細菌感染症ってなに?ウィルスとの違いは?3つの特徴と予防法など徹底解説!
細菌感染症ってどんな症状をいうのでしょう。ウィルスとの違いなどを知らないで、薬を飲んだりしている方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。今回は、細菌とはどんなものなのか、またウィルスとの違い、そしてどのような感染症があるのかについて解説していきたいと思います。
細菌感染症とはどのようなことを言うのですか?
地球上には数千種類もの細菌が存在すると言われています。地上はもちろん、海の中や土中、果ては人間を始めとする動物の体内に至るまで、いろんな環境に住んでいる事が分かっています。その内、生体に病気をもたらすような細菌は、実はほんの一部なんですよ。「細菌=悪」ではないということですね。
よく聞くところのビフィズス菌や乳酸菌などは、有用菌(いわゆる善玉菌)として知られています。それに対して、病気を引き起こす大腸菌や黄色ブドウ球菌などは、有害菌(おなじく悪玉菌)とされていますが、これについてはみなさんもよくご存じなのではないかと思います。
それ以外にも、身体が健康な時には人体に影響を与えないのですが、風邪をひいたりして体の抵抗力(免疫力とも言います)が低下してくると悪さをし始める、「日和見菌」というものもあります。それではまず、どのような感染症が知られているのかを紹介していきたいと思います。
細菌とウィルスの違いについて
細菌とウィルスって、さすがに同じものと思っている人はいないのではないかと思いますが、「では、細菌とウィルスの違いについて400字以内で説明せよ」なんて言われると困りますよね。字数はともかく、細菌とウィルスとの違いについて説明したいと思います。
大きさ
細菌もウィルスも肉眼で診ることはできませんが、ウィルスの方がより小さいです。たとえば、黄色ブドウ球菌の大きさが0.8マイクロメートル(=1mmの1000分の1)から1.0マイクロメートルなのに対し、ノロウィルスは30ナノメートル(=マイクロメートルの1000分の1)しかありません。
増殖のしかた
細菌は自己複製能力のある細胞をもった微生物なので、糖などの養分と水がある適当な環境下では、自分自身で成長することが可能です。一方のウィルスは、水や養分があったとしても、それ単独で生存したり、増殖することはできません。他の生物を宿主として自己複製することでのみ増殖が可能です。
細菌感染症にはどんな特徴があるの?
細菌感染症にはどのような特徴があるのでしょうか?また、細菌に感染してしまうとどんな症状が現れるのでしょうか。知っていそうで意外と知らない感染症の特徴を見てみましょう。
高熱
ダニやねずみによってもたらされるボレリア属細菌による感染症の場合、急な悪寒の後にしばしば高熱を発することがあります。このような場合、「回帰熱」と呼ばれるそうです。さらには重度の頭痛や関節痛、黄疸や心拍数の異常など、さまざまな症状が現れるようです。
下痢や大腸炎
日本でも1990年代に話題になった、腸管出血性大腸菌であるO157に感染すると、下痢と激しい腹痛が現れ、やがて鮮血便を排出するようになります。これが腸管出血性の所以ですが、吐き気やおう吐をともなう事もあるようです。38度以上の発熱はあまり見られないそうです。
白血球数の増加
感染症や炎症を起こしている時には、一時的に白血球の数が上昇します。これは、白血球が体内に入って来たり、日和見感染した細菌に対する人体の防御機能(免疫力と言ったりします)が作動するからです。また、白血球数の異常な増加の場合は、後述する重症感染症の可能性も疑われます。
細菌感染症にはどんなものがありますか?
