これは前立腺の痛み?風邪のような症状や血尿に気をつけて!それぞれの症状による3つの治療法と直腸診などの検査方法を紹介
男にしかない臓器、前立腺。前立腺がなんらかの原因で炎症を起こすと、会陰部や下腹部痛とともに排尿障害などを引き起こします。世界で近代多くなっている前立腺がんにも移行する可能性のある前立腺炎のことを、正しい情報で詳しく知っておきましょう。
前立腺とは?
前立腺は男性特有の生殖器で、無くても生きてはいけますが生殖活動には必須となる臓器です。形と大きさは栗のそれとほぼ等しく、重さは成人でも15~17g、大きさは3cm程度。前立腺の外側はしっかりとした被膜に守られており、膜の内側には前立腺液を分泌する腺などがあります。
その役割は前立腺液と呼ばれる、精液の30%を占める成分を分泌する器官です。さらに射精のために精液を送る、また尿道を囲んでいることから排尿などのポンプの役割も担っています。事実、前立腺が肥大化すると尿がすっきり出ない、何度もトイレに立つなど排尿障害が多くみられるようになります。
このように前立腺には排尿と射精に大きくかかわっているとされていますが、実は前立腺の機能の全容はあまりわかっていません。その働きや仕組みがまだ解明されていない点が多いことから「未知の臓器」とも呼ばれているそうです。
前立腺が痛む原因とは?
前立腺が細菌などの感染によって炎症を起こした場合やなんらかの原因で前立腺が肥大したときなどは、会陰部(陰嚢周辺から肛門)や下腹部などに痛みが発症する場合があります。
感染といっても必ず痛みがあるわけではなく、熱っぽいというだけで済む場合もあります。ただ前立腺が肥大したときは、前立腺の中を通っている尿道を圧迫してしまい、排尿や射精の時に痛みを生じさせることがあります。
痛みは前立腺がんのときも似たようなものですので、下腹部から会陰部にかけての痛みとともに残尿感や血尿などいつもと違う症状が重なっているような場合は急いでがん検査も検査してもらいましょう。
前立腺炎の痛みは人によってさまざまな症状を引き起こす?
前立腺痛が起きることから考えられる病気は、まず前立腺炎が当てはまります。ほかにも前立腺肥大症や前立腺がんが考えられます。
どの病気も前立腺に炎症などの異常がでてきますが、最も多く痛む箇所は会陰部や鼠蹊部、下腹部の痛みです。痛みの程度もムズムズとする違和感から座っていられないほど痛むものまでさまざまにあります。また風邪をひいたように発熱を伴い、頻尿や排尿痛などが起こります。
ほかには軽い膀胱炎や前立腺肥大症では、精液に膿や血液が混じることがあったりするようです。痛みはあまり無く38度以下の微熱程度しか無い場合もあり、その痛みは個人差によって大きく変わります。
稀に前立腺がんである場合もありますが、症状はほとんどなく進行速度も遅いため検査を定期的に行っていれば比較的早期に発見することがほとんどのようです。
前立腺炎の種類と原因とは?
