スコポラミンって酔い止めなの?5つの効果と4つの用途や副作用とは?

スコポラミンは抗コリン作用のある平滑筋弛緩薬(鎮痙薬) の一種で、副交感神経を抑制する作用があります。手術前の鎮静剤として使ったりパーキンソン病の治療薬に使われたりしているそうです。市販薬では酔い止めや止瀉薬の成分の一部になっているそうです。副作用には口渇、散瞳、排尿障害が出ることがあるそうです。

スコポラミンとは?

スコポラミンは抗コリン薬の一種だそうです。市販薬では酔い止めの薬や痙攣性便秘の治療薬にも含まれていると言われています。病院では他に麻酔の前投薬やパーキンソン病の治療薬として使われているそうです。

抗コリン薬共通の副作用として、口渇、便秘、せん妄、排尿障害、眼圧上昇、散瞳、緑内障の悪化、腸閉塞、頻脈等があるそうです。

スコポラミンの作用機序は?

人間の神経は中枢神経(脳やせき髄)、自律神経(交感神経と副交感神経)、末梢神経に分けられます。自律神経である副交感神経の神経伝達にかかわるのがアセチルコリンという神経伝達物質です。

アセチルコリンの受容体の一種にムスカリン受容体がありますが、この受容体にはM1受容体(胃や脳)、M2受容体(心臓)、M3受容体(平滑筋や腺)の3種類があると言われています。

アセチルコリンはこれらに結合して胃や脳、心臓、内臓の筋肉の動きの調節、唾液や気管支分泌などをコントロールしていますが、抗コリン薬はこのムスカリン受容体を遮断する作用があり、それにより胃炎や唾液の分泌過多や内臓の緊張によって起こる痙攣等を鎮める作用があるそうです。

内臓の痙攣症状を緩和

内臓の鎮痙には、1)抗コリン薬、2)交感神経作用薬、3)平滑筋に直接作用して弛緩させる薬のいずれかが使われるそうですが、スコポラミンは1)の抗コリン薬です。

抗コリン薬は平滑筋(特に消化管平滑筋)のけいれん性の痛みを抑制する薬物で、具体的には胃炎や胆管炎、胆石などによる腹痛に用いられるそうです。

尿路結石の痛み緩和

尿路結石は腎臓でできた結石が尿管で詰まって起こる疾患で、10人に1人がかかると言われているそうです。また痛みが強いことでもよく知られています。

尿路結石になると尿管(尿路)に石が詰まってしまうそうです。それにもかかわらず腎臓が尿をどんどん作るために尿路の圧力が上がり、尿管が痙攣性の収縮を起こすことによって痛みが生じるとされています。この尿管の痙攣を抑えるために鎮痙剤を使うことがあるそうです。

ただし、使われるのはスコポラミンではなく、ブスコパン(ブチルスコポラミン)が一般的のようです。ブスコパンは薬剤名を臭化ブチルスコポラミン scopolamine butylbromide, N-butylscopolamine と呼ばれており、スコポラミンと同様の作用を持ちながら中枢神経への副作用が少ない鎮痙薬だそうです。

ブスコパンは痛みを和らげることはできますが、尿路結石そのものを治す効果はなく、結石が小さい場合は水分を多くとり自然排石を促すか、大きい場合は手術の適応となるそうです。

女性生殖器の痙攣緩和

女性生殖器の筋肉痙攣による緊張や痛みの緩和にも抗コリン薬が使われるそうです。ただし、これも使われるのはスコポラミンではなくブチルスコポラミン(ブスコパン)だそうです。

スコポラミンの用途は?

