挫滅症候群には2つの原因がある!応急処置や表れる危険な症状を解説します!

挫滅症候群という言葉を知っていますか?阪神淡路大震災ではこの症候群のことを知らなかったために対処が遅れ、亡くなってしまった方がいます。挫滅症候群はどんな時に起こるのか、適切な対処には何があるかをまとめました。ぜひ、最後まで読んでください。

挫滅症候群って知っていますか?

2016年5月に熊本地震が発生しました。また、2011年には東日本大震災、1995年には阪神淡路大震災がそれぞれ起きました。

日本は地震の危険と常に隣り合わせの国であります。地震では重いものや大きなものが上からのしかかってくることが多々あるようです。

そんなときにこれから紹介します「挫滅症候群」のことを知っていましたら、より多くの人の命を救うことが出来るかもしれません。もしものときに備えて知識を身につけておきましょう。

挫滅症候群とは?

横紋筋融解症などの症状が出る?

まず「横紋筋融解症」について説明しましょう。横紋筋融解症は様々なことが原因で起こります。大きく2つに分けることが出来ます。1つ目は、非外傷性のものです。これには痙攣や電解質異常、筋炎などが含まれます。内分泌疾患が疑われることもあるようです。

続いて外傷や圧迫が原因で起こるものです。挫滅症候群はこちらに含まれます。原因としては多発外傷患者です。衝突後の車内に閉じ込められていた場合や、地震後の崩壊した建物に閉じ込められていた場合が例として挙げられます。

拷問の被害者や幼児虐待などでも横紋筋融解症が見られることがあります。そのほか大腿骨を骨折して長時間同じ姿勢を保ったままの人や、酩酊状態でそのまま寝てしまった人などでも見られます。

症状としましては、筋肉の痛みやしびれが生じ、尿が赤褐色になるというのが特徴です。

クラッシュ症候群ってなに?

クラッシュ症候群は、挫滅症候群とほぼ同じ意味で用いられています。挫滅症候群と同じです、と説明するだけでは全く面白くないので、なぜクラッシュ症候群では様々な臓器に影響を与えてしまうかを解説したいと思います。倒壊した家屋や重いものの下敷きになってしまいますと、その部分の血流が滞ってしまい、壊死を引き起こしてしまいます。

壊死した筋肉からはカリウムや筋肉を構成するミオグロビンなどの毒性物質が発生します。ここで救助により血流が元に戻りますと、これらの毒性物質が全身に回ってしまいます。そのため、血流に毒性物質が乗り、様々な臓器に障害を起こしてしまうのです。

挫滅症候群における尿検査

尿量はどうなるの?

挫滅症候群に陥ってしまいますと腎不全をきたしてしまいます。なぜ腎不全をきたすのかは次の見出しで説明しますが、尿量が全くない無尿か、尿量が少なくなってしまう乏尿という症状が表れます。

ミオグロビン尿が出てしまうって本当?

はい、確かに挫滅症候群ではミオグロビンは尿に含まれてしまうため、ミオグロビン尿は出てしまいます。では、なぜ出てしまうのでしょうか?挫滅症候群では何らかの原因により、血流が滞り、その部分が壊死します。救助により血流が再灌流しますと、壊死したことにより生じた毒性物質が全身に回ってしまいます。もちろん、その物質は腎臓にも到達します。

血液中に流出したミオグロビンは腎臓の尿細管と呼ばれる組織を閉塞してしまい、急性の腎不全を引き起こすのです。さらに、腎臓にはミオグロビンがたまっていますから、その一部は尿の中に含まれ、体外に排出されます。このようにしてミオグロビンが尿に出てしまうのです。また、ミオグロビンは全身の血流に流出してしまうため、採血でも高ミオグロビン血症を指摘されます。

挫滅症候群における治療のお話

応急処置ってなにをしたらいいの?

応急処置では、大量の輸液が推奨されています。目安としては、1時間ごとに500ml、最大で1日に500mlを44本だそうです。また、圧迫を取り除くため圧迫されている部位を開く手術が行われることもあるようです。この場合は感染症に注意が必要です。筋肉は6時間以上圧迫されてしまった場合は、もとに戻すことは不可能と言われており、切断せざるを得ないこともあるようです。

救急の現場では、圧迫されている状態でも積極的に輸液を行うことが勧められているようです。

挫滅症候群での看護は?

看護においては、クラッシュ症候群、挫滅症候群の存在をまず頭に入れておくことが重要なようです。1995年の阪神淡路大震災では医療関係者の中でもこの症候群についての知識がなかったため、より多くの死者を出してしまったと言われています。

現場で、急に身体を圧迫しているものを取り除くと、急変する可能性があるようです。ですから、圧迫部位より心臓に近いところをタオルなどで縛るのを優先します。このときの注意としまして、血流を停めてしまうほどは縛らないようにするということが挙げられます。全身に有毒物質が流れるのを少しでも防ぐために、心臓に近い部分をタオルやゴムで止めると良いようです。

圧迫しているものをゆっくり取り除くことも重要です。急に取り除いてしまいますと急激に容体が悪くなる可能性があるようです。治療は透析療法が必要となる場合は、対応できる医療機関に搬送する必要がありますが、救急隊などが到着するまでは、点滴により血液濃度の希釈を行う事が必要です。水分摂取ができる状態であれば水分補給を行うことも忘れてはいけません。

時間との勝負?

何時間ものや瓦礫に挟まれていたかを比較的正確に覚えておく必要があります。成人なら4時間を超えて挟まれると非常に危険であるようです。小児や老人ではその時間はさらに短くなるようです。救急現場や災害現場では、患者さんの腕にボールペンなどでどのくらいの時間挟まれているか記録するということが行われているようです。

腎不全に陥ってしまったときは?

腎不全が疑われる際は、速やかに血液透析を行うことが必要になります。また、横紋筋融解症に準じた治療も必要です。点滴で大量に輸液するだけでなく、マンニトールの使用も重要です。マンニトールは急性腎不全の予防などに使用されます。

急に血流が戻っても危険?

高カリウム血症

高カリウム血症は次に説明する不整脈とも強い結びつきがあります。筋肉が壊死する際にカリウムも血流に流れ出てしまいます。これにより血液中には正常よりも多くのカリウムが存在することになり、高カリウム血症となってしまいます。その結果、吐き気や嘔吐をきたしたり、感覚障害やしびれを引き起こすこともあるようです。

不整脈

高カリウム血症になりますと最も注意しなければいけないのが、不整脈です。ここでは専門的知識を省きまして、カリウムには興奮させる働きがあるとします。

心臓が興奮するとどうでしょう?十分な血液を送り出すことが出来なくなりますね?ですから、圧迫から患者を急に救ったのち、突然死してしまうことがあるのです。救助の際は必ずゆっくり圧迫を解除するようにしましょうね。

挫滅症候群だと思ったら圧迫してるものをユックリと取り除こう

挫滅症候群は震災や災害の時だけで重要になるのではありません。あまり目にすることはないかもしれませんが、誰かが近くでものに挟まれているのに遭遇した際にこの記事を思い出しましょう。到着した救急隊員にどのくらいの時間圧迫を受けているのか、などを伝えることで1人でも多くの命を救うことが出来るはずです。

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