脂漏性皮膚炎の治療には抗真菌外用薬とステロイド薬が有効、漢方薬が奏功することも!

脂漏性皮膚炎は湿疹の一種です。赤ちゃんにできる乳児脂漏性皮膚炎は特に薬を使わなくてもスキンケアで治りますが、大人の脂漏性皮膚炎はなかなか治りにくく、再発するいことも多いようです。完治を目指すためには薬をきちんと使うことと、セルフケアが大切になります。今回は脂漏性皮膚炎の薬についてご紹介したいと思います。

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは?

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、湿疹の一種です。脂漏性湿疹とも呼ばれます。頭皮や顔(特にTゾーンや鼻の周り)など、皮脂分泌が盛んな部位に湿疹ができる皮膚の病気です。

脂漏性皮膚炎の症状・間違いやすい病気

頭皮や顔(特にTゾーンや鼻の周り)の他にも、耳の後ろや脇の下、太ももの付け根などが脂漏性皮膚炎ができやすい部位です。

最初に現れる症状は、赤くなることと、それに伴って細かいはがれかけの皮膚がくっつくことです。かゆみがあることもあります。頭にできるとフケや抜け毛の原因になります。治療せずに放っておくと治りにくくなり、加齢臭のようなニオイを発生させるそうですから、侮れません。

カサカサしてかゆいのでアトピー性皮膚炎と間違えられたり、ブツブツが顔にできるのでニキビと間違えられたりもするようです。その他、頭皮だけに症状がある場合は尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、身体にできたときにはタムシ(体部白癬)なども間違えられやすい病気です。

原因はカビ?!

脂漏性皮膚炎の原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、遺伝的要因や環境的要因、精神的ストレスなどが関与した多因子疾患と考えられているそうです。要するに、原因は一つだけじゃない、てことですね。

しかし、主な原因として、「Malassezia:マラセチア」というカビの一種が関係していることがわかってきているようです。
このマラセチアというカビは、皮脂を栄養源としているため、皮脂が豊富にある部位で増えます。そして皮脂を遊離脂肪酸というものに分解してしまいます。この遊離脂肪酸が、皮膚にとって有害で炎症などを引き起こし、結果的に脂漏性皮膚炎を発症させる原因の一つになっているそうです。

赤ちゃんの脂漏性皮膚炎は大人のものと違う?

生後1~4ヶ月頃の赤ちゃんにでやすい脂漏性皮膚炎は、乳児脂漏性皮膚炎と言います。特におでこから頭のてっぺんに黄色がかったうろこ状の皮膚炎が生じます。

原因は、生まれたばかりの赤ちゃんでは皮脂の分泌が多いからです。生後4ヶ月を過ぎると皮脂の分泌が減少してくるので、ステロイド外用薬を使わなくても自然に治ることが多いようです。
ただし、一部のケースでは、乳児のアトピー性皮膚炎になってしまうことがあるので注意が必要です。

これらの違いから、赤ちゃんの脂漏性皮膚炎と大人の脂漏性皮膚炎は別の病気である可能性も考えられます。

脂漏性皮膚炎に効果があるとされている薬は?

大人の脂漏性皮膚炎では、皮脂が多いこととマラセチアがいっぱいいるということが良くないようだ、ということがわかりました。では、治すためにはどのような薬を使うといいのでしょうか。

抗真菌外用薬:ニゾラール

マラセチアというカビが原因であることから、抗真菌外用薬が有効です。
「ニゾラール(一般名:ケトコナゾール)」という薬が保険で使用を認められています。ニゾラールは、効果がでるまでに2週間ほどかかります。ステロイドに比べ、副作用が少ない薬です。

以前は、ステロイド外用薬ばかり使われていたようですが、最近では抗真菌外用薬がよく使われるようになってきたそうです。
ステロイド外用薬だけでは薬を中止した後に症状が再び出やすいと言われていますが、抗真菌外用薬では中止後も再び症状がでるまでの日数が比較的長いそうです。すなわち、再燃しにくい、という利点があります。

添付文書では、脂漏性皮膚炎に対して1日2回塗布するように、と書いてありますが、症状により異なりますので、診察した医師の指示に従うようにしてください。
薬を塗るときにはやさしく塗るようにしましょう。摩擦は湿疹を悪化させてしまいます。

ステロイド外用薬:リンデロンやキンダベートなど

短期間ですぐに効果が出るのは、ステロイド外用薬です。頭皮には液体のローションを、顔などには軟膏タイプのものが使います。炎症を抑える効果を期待して使われます。

ステロイド外用薬は5段階の強さに分かれているので、部位や症状に合わせて選ばれます。症状が出やすい顔や首は皮膚が薄い部位のため、弱めのステロイドが選ばれることが多いようです。
具体的な商品名としては、比較的よく処方される「リンデロンV」が真ん中の強さのステロイドで、小児科でよく処方される「キンダベート」がやや弱い強さのステロイドになります。

ステロイドの副作用としては、皮膚が薄くなる、ヘルペスや吹き出物ができやすくなる、といったものがあるため、長期間使い続けるのは望ましくないようです。

ステロイド外用剤について

かゆみ止めやビタミン剤の内服も有効

<抗ヒスタミン剤など>
かゆみ止めの内服薬を使うこともあるそうです。かゆみが強い場合、掻きむしってしまうことによって湿疹を悪化させてしまうことがあります。なので、かゆみを軽減することが間接的に症状改善に有効になるというわけです。

<ビタミン剤の内服>
ビタミンBの不足によって脂漏性皮膚炎が悪化する場合があるため、その不足を補うために内服します。効果は弱めだそうですが、ビタミン剤を飲むことによって症状が改善することがあるそうです。
特に、ビタミンB2やB6は皮脂を少なくする効果が期待できるそうです。

漢方薬が奏功?!