前立腺炎には急性と慢性があり、急性では発熱や風邪のような症状に排尿痛や下腹部不快感などで風邪と間違われることもよくあるようです。慢性では股間部や睾丸、陰茎、鼠蹊部などにも痛みや不快感が感じられるようになります。尿切れが悪かったり射精痛がある場合もあります。
急性前立腺炎
細菌が感染して起こる急性の前立腺炎のことを「急性前立腺炎」言います。前立腺が炎症を起こして腫れているので、真ん中を通っている尿道を圧迫して頻尿や排尿痛がでてきます。ほかにも会陰部痛や下腹部痛を起こす場合もあります。
原因菌としては大腸菌や淋菌、クラミジアなどによるものがあります。大腸菌が原因でおこる症状には風邪をひいたように40度前後の発熱を伴い、頻尿や排尿痛などが起こります。ただ発熱や痛みなどの症状は個人差が大きく、全く知らずに長寿を全うされている人も多くいるということです。
また性感染症の原因菌である淋菌やクラミジアなどでは特に自覚症状がなく精液に膿や血液が混じるだけの場合もありますが、排尿痛や不快感があることもあるようです。
慢性前立腺炎
慢性前立腺炎には、細菌感染が原因の慢性細菌性前立腺炎と一般細菌が検出されない慢性非細菌性前立腺炎の2つがあげられます。
慢性細菌性前立腺炎の症状はそれほど強くないようです。痛みはあまり無く38度以下の微熱程度しかありません。ほかには軽い膀胱炎や前立腺肥大症のような症状が出て、精液に膿や血液が混じることがあったりするようです。
主な原因菌はブドウ球菌や大腸菌などといったもので、急性の前立腺炎が慢性化したものがほとんどですが、慢性前立腺炎のなかでは10%と少数派です。
慢性非細菌性前立腺炎
慢性非細菌性前立腺炎は全体の90%を占めていて、通常の検査で発見されない細菌やクラミジアなどを原因とする炎症性のものと炎症が見られない非炎症性のものとに分かれます。慢性非細菌性前立腺炎は一般細菌が検出されない場合に呼ばれるものですが、一部結核菌が培養検査で検出される場合もあるそうです。
非炎症性の原因としては、骨盤内の鬱血や前立腺液の浸潤、尿の逆流や欠席が考えられていますが、まだはっきりとした原因はわかっていないようで心理的なものもひとつの原因ではないかともいわれています。
前立腺炎の検査方法とは?
前立腺の異常を調べるときは「直腸診」が行われます。直腸診とは、お尻から指を入れて前立腺を直腸壁越しに触れて異常を確かめる検査です。通常はつるつるした丸い前立腺が正常の場合は特に痛みもありませんが、異常のある場合は触れるとデコボコしていたり固くなっていたり、また触れるだけで痛みがある場合は前立腺や周囲が腫れていたりガンが存在する可能性があります。
ただ直腸診は前立腺の表面の状態しか確認することができません。前立腺をマッサージして前立腺液を尿道へ押し出して、前立腺液の混ざった尿で白血球や細菌の有無を調べます。
前立腺炎の診断時の注意点とは?
前立腺炎の診断には肛門から医師が指を入れて直腸壁越しに前立腺の大きさや表面の様子を触れて診断する直腸診とられます。直腸診は手袋もはめて指先だけ挿入して優しく触れる程度で行われますが、検査には前立腺マッサージをおこなう場合があります。
この前立腺マッサージでは前立腺を刺激することで少量の前立腺液を押し出すことが目的ですが、まれに尿道に傷などがあると感染原因の菌が体内に入ってしまい敗血症を引き起こしてしまうことが考えられます。本当に少ないリスクではありますが、初期診断での強めの刺激で直腸診をおこなうことは泌尿器科のなかでは禁忌とされているそうです。
前立腺炎の治療法とは?