一口に細菌感染症と言っても、その種類は実にさまざまです。全てを紹介しているとおそらく読むのがイヤになると思われますので、代表的なものを挙げて行きたいと思います。
腸管出血性大腸菌感染症
1982年に、アメリカのハンバーガーから検出された食中毒の原因菌となる「O157」は、日本でも1996年ころから話題になりましたよね。カイワレ大根農家が甚大な風評被害を蒙ったことでも有名になりました。文字通り、腸管から出血するため、鮮血便をともなうのがその特徴です。
皮膚細菌感染症
人間の表皮は常にさまざまな細菌にさらされていますが、皮膚常在菌の働きがあるので、通常の状態であれば、細菌感染を引き起こすことはありません。ところが皮膚を損傷した時などの身体の免疫力が低下していると、蜂窩織炎(ほうかしきえん)や丹毒(たんどく)を発症することがあります。主な原因菌は黄色ブドウ球菌ですが、その他の細菌による場合もあります。
細菌性赤痢
細菌性赤痢は、赤痢菌に感染することによって発症する疾患です。赤痢菌には、1897年に日本人医師の志賀潔先生が発見したA群の志賀赤痢菌のほかに、B群のフレキシネル菌、C群のボイド菌、D群のソンネ菌の4種類があります。世界中でみられる感染症で、特に衛生状態の悪い国で多く見られます。
汚染された食物や水によって感染したり、保菌者が触った物や保菌者の手などを通じて感染することがあります。通常は1日から3日の潜伏期間の後、発熱や腹痛、下痢症状が見られます。赤痢菌の4タイプの中でも志賀赤痢菌が一番病原性が強く、血便が出ることもあるそうです。
コレラ
コレラは、経口感染(口から入った物で感染すること)を特徴とする代表的な感染症で、細菌に汚染された飲食物を摂取することによって発症します。原因となる菌はコレラ菌で、発症すると激しい下痢と嘔吐が起こります。下痢に特徴があり、「米のとぎ汁」のような、白くて大量の水っぽい便が見られます。
重症細菌感染症ってなに?その定義と、原因は?
細菌感染症は、通常の場合、抗生剤の投与によって治癒すると言われています。しかし、以下で挙げるような原因によって、身体の免疫力が低下しているような場合に感染すると、症状が重症化しやすくなることが分かっています。定義としては、発熱や下痢などの症状がひどくて、抗生剤を3日間投与しても改善が見られないような場合、「重症感染症」とされます。
風邪など身体の不調や病気
白血病やガンなどで、その治療を受けている時や、糖尿病・肝臓病・AIDS(エイズ)などを罹患している場合、また大きな手術を受けた時や、やけど・大けがなどをした時などに、感染症を発症した時には、症状が重症化しやすいようです。また、お年寄りや赤ちゃん、低体重で生まれた子供なども重症化しやすい傾向が見られるそうです。
MRSA
MRSAとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌といって、強力な抗生剤であるメチシリンに対する耐性を持ってしまった黄色ブドウ球菌のことを言います。MRSAに感染した場合には、抗生剤だけでは治らない事があるので、免疫グロブリン製剤が使用されることとなるようです。
細菌感染症の治療はどうやっておこなわれるの?
細菌に感染してしまうといろいろな症状が出て辛そうですよね。では、実際に細菌感染が見つかった時には、どのような治療がおこなわれるのでしょうか。ウィルスの治療と比較して見てみたいと思います。
抗生剤
細菌感染症は当たり前ですが、細菌によってもたらされるので、治療法はその細菌を除去する抗生剤の服用が一般的です。ペニシリンなどがよく知られていますが、細菌の細胞を攻撃することができる薬を用います。生物が真核細胞なのに対して、細菌は原核細胞なので、その違いを利用して細菌の細胞だけを攻撃することが可能になっています。
一方、ウィルス感染に対しては抗生剤は効果がありません。また、ウィルスに対する有効な薬というのもほとんど存在しません。例外として、インフルエンザウィルスに対する抗ウィルス剤がありますが、これもインフルエンザウィルスをやっつけてくれるわけではなく、これ以上ウィルスが増殖しないようにしてくれるだけです。
細菌感染症の予防法はありますか?
では、細菌感染症にならないためには、日頃からどういったことに気をつければよいのでしょうか。ここでもまた、ウィルスの予防法とあわせてご紹介してみたいと思います。
清潔に健康に
細菌感染症から身を守るためには、まず一番に体を清潔に保つことです。そして、細菌に負けないように、免疫力を低下させないことが大事になります。栄養バランスのとれた食事をし、睡眠不足にならないようにしっかりと就寝し、適度な運動を日常生活に取り入れるなど、生活習慣を規則正しくすることが体のリズムを生み、免疫力を高めてくれます。
一方のウィルス感染の予防策はズバリ、「うがいと手洗い」です。うがいを習慣的に行った場合と、行わなかった場合では、風邪になる確率が40%も違ったそうです。また、ウィルスは低温・低湿を好むので、特に冬場は空気の乾燥に気をつけるようにしましょう。
細菌感染症対策は健康への近道です!
細菌感染症についてみてきましたが、いかがだったでしょう。ウィルスとの違いについても分かって頂けたのではないかと思います。細菌に感染しないためには生活習慣が何よりも大事です。健康でいさえすれば細菌にも負けないということですね。
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