ酸誘導体という物質でトレチノインのような働きをします。
軽症のニキビの治療に有効
ディフェリンゲルは炎症を起こす前の軽度のニキビに効果的と言われており、初期のうちに治療することで、炎症の強い重症なニキビへ進行することを防ぐことができます。しかし、炎症が進んだ重症なニキビに対しても、ダラシンTゲルなどの抗生剤と組み合わせることにより効果があるという報告もあるようです。
現在認可されているディフェリンゲルのアダパレン濃度が0.1%と低いので、改善まで時間がかかってしまうのが現状です。なので、重症なニキビに対してより早く効果を得たい場合は、自由診療によるニキビ治療を視野に入れてみても良いかもしれません。
毛穴が狭くなるのを防ぐ作用
ニキビは皮脂の分泌増加と毛穴が詰まることが原因で始まります。主に毛穴は角栓で塞がれてしまいますが、この角栓は皮脂と古くなった角質からできています。特に思春期では、第二次性徴に伴いホルモンバランスに変化が生じ、急速に皮脂の分泌が増えます。すると、皮脂の排泄が追いつかず、毛穴がつまりやすくなり、ニキビができてしまいます。
また、思春期でなくとも、ターンオーバーの乱れなどで角質が肥厚していると、毛穴をふさいでしまい、ニキビができやすくなってしまいます。このように、皮脂や角質が増えることで毛穴がつまり、ニキビの原因となってしまいます。
ディフェリンゲルは、角質細胞が増えすぎるのを抑える作用があるので、角栓や角質を減少させ、毛穴のつまりを改善し、ニキビを治療していきます。これは、思春期ニキビの80%に効果があると言われています。
にきび跡には効果が無いとは言い切れない
ディフェリンゲルには角質を薄くする作用があるので、ターンオーバーが促進されます。それにより、ニキビ跡の改善も見込めるかもしれません。ディフェリンゲルは、ニキビ跡に対して直接的な効果はありませんが、長期で使用することにより、肌質改善が見込まれるので、ニキビ跡が改善することも考えられます。
レチノイドとは?
ビタミンA関連の化合物
ビタミンAの関連化合物(下記)はレチノイドと総称されています。
●レチノール(ビタミンAと呼ばれている物質)
●レチナール(主に視覚作用に関係)
●レチニールエステル(レチナールの脂肪酸エステル(脂肪に溶け込んだもの))
●レチノイン酸(レチノールの誘導体(ビタミンA誘導体)トレチノイン)
しかし、レチノイドの定義はひとつではなく「生化学上の定義」と「化学的な定義」があり、レチノイドを指す物質が異なる場合があります。
簡単に言うと
●化学的な定義 ビタミンA関連化合物を総称してレチノイドと呼ぶ
●生化学的な定義 レチノイド特有の作用をするものをレチノイドと呼ぶ(特異的な受容体と結合することにより、レチノイン酸が持つ生物活性を発揮する化合物すべて)
なので、後者の「生化学的な定義」では、合成レチノイドも含まれるということになります。すなわち、ビタミンAとは全く似ていない化学構造を持つ化合物でも、レチノイドと同じような作用をする物質をレチノイドと呼んでいます。なので、トレチノインと似た作用を持つアダパレンもレチノイドということになります。
http://www.cosmetic-medicine.jp/list/tretinoin.html
レチノイドの概念
トレチノインとアダパレンの違い
レチノイン酸(トレチノイン)
レチノイン酸はトレチノインとも呼ばれ、レチノール(ビタミンA)の誘導体として知られています。誘導体とは、その物質が壊れにくく、また肌に浸透しやすいようにしたものです。
レチノールは肌に塗ってもほとんど吸収されませんが、レチノイン酸(トレチノイン)を肌に塗ると、速やかに吸収されて、真皮層でレチノールとして働きます。また、レチノイン酸(トレチノイン)はアメリカではシワやニキビの治療薬品として多くの患者さんに使用されています。
角質を薄くする
トレチノインは角質を剥がれやすくするのに対し、アダパレンは角質細胞の増殖を抑えることで角質を薄くいていきます。どちらも角質を薄くするという作用は同じですが、機序が異なります。
メラニンを排泄
トレチノインもアダパレンもターンオーバーを促進する作用があるので、どちらもメラニンの排出には効果的だと考えられます。ターンーバーが促進されることにより、メラニン色素を含む細胞を早く排出できます。
保険適用外
トレチノインは、アメリカではシワやニキビの治療薬品としてFDA(日本の厚生労働省のようなもの)に認可されていますが、日本では厚生労働省に認可されていないため、保険適用外となってしまいます。しかし、自費であれば医師の管理下の元使用することができます。一方アダパレンは、2008年に保険適用となりましたので、ニキビと診断されれば保険でお薬を出してもらえることができます。
ディフェリンゲルの副作用
随伴症状と呼んだ方が正しい
ディフェリンゲルは副作用が生じます。しかし、副作用とは「医薬品の使用に伴って生じた治療目的に沿わない作用全般」のことを呼びますが、ディフェリンゲルを使用した際に出る症状は、薬の効果による症状で「治療目的に沿った症状」となります。なので、ディフェリンによる症状は、副作用と呼ぶよりも「随伴症状」と呼ぶ方が正しいと言えます。
発現率80%
この随伴症状(副作用)は、全体の80%の患者さんに現れるといわれています。ディフェリンゲルを塗り始めて3〜4日ほど経過すると随伴症状(副作用)が出現しますが、2週間ほどで落ち着くと言われています。
