汗っかきの人はコリン性蕁麻疹に気を付けて!4つの症状と治し方とは
「コリン性蕁麻疹」という病名を聞いたことがありますか?「蕁麻疹」という病名は皆さんよく耳にする病名だと思います。その蕁麻疹の中にも色々種類があり、その種類によって起こる原因が違うのです。そこで、この記事では聞きなじみのないコリン性蕁麻疹について詳しくご紹介します。
コリン性蕁麻疹とは?
「コリン性蕁麻疹(じんましん)」という病気をご存知ですか?「蕁麻疹」とひと言で言っても、じつは蕁麻疹には、いろいろな種類があります。その種類によって引き起こされる原因はそれぞれ違うのです。
では、実際どんな時に、コリン性蕁麻疹は症状がでてしまうのでしょうか?そして、具体的な原因や治療法・対処法はどのようなものがあるのでしょうか。これからコリン性蕁麻疹について、くわしく見ていきましょう。
変わった病名…"コリン性蕁麻疹"は何の病気?
コリン性蕁麻疹て…めずらしい病名だと思いませんか?きっとこの病名を聞きなれない方や、若しくは自分が発症してみて、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。
この、コリン性蕁麻疹は、交感神経と深い関係があると言われています。では、まずコリン性蕁麻疹の特徴からみていきましょう。
発汗による刺激で発症する蕁麻疹
コリン性蕁麻疹とは、入浴や運動などで体温が上がったりして、汗のかきはじめ若しくは汗をかきそうになる状態のときに出る蕁麻疹のことを言うそうです。
子供から30代位の若い人に多くみられる
コリン性蕁麻疹の特徴として、10代から30代の比較的若い成人に多くみられるということです。
コリン性蕁麻疹は、どんな症状が出るの?
私たちが連想する一般的な蕁麻疹は、皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がってきて、それと同時にかゆみを伴い、しばらくすると跡かたもなく消えてしまうというものが、多いのではないでしょうか。では、あまり聞き馴染みのないコリン性蕁麻疹の場合は、どのような症状が現れるのでしょうか?
発疹やかゆみを生じる
汗をかくことが一つの要因となるコリン性蕁麻疹は、汗腺のあるところに発生する傾向があるということです。そのため、発疹や激しいかゆみが全身に出現したり、ときには顔にも症状があらわれることがあるそうですが、とくに腕にできやすいとされています。
また、「夏季に悪化しやすい」・「夜間には出にくい」・「手のひらや足の裏にはできない」といった特徴があり、発疹の大きさは、1ミリから3ミリくらいといった1センチ未満の小さい発疹だということです。
ピリピリした痛みがある
コリン性蕁麻疹は、激しいかゆみを伴いますが、このほかにも場合によっては、全身に症状がでると、ピリピリした痛みをともなうケースもあるようです。
腹痛や下痢の症状がでることもある
コリン性蕁麻疹は、激しいかゆみとともにピリピリとした痛みを感じることがありますが、基本的にほかの蕁麻疹の症状と症状のあらわれ方はほぼ同じだそうで、症状が悪化すると腹痛や下痢などの消化器の症状をともなうそうです。
低血圧になることもある
上述のように、コリン性蕁麻疹は、基本的にほかの蕁麻疹の症状と症状のあらわれ方はほぼ同じだそうで、症状が悪化すると血圧の低下がみられる場合があるということです。そして、上述の腹痛や下痢の症状とあわせて低血糖などの症状は、数分から30分ほど、長くても数時間以内で症状はおさまるとされています。
コリン性蕁麻疹の原因とは?