スコポラミンの主な用途は手術前の麻酔前投与で、鎮静効果や唾液分泌の抑制に使われるそうです。他にパーキンソン症状の緩和目的に投与されるそうです。

市販薬の場合は酔い止めの一部に成分として入っていたり、痙攣性便秘の治療薬の成分に含まれていることもあるそうです。

酔い止め薬

車酔いの薬の成分は主に塩酸ジフェニドールや塩酸メクリジン等の抗ヒスタミン薬で、全ての酔い止めに入っているそうです。臭化水素酸スコポラミンは薬剤により含まれていたりいなかったりするそうです。

他に酔い止めには中枢神経興奮成分の無水カフェイン(頭痛・めまいの抑制)、神経機能を正常に保つビタミンB6(吐き気止め)、胃粘膜局所麻酔作用のあるアミノ安息香酸エチル(嘔吐抑制)等が含まれているそうです。

スコポラミンが含まれる酔い止め薬にはパッチタイプ(貼る薬)もありますが、これは海外のみで日本では販売されていないそうです。

目薬

ロートエキスはスコポラミンを含んでいます。現在は市販薬では制酸薬、鎮痛鎮痙薬、止瀉薬に含まれているそうです。

以前は目薬に使われていたそうですが、現在では使用されておらず、主に内服用として胃酸過多や胃炎、胃・十二指腸潰瘍や痙れん性便秘の症状緩和のみに使用されているそうです。

「目薬を酒に入れると飲まされた相手が昏倒する」という都市伝説がありますが、これは事実ではないようです。スコポラミンの作用に鎮静効果もあったため、それが拡大解釈されて広まったようです。現在は目薬にロートエキスは使われていませんし、またロートエキス自体にも眠くなる作用がそもそも無いそうです。

鎮静剤

スコポラミンは「スコポラミン臭化水素酸塩水和物」という鎮静剤として使用されているそうです。使われる用途は主に手術の麻酔前の前投与で鎮静効果と気管支分泌の抑制作用などがあるといわれています。

唾液増加防止

スコポラミンの抗コリン作用には唾液の分泌抑制効果もあるそうです。パーキンソン病では唾液の分泌が過剰になる傾向があり、誤嚥の危険もあるそうです。

対応策として、医院によってはスコポラミン軟膏を使用することもあるそうです。ただし、この軟膏は通常国内では販売しておらず、医師から薬局へ特別に依頼して作ってもらい使用するようです。この場合は保険外診療となるため、臨床研究の使用に限られており、一般的な治療方法ではないそうです。

スコポラミンの副作用は?

スコポラミンの抗コリン作用は副交感神経の遮断作用です。これは胃炎や唾液分泌方、内臓の痙攣などの症状を緩和するために使われるのですが、薬が効きすぎると口渇や排尿困難等の副作用がでることもあるそうです。また抗コリン薬には散瞳(瞳孔が開く)作用もあるため、まぶしさや視覚トラブルの原因となるそうです。

口の渇き

抗コリン薬には唾液の抑制作用があるため、鎮痙に使った場合でも口渇が起こってしまうことがあるそうです。

また抗コリン作用のある薬剤は他にも多く存在するため、服薬の状態によっては副作用が強く出てしまうこともあるため、注意が必要だそうです。

散瞳

抗コリン薬の顕著な副作用の1つに散瞳(瞳孔が開くこと)があり、このためにまぶしく感じたり、老眼のように目がかすんだり、ピントの調節障害等がでたりすることもあるそうです。

その為スコポラミンを含む医薬品の注意事項では「服用後の車や機械の運転を控えること」とされているそうです。

記憶障害

スコポラミンは、ベラドンナ、ヒヨス、ハシリドコロ、チョウセンアサガオ等のナス科の植物から得られる天然アルカロイドで、中枢神経に作用する毒性を持っているそうです。他にborracheroというコロンビア産の植物からも得られると言われていますが、borracheroに関しては日本での信頼できる情報は見つかりませんでした。

日本の場合はチョウセンアサガオによる食中毒(葉や根の誤食)がしばしばおこりますが、中毒症状として口渇、嘔吐、散瞳、呼吸の乱れ、痙攣、幻覚などの症状が出るそうです。大抵は一過性で回復しますが、大量摂取では脱力、けいれん、昏睡の後に死亡することもあるそうです。スコポラミンに限らず、抗コリン薬は全てアセチルコリンの阻害作用を持っているそうです。

アセチルコリンの伝達系のシステムは脳の覚醒、記憶、注意に関連するために、この作用を阻害することで記憶障害が出ることもあるそうです。ラットを使った実験ではスコポラミンを投与して人為的に記憶障害を起こさせることもあるそうですが、最近はあまり使われていないようです。