西洋医学で良くならない時は、漢方薬なんかも気になりますよね。
脂漏性皮膚炎には、いくつかの漢方薬が効くという報告があります。

西洋医学の薬に比べ、漢方薬は効果がマイルドなことが多いようです。
漢方薬は飲み始めてから2週間くらいで、身体全体に行きわたります。皮膚のターンオーバーは4週間といわれているので、変化が出てくるのに6週間くらいかかるようです。

漢方薬の実際の使用例

<ケース1:39歳、女性:1年前から顔に赤みが生じ、皮膚科で抗真菌外用薬を処方されていたけれど、治らない>
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)1日7.5gを飲み始めたところ、1か月後より赤みが目だたくなり、半年後には治療を終了した。

<ケース2:42歳、男性:1年前より顔に赤みや小さいブツブツができ、抗真菌外用薬を処方されていたけど、効果がない>
抗真菌外用薬を続けたまま、十味敗毒湯1日7.5gを飲み始めたところ、赤みがだんだんとうすくなり、6週間語にはほとんど完治した。

<ケース3:50歳、女性:25年前から頭と耳にかゆみと赤みがあり、フケも多かった。ステロイド外用薬と抗真菌外用薬で治療するも良くならない>
治頭瘡一方(ちずそういっぽう)1日7.5gと温清飲(うんせいいん)1日7.5gを開始したところ2週間後に便秘が良くなったが、湿疹に変化はなかった。このため、加味逍遥散(かみしょうようさん)1日5gと十味敗毒湯1日7.5g、麻杏ヨク甘湯(まきょうよくかんとう)1日5gに変えたところ、2週間後にはフケが明らかに少なくなり、赤みも次第にうすくなっていった。かゆみが残っているため、約2か月後に荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)1日5gと麻杏ヨク甘湯1日5g、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)1日5gに変えた。また塗り薬をオキサロールローションに変更した。1か月後にはかゆみもごくわずかとなり、3か月後にはほぼ完治となった。

<ケース4:54歳、女性:10年前より頭のかゆみとフケが多くなった。抗真菌外用薬で治療するも良くならない>
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)1日7.5gと温経湯(うんけいとう)1日7.5gを2週間内服するも効果がないため、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)1日5g、麻杏ヨク甘湯1日5g、抑肝散加陳皮半夏1日5gに変更した。5週間後にフケが初めの4分の1くらいになり、8週間後にはほとんどなくなった。3か月後に湿疹はなくなった。

上記以外にもあと1症例が紹介されていますので、興味があれば参照してください。

十味敗毒湯についてもっと知りたい方は参照してください。

日常のケアに抗真菌薬を含むシャンプーを使おう

医薬部外品として薬局で市販されているシャンプーや石鹸の中に、マラセチアなどのカビに効く抗真菌剤が含まれたものがあります。毎日、使っていると予防的効果が期待できるそうです。

皮膚科医のオススメとして、持田製薬の「コラージュフルフルシリーズ」があります。

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薬以外に気を付けたいこと

脂漏性皮膚炎は、スキンケアや食生活の見直しなどをすることで、症状を軽くしたり発症を予防したりすることができると言われています。

正しいスキンケアをする

洗顔は朝晩の1日2回、洗髪は毎日するようにして、皮脂が多くでる部位をきれいにすると発症の予防や症状の改善につながります。

丁寧に洗うことが大事ですが洗いすぎは皮膚を傷つけていまうので逆効果です。特に、湿疹がある部位を強くこすると悪化しますので、やさしく洗って、しっかりと流すことを心がけましょう。

紫外線を避ける

紫外線がお肌にダメージを与える、というのはよく知られていますよね。夏になると紫外線対策の商品がお店にいっぱい並びます。

実は紫外線は脂漏性皮膚炎を悪化させる原因でもあります。肌にダメージを与えてしまうだけではなく、カビのように皮脂を肌に有害な脂肪酸に分解してしまう力があるそうです。

食事に気を付ける

日々の食事を気を付けることで脂漏性皮膚炎の悪化をふせぐことができます。

まず、皮脂を増やさないために、脂肪分や糖分、ナッツ、珈琲、アルコールを摂りすぎないようにしましょう。
また、便秘もお肌の調子を崩してしまいますので、「食物繊維」を多く含む食品を選びましょう。(例えば、豆、野菜、芋、改装、キノコ、こんにゃくなどです。)
そして、皮脂を減らす効果が期待できる「ビタミンB」を多く含んだ食品を積極的に摂るようにしましょう。(例えば、レバー、シジミ、牛乳、卵、ほうれん草、トマト、キャベツなどです。)

脂肪分たっぷりのラーメンや揚げ物、甘~いケーキ、飲み会での暴飲暴食なんかはNGです!

ストレスを溜めず、規則正しい生活をする

ストレスや過労、寝不足もお肌の調子を崩してしまいます。ストレスをためずに規則正しい生活をするように心がけましょう。

最後に

脂漏性皮膚炎はいかつい名前の割に、日常的によくみられる皮膚の病気です。
あかみやフケが増えてきても、まぁ、いいや、と放っておくと悪化して治りにくくなってしまうかもしれません。
もしかしたら、これ、脂漏性皮膚炎かも?と思ったら早めに病院を受診するようにしましょう!

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