コリン性蕁麻疹とは、汗のかきはじめ、または汗をかきそうになると頭・背中・腕・おしりなど体のあらゆるところに激しいかゆみが出現し、ときにピリピリとした痛みがでる蕁麻疹だということが、ここまでで分りました。では、一体何が原因でこのような症状が起こるのでしょうか。ここからは、5つの原因について見ていきましょう。
発汗によるもの
コリン性蕁麻疹の発生メカニズムはまだ明確にはわかっていませんが、コリン性蕁麻疹の原因は、自律神経(交感神経・副交感神経)のはたらきにあると言われています。たとえば、動いたり緊張したりすることで、心拍数の上昇や体温の上昇・発汗が起こるわけですが、これらを制御しているのが交感神経だそうです。
この交感神経が、何らかの刺激を受けて活発になったときに、交感神経の末端である汗腺から分泌される物質が、「アセチルコリン」という物質で、これがコリン性蕁麻疹の原因と考えられているようです。
また、この分泌されたアセチルコリンが汗腺付近に溜まってしまい、それがうまく排出されないことが原因で炎症が起きてしまうとも考えられているようです。簡単に言ってしまえば、うまく汗がかけないことが原因ということのようですね。
刺激の強い飲食物の摂取
交感神経が刺激を受けた時、交感神経の末端である汗腺から分泌される物質が、アセチルコリンという物質です。このアセチルコリンは、コリン性蕁麻疹の原因と考えられていますが、自律神経の中に留まり、副交感神経をコントロールするというとても大切なはたらきもしてくれるそうです。
そのため、アセチルコリンは、脈拍を遅くしたり、心拍数を低下させることで、唾液や汗の量を調整してくれる生命維持に欠かせない物質だということです。ところが、刺激物の摂取によって交感神経が刺激されてしまうことで、アセチルコリンが過剰に分泌されてしまうと、肥満細胞が刺激されてしまうそうです。
すると、ヒスタミンなどのかゆみを促す物質が放出され、血管が拡張されることで、血液中の水分が血管の外に漏れ出し、赤みのある皮膚のふくらみ(蕁麻疹)が生じるとのことです。そしてこれが、コリン性蕁麻疹というわけです。
急激な温度の変化
コリン性蕁麻疹の原因と考えられている、アセチルコリンが過剰に分泌されてしまうのは、上述の刺激物の摂取以外にも、急激な温度の変化によって交感神経が刺激されてしまうことで起こるとも考えられているようです。
身体的ストレスによるもの
コリン性蕁麻疹の原因には、疲れや運動不足などの身体的ストレスによる、自律神経の乱れも関係があるようです。自律神経が乱れると、交感神経が緊張状態になり刺激されることで、コリン性蕁麻疹の原因と考えられている、アセチルコリンが過剰に分泌されてしまうということです。
このようなことから、コリン性蕁麻疹は、免疫力が落ちているときや体力が落ちているときなどに出やすくなるそうです。
精神的ストレスによるもの
コリン性蕁麻疹の原因には、緊張・不安・仕事のプレッシャーや人間関係などの精神的ストレスも考えられるようです。精神的ストレスによって自律神経が乱れれば、交感神経が常に緊張状態になり、刺激されることでアセチルコリンが過剰に分泌されることになるからだそうです。
このようなことから、コリン性蕁麻疹は、心身ともに弱っているときに起きやすい傾向があるとされています。
コリン性蕁麻疹の検査と診断
アレルギー性蕁麻疹の場合、血液検査などで診断されることがあります。しかし、コリン性蕁麻疹の発生メカニズムはまだ明確にはわかっていないようですし、アセチルコリンという物質が原因のコリン性蕁麻疹のようなケースでは、どのような検査と診断が行われるのか、ちょっと興味がわきませんか?では、実際に調べてみましょう。
皮膚反応を見るテスト
コリン性蕁麻疹は、交感神経が刺激を受けた時、交感神経の末端である汗腺から分泌されるアセチルコリンという神経伝達物質が放出されることが原因とされています。
そのため、コリン性蕁麻疹の検査では、原因物質であるアセチルコリンを注射して刺激を与えて、実際に蕁麻疹が起こるかどうか、皮膚の反応を伺う方法が一般的のようです。
アレルギー反応を見る検査
コリン性蕁麻疹は、入浴や運動などで体温が上がったりして、汗のかきはじめ若しくは汗をかきそうになる状態のときに出現すると言われています。そこで、コリン性蕁麻疹の検査では、熱や運動負荷を与えることで、実際に汗をかいた状態で蕁麻疹が起こるかどうか、皮膚の反応を伺う方法もあるということです。
似た症状の蕁麻疹てあるの?