なので、随伴症状(副作用)が出ると嫌がってやめてしまう人も多いですが、2週間経てば症状は落ち着いてきますので、途中でやめたりせずに頑張って続けてみましょう。効果を出すためには長期的な使用が必要になります。(効果が出るまでに数カ月かかることもある)
乾燥、ヒリヒリ感
乾燥、かさつき、ヒリヒリ感、痛みなどの症状は全体の患者さんの約半数程度に現れます。角質層は水分保持やバリア機能を持ちますが、角質が薄くなったことによって、肌が乾燥したり、刺激に弱くなったりしてしまいます。そのため、このような症状が出現してしまいます。
落屑(らくせつ)
落屑は全体の患者さんの3割程度に現れます。これは皮がポロポロと剥けてくる症状で、ターンオーバーが早まっているために起こります。ターンオーバーが早まることで、新しい細胞が通常より早く入れ替わるので、古い細胞がどんどん落ちていきます。皮が剥けてくると剥がしたくなってしまいますが、無理に剥がすと炎症性色素沈着を引き起こす可能性があるので、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
赤み
赤みは全体の患者さんの2割程度に現れます。これは、角質層が薄くなったことで毛細血管が透けて見えることや、炎症によって毛細血管が拡張していることが原因だと言われています。
かゆみ
かゆみは全体の患者さんの1割程度に現れます。角質層は肌をバリアする役割を持ちますが、角質層が薄くなったことで刺激に対して敏感になり、かゆみを生じることがあると言われています。辛いですが、角質層が薄くなっているので、極力かかないようにしましょう。(炎症性色素沈着を引き起こす可能性があります。)
随伴症状を緩和する方法
保湿剤
ディフェリンゲルによる随伴症状(副作用)は、角質層が薄くなったことによって起こります。そのうち、乾燥やバリア機能の低下は保湿剤で補うことができます。
デフェリンゲルを塗布する前に、ノンコメドジェニックの表示のある化粧水や乳液などの保湿化粧品や、保湿外用薬を使って保湿しましょう。ノンコメドジェニックとは、ニキビができにくいことを確認している低刺激性保湿化粧品のことです。
使用量を守る
早く治したいからといって、使用量や使用頻度を守らずに使うと随伴症状(副作用)はかなり出現しやすくなります。ニキビのある部分へ大量に塗っていたり、1日2回など回数を増やしたりすることはやめましょう。
使い方
洗顔後、化粧水をぬってから
ディフェリンゲルは、きれいに洗顔し、化粧水や乳液などで肌を整えた後に塗布しましょう。洗顔はたっぷりの泡で包み込むように優しく洗い、強くこすったりせず泡でなでるように洗いましょう。
また、すすぐ時は必ずぬるま湯を使い、すすぎ残しがないように丁寧にすすぎましょう。(お湯が暑すぎると油分を過剰に洗い流してしまう可能性がある、冷たいと汚れが十分に落ちない可能性があります。)
洗い終わったら柔らかいタオルで、こすらず軽く押さえるように水分を拭き取り、化粧水と乳液をつけて保湿しましょう。(化粧水や乳液はノンコメドジェニックのものをおすすめします。)
1日1回寝る前の洗顔後
ディフェリンゲルは1日1回の使用が正しい頻度です。なので、夜の洗顔後にディフェリンゲルを塗布しましょう。ニキビとその周辺にデェフェリンゲルを塗り、塗り終わったら他の部位に影響が出ないように必ず手を洗いましょう。
妊娠中の使用について
使用を禁止している
妊娠中に使用するのはやめましょう。使用中に妊娠した場合は、使用をすぐにやめて医師に相談しましょう。アダパレンを妊娠中の実験動物に大量投与したところ、骨や臓器に異常がある子どもが認められたようです。また、海外では催奇形性が認めらたという報告もあります。
アダパレンはビタミンAではありませんが、ビタミンAのような作用を示します。ビタミンAの過剰摂取により水頭症・口蓋裂・奇形児の発生が高まると報告されているので、アダパレンも関連がないとは言えないでしょう。
実際にディフェリンによる奇形は日本では報告されておらず、海外の報告もアダパレンとの関連が非常に強いものではないとされているが、何かあったからでは遅いので注意するようにしましょう。
まとめ
ディフェリンとはアダパレンを主成分とするニキビ治療薬です。アダパレンは角質が増えるのを抑えて、毛穴が詰まることを予防し、ニキビを治療・改善していきます。
アダパレンはトレチノインと同じような働きをするレチノイドの一種ですが、日本で保険適用されているレチノイドはアダパレンだけです。海外ではトレチノインやもっと濃度の高いアダパレンが保険適用されているので、日本でも保険適用される日が来るかもしれません。そうすればさらに高い効果が期待できるでしょう。
また、ディフェリンゲルは随伴症状が80%と高い割合で発生します。これは、アダパレンの作用で角質が薄くなったために起こりますが、2週間ほどで改善していきます。ディフェリンゲルは長期で使用しないと効果が出ない場合もあるので、随伴症状が出現したからといって使用を中断しないようにしましょう。
また、随伴症状を和らげるために、デフェリンゲルを塗る前はしっかし保湿をし、使用量や頻度を守るようにしましょう。このようなことを理解して、ディフェリンゲルを効果的に使用し、ニキビを改善していきましょう。
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