急性前立腺炎の場合の治療方法とその期間
高熱と会陰部や下腹部痛を伴いますので、長時間の歩行や座位がつらくなる場合がありますので通常は一週間程度入院して治療することがほとんどです。細菌感染が原因の場合が多いので、基本的には抗菌剤の投与が主体となります。ほかにも解熱剤の投与や尿道カテーテルを使用して、炎症が改善するまで導尿で経過観察します。
ニューキノロン、ミノマイマイシン、ペニシリン、オラセフ、ケフレックスなどのなかでも、感受性のあるものを選んで投与し、しばらくしてから前立腺マッサージあとの尿検査で完治を確認する必要があります。
慢性細菌性前立腺炎の場合の治療方法とその期間
慢性細菌性前立腺炎の症状はそれほど強くないようです。痛みはあまり無く38度以下の微熱程度しかありません。ほかには軽い膀胱炎や前立腺肥大症のような症状が出て、精液に膿や血液が混じることがあったりするようですが、主な原因菌はブドウ球菌や大腸菌などといったものがほとんどといわれています。
急性前立腺炎と違って入院治療はほとんど行われません。細菌が原因ですので抗生物質の投与が主体となりますが、痛みなどがあれば痛み止めなど対処療法がとられます。物理療法として温熱療法なども行われることもあるようです。
急性の前立腺炎が慢性化したものがほとんどですが、慢性前立腺炎のなかでは10%と少数派です。
慢性非細菌性前立腺炎の場合の治療方法とその期間
慢性非細菌性前立腺炎は全体の90%を占めていて、通常の検査で発見されない細菌やクラミジアなどを原因とする炎症性のものと炎症が見られない非炎症性のものとに分かれます。
非炎症性の原因としては、骨盤内の鬱血や前立腺液の浸潤、尿の逆流や欠席が考えられていますが、まだはっきりとした原因はわかっていないようで心理的なものもひとつの原因ではないかともいわれていますが、確立した治療法はありません。症状が出たり引っ込んだりするまだら症状が特徴ですので、うつ病の症状とも似ていることから精神疾患と捉えている医師や学者もいるようです。
使用する薬物は細菌感染の疑いから抗菌剤を使用することもあるようですが、ほかにも精神安定剤や抗不安剤、抗うつ剤、漢方薬などもしようされます。
もし症状が激しい場合で高齢者か子供を作る必要がないという場合はTURPという手術をおこなう場合もあります。TURPとは経尿道的前立腺切除術(Transurethral Resection of Prostate : TUR-P)のことで、尿道から内視鏡を挿入して前立腺組織と尿道粘膜を切除する手術法です。2時間ほどの手術時間で済み、約一週間で退院できます。
前立腺炎と似た症状を持つ病気とは?
前立腺炎の症状と似た症状を引き起こす病気がいくつかあります。
ひとつめは「精嚢炎(せいのうえん)」といって、精液の成分である精嚢液を作る精嚢が細菌感染を起こして起きる炎症のことで、前立腺炎を伴う急性精嚢炎と射精時に痛みが生じる慢性精嚢炎があります。
ふたつめは尿道炎で性感染症が主な原因です。クラミジアや淋菌がおもでほかにもマイコプラズマや腸内細菌によって引き起こされることもあります。
みっつめは前立腺がんです。前立腺がんは世界全体でみると男性がんの13.7%を占めていてがんのなかでも2番目に罹患率が高いがんとしていま注意喚起されているひとつです。特にアメリカでは男性のがんのなかで罹患率1位で死亡率も2位、日本でも近年急増していて2020年には肺がんに次いで罹患率が2位になると予想されているそうです。
もうひとつ注意しておきたいのは前立腺肥大症。「前立腺が肥大している状態」をいいますので病気とは言えませんが、病気を引き起こす手前の段階で対処すれば大事にはならないと考えられることから日頃から気を付けておくべきものとして注目を集めています。
まとめ
前立腺はなんらかの原因で肥大し、排尿障害や下腹部痛などを引き起こします。安易に放置してしまうと前立腺炎や前立腺がんなど重大な病気へと移行してしまう可能性がありますので、その手前である前立腺肥大症の時点で適切に対処し進行を阻止することがもっとも重要と言われています。
前立腺肥大は年齢とともに罹患率が高くなるようです。30歳代から始まって50歳代で30%と急激に増加し80歳代では90%に症状がみられるようになるそうです。しかしそのすべてが治療を必要としているのではありません。前立腺が肥大する原因と考えられているのは肥満、高血圧、高血糖などメタボリックシンドロームとの関係についても現在調査されているそうです。
男性の前立腺がんのようにプライベートゾーンとも言われる性器周辺部の異常は、命を脅かしかねない病気が隠れている場合があります。もし会陰部の痛みや排尿障害などが思い当たるような場合は、決して恥ずかしがらずにまずは泌尿器科を受診して検査することを強くお勧めします。
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