コリン性蕁麻疹に似た症状の蕁麻疹が実際あるようです。万が一、コリン性蕁麻疹の疑いがあって皮膚科を受診する際に自分自身も知識をもっていれば、医師に分かりやすく簡潔に症状を伝えることができます。
また、これは誤診の予防にもなるでしょう。これを機会に、コリン性蕁麻疹とコリン性蕁麻疹と似た症状をもつ病気の違いを、しっかり把握しておきましょう。
減汗性コリン性蕁麻疹
コリン性蕁麻疹は、汗のかきはじめ若しくは汗をかきそうになる状態のときに出現すると言われていますが、ときとして、発汗減少を伴う「減汗性コリン性蕁麻疹」と呼ばれる病気があるとのことです。この病気は日本人に圧倒的に多いようです。また、内科では「特発性後天性全身性無汗症」と呼ばれているそうです。
この減汗性コリン性蕁麻疹の場合は、これまで紹介してきた「コリン性蕁麻疹」とは違い、汗をかくことができずに、汗腺あたりにアセチルコリンが処理しきれずに溜まっていき、体温が上昇した際などに炎症を起こして、チクチク・ピリピリとした違和感とともに点状の皮膚のふくらみが出現するそうです。
そして、ワキのした以外の発汗が減少する、低汗部と無汗部にごちゃ混ぜに分かれ、その中で点状の皮膚のふくらみが低汗部に出現するそうです。季節的には、とくに冬に悪化し、夏に軽快するという傾向にあるようです。この点も、これまで紹介してきたコリン性蕁麻疹とは逆ですね。
温熱蕁麻疹
コリン性蕁麻疹と症状がよく似たものとして、温熱性蕁麻疹という病気があるそうです。皮膚の温度が急に温まることがきっかけで蕁麻疹が起こるようです。
その仕組みとしては、温水やコタツなど体温よりも温かい物質に触れたりして、急に皮膚を温めたりすることで、温熱刺激により交感神経が刺激され、アセチルコリンが過剰に分泌されて肥満細胞が刺激され、ヒスタミンが放出されて蕁麻疹が起こるということです。このため、温熱蕁麻疹は冬に多く発症するそうです。
そして、コリン性蕁麻疹とは違い、このときに出来る蕁麻疹は、小豆大くらいの大きさの皮膚のふくらみが出現し、強いかゆみをともなう特徴があるとのことです。
コリン性蕁麻疹の治療方法はあるの?
蕁麻疹には、いろいろな種類がありますが、その中でもとくに治療が難しいとされるのが、コリン性蕁麻疹だそうです。日常生活を送るうえで、汗をかくというのは避けられないことです。そのなかで、激しいかゆみが生じたり、ピリピリした痛みがともなうケースがあるなど、とても辛くストレスを感じる、コリン性蕁麻疹にはどんな治療方法があるのでしょう。
内服薬や注射による治療
コリン性蕁麻疹に対して根本的な治療に結びつく方法や薬剤は、今のところないようです。そのため、コリン性蕁麻疹の治療法は、ほかの蕁麻疹とほぼ同じだということです。
蕁麻疹は、肥満細胞が刺激され、ヒスタミンが放出されて起こるわけですから、ヒスタミンの作用を抑えるために、抗ヒスタミン薬(内服薬・外用薬)や抗アレルギー剤(ヒスタミン作用があるもの)が使用されるとのことです。
このことから、市販薬の抗ヒスタミン薬で症状を緩和している方もいるようですが、ほかの蕁麻疹で効果のあった薬でもコリン性蕁麻疹の場合には、効かないことが多々あるそうなので、自己判断せず皮膚科を受診しましょう。
病院の治療で、これら抗ヒスタミン薬や抗アレルギー剤の効果を明らかに感じられるのは、内服薬や注射薬として使用された場合だそうです。
そして、内服薬や注射薬の副作用としては、人によっては眠気が出ることがあるとされています。また、前立腺肥大や緑内障の持病がある方は、それらの症状を悪化させる場合があるので注意が必要です。しかし最近の薬では、これらの副作用が出ない、若しくは、あったとしても稀だということです。
漢方薬