ただし、これはラットの話で人体に対する通常の投薬では記憶障害の副作用は説明書に記載されてはいないようです。

ただし、高齢者の場合は薬剤の代謝能力が落ちるために薬の影響が出やすいことと、抗コリン作用のある薬剤は多岐にわたるため(頻尿の治療薬、鎮痙剤、抗パーキンソン病薬、循環器系薬物、向精神薬など)、多剤服用による認知機能障害などの副作用が懸念されているそうです。

尿が出にくい

抗コリン薬は頻尿の治療にも使われるそうです。しかし他の症状を抑えるために抗コリン薬を使用した場合でもこの作用が出てしまうことがあるそうです。

スコポラミン(商品名ハイスコ)の説明書には前立腺肥大で排尿障害のある患者には投与の禁忌と記載されているそうです。

動悸

スコポラミンの副作用として他に動悸があるそうです。動悸が激しくなるために症状が悪化するおそれがあると言われています。薬剤の禁忌に「重篤な心疾患のある患者に投与しない」と記載されているそうです。

ちなみにスコポラミンの経口中毒量は成人の場合は0.45~0.7mg、致死量は成人で2~4mg、小児で10mgだそうです。

スコポラミンの入手方法

スコポラミンを含む市販薬は酔い止めや止瀉薬、胃腸炎の薬として販売されていますが、スコポラミンそのものは販売されてはいないようです。

スコポラミンはもともと天然アルカロイドの一種で、中枢神経への作用が強いとされており、チョウセンアサガオ等の食中毒の原因物質として知られています。その為、現在では同じ鎮痙作用のある薬剤としてブチルスコポラミン(ブスコパン)が一般的に使われています。

こちらはスコポラミンを改良したもので、中枢神経作用は殆ど無いそうです。入手方法は市販薬か医師の処方箋となります。

現在はブスコパンが主流

スコポラミンは内臓の鎮痙作用がありますが、血液脳関門を通過しやすいために治療の為の適量(末梢神経に作用する程度の用量)を使ったとしても軽度の中枢抑制作用(眠気、無感動、健忘、催眠等)が起こるそうです。 そのため、現在はスコポラミンを改良したブチルスコポラミン(ブスコパン)が鎮痙薬として使われているそうです。

ブスコパンは内服ではほとんど吸収されず、また血液脳関門を通過しにくい構造の為に中枢作用はほとんどないそうです。

過敏性腸症候群に有効

ブスコパンは過敏性腸症候群によく効くとされています。市販薬でも医師の処方でも入手可能だそうです。

ただし、これも抗コリン薬ですので副作用として眼圧上昇、頻脈、閉尿の副作用が出ることがあるそうです。その為緑内障、重篤な心疾患、前立腺肥大の治療中の方には投薬が禁忌とされているそうです。また長期服用により便秘の悪化などのトラブルも起こる場合があるそうです。

便秘や下痢を繰り返す場合、まずは内科か消化器科を受診してから処方してもらった方が安全だと言われています。

あくまで頓服薬

ブスコパンはあくまでも痛みを和らげるための頓服薬だそうです。腹痛の原因は様々ですので、きちんと医師に相談し、原因となる疾患の治療をすることが大切だそうです。

その為には1つの薬剤を長期服用するのではなく、症状や経過を見ながら投薬は必要最小限にすること、また原因となっている生活習慣や食事、ストレスとの付き合い方などの改善が必要だそうです。

腸内細菌叢も腸の健康維持に関係するとされているため、食生活を整えプロバイオティクスで腸内細菌叢を良くすることで症状が改善する可能性もあるそうです。

薬剤は専門家の指示のもとに

スコポラミンは内臓の鎮痙薬、酔い止めの薬の一部として市販されていますが、これらの市販薬には純粋なスコポラミンが多量に入っているわけではないので、指示通りに服用していれば中枢神経への強い副作用が出る心配はないようです。

ただし、抗コリン作用のある薬物は意外に多いため、多剤服用の際に思わぬ副作用が出ることもあるそうです。医師にかかる際にはお薬手帳などを持参し多剤服用のリスクが無いように心がけるようにしましょう。

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