コリン性蕁麻疹は、病院で多くの場合、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などが使用されますが、劇的な効果があまり見られないのが現実のようです。そこで、最近では漢方薬などを用いた新しい治療法も登場しているということです。
これには、漢方薬での体質改善も効果があるとされるケースもあるためで、症状に応じて補助的に処方される場合もあり、原因でもある自律神経の乱れやストレスを緩和するために、香蘇散(こうそさん)などの漢方薬が使用されるそうです。
減感作療法
アレルギーの治療方法に「減感作療法」という方法があるそうです。これは、アレルゲンに敢えて接触させることによって、徐々に慣れさせていく方法で、少量から少しずつ量を増やしてアレルゲンに触れさせていき、アレルゲンに対する過敏な反応を抑える方法だそうです。
コリン性蕁麻疹は、ほかの蕁麻疹よりも抵抗性を持っていることもあって、この方法が使われることがあるということです。敢えて汗をかくことで、汗が接触したときの刺激に対する過敏な反応を抑える・慣れさせるといったことを目指す治療法が、現在試みられているとのことです。
コリン性蕁麻疹の対処法
コリン性蕁麻疹は、汗が一つの要因として考えられていることから、次のようなことを心掛けましょう。また、アセチルコリンが過剰に分泌することも要因として挙げられているため、アセチルコリンを過剰に分泌させることは避けましょう。
体を温めないようにする
入浴によって頻繁に発症する場合は、ぬるいシャワーをさっと浴びる・ぬるめのお風呂に短時間浸かるなど、体温を高めないような配慮をしましょう。
直射日光に気をつける
直射日光の下での活動は控えましょう。体温を高めることになりますし、身体的ストレス・疲労を招くかもしれません。
なるべく薄着で過ごす
厚着をすると、中で熱がこもり体温を高めて汗をかく原因になりかねません。なので、なるべく薄着で過ごし通気性をよくしましょう。
汗をかいたらこまめに拭く
汗をかいたらこまめに拭き取りましょう。汗による過敏な反応が軽減されるかもしれません。また、制汗剤を使う・吸汗パッドを使う・吸湿性のいい下着を使うなどの工夫をしてみても良いかもしれませんね。
刺激の強い食べ物は避ける
熱いもの・スパイスの効いた辛いもの、刺激が強いものといった食べ物や飲み物は避けましょう。また、アルコールを摂りすぎると、利尿作用により過剰に水分が排出されてしまい、体には熱がこもってしまいます。そうすると、その熱を発散させようと体は発汗するように働きます。結果、体を温め蕁麻疹を誘発するので控えましょう。
精神的ストレスを減らす
精神的なストレスが、コリン性蕁麻疹を誘発することもあるため、たとえば、映画鑑賞など自分なりのリラックスできる時間や方法を見つけ、上手にストレスが発散できると良いですね!
身体的ストレスを減らす
身体的ストレスは、運動不足や疲労・睡眠不足などからも受けます。規則正しい生活リズム・休息と睡眠をしっかり取る・バランスのいい食生活といった生活環境を整えることで、自律神経の働きを正常な状態に維持できるように心掛け、免疫力を正常に働かせましょう。
自分に合った治療法で治していこう
コリン性蕁麻疹は、10代から30代と比較的若い年齢で発症しますが、年齢を重ねるにつれて次第に症状は治まっていくことが多いです。目安として、30代を過ぎると症状が現れなくなることが多く、徐々に治る傾向にあるとされています。
今は、コリン性蕁麻疹に悩まされて、大変つらいことと思いますが、少しでも症状が緩和できるように、上記のような対処法で工夫してみてくださいね。また、信頼のできる医師と十分に治療方法について話し合い、ご自分にあった治療法を見つけて頂きたいと思います。
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