過活動膀胱の原因と治療方法は?よく使用される市販薬も紹介します
過活動膀胱について症状と原因、おすすめの市販薬やさらに治療方法について紹介します。
患者数が推定810万人の過活動膀胱とは?
過活動膀胱の患者数は推定810万人ともいわれており、多くの方がその症状に悩んでいるようです。そのため各社から過活動膀胱に対する市販薬が販売されています。そこでこの記事では、ひとりで悩んでしまっている方向けに、過活動膀胱について症状と原因を解説し、市販薬をはじめとする治療方法について紹介します。
過活動膀胱の原因と症状
過活動膀胱の症状
過活動膀胱とは、主に以下の3つの症状を示す病気のことです。
1.尿意切迫感(急に尿意が起こり、我慢できない)
2.頻尿(トイレが近い)
3.切迫性尿失禁(急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある)
日本において過活動膀胱の方は、約810万人くらいいるそうですが、実際に治療を受けている患者数は70〜80万人といわれており、600万人以上の人たちが過活動膀胱の症状に悩んでいるようです。過活動膀胱の症状は、どれもとてもデリケートな問題なので、だれにも相談できずにひとりで悩んでしまっている方が多いと推測されます。
過活動膀胱は、ガンや脳卒中など命に関わる病気ではないにしろ、トイレのことを常に心配してしまったりすることで、旅行やショッピングなどをはじめ、ちょっとした外出なども控えてしまう傾向が出てきて、生活を楽しめなくなることもあるようです。
原因1:神経因性
過活動膀胱の原因は神経因性と非神経因性の2つに分類されます。神経因性の過活動膀胱は、排尿をコントロールする神経や膀胱をコントロールする神経に障害が起きることで発症します。神経に障害がおきる原因としては、脳卒中やパーキンソン病などによる脳の障害、脊髄損傷による脊髄の障害があげられます。
「神経因性」という言葉のイメージから、ストレスが原因と思われている方も多いかもしれませんが、上記のように神経因性の過活動膀胱は「脳の障害」と「脊髄の障害」が原因となるようです。
原因2:非神経因性
過活動膀胱のもうひとつの原因である非神経因性は、主に骨盤底筋群のトラブルによって発症します。骨盤底筋群とは、骨盤の底辺にある筋肉(深会陰横筋、尿道括約筋、肛門挙筋、尾骨筋)の4つの筋の総称です。
骨盤底筋群は、加齢や出産によって傷ついたりゆるんだりすることがありますが、それによって過活動膀胱が起こるようです。さらに非神経因性の過活動膀胱は原因が不明の場合も多いようです。膀胱や排尿に関わる神経が過敏になっている場合もあると考えられています。
膀胱炎や前立腺肥大症とは区別する
膀胱炎や男性に多い前立腺肥大症になると過活動膀胱と同じような症状がでることがあります。しかし発症の原因や治療方法は異なるので、きちんと医師に診断をしてもらいしょう。
過活動膀胱の治療法
抗コリン薬で治療
過活動膀胱の薬物治療においては「抗コリン薬」が使用されるのが一般的なようです。膀胱が収縮するためには神経伝達物質であるアセチルコリンが必要なのですが、過活動膀胱の場合、アセチルコリンの働きを抑えることで症状を緩和することができるためと考えられています。
薬の働きのメカニズムとしては、膀胱にあるムスカリン受容体と結合してアセチルコリンの神経伝達を阻止することで膀胱の異常な収縮が起きないようにしているのです。
抗コリン薬は、ベシケア(アステラス製薬)、デトルシトール(ファイザー)、ステーブラ・ウリトス(杏林製薬/小野薬品)、バップフォー(大鵬薬品)が代表的なようです。副作用としては、口の渇きや便秘、目の調節障害が報告されています。
α1受容体遮断薬で治療
α1受容体遮断薬は過活動膀胱の症状のある男性に使用されます。男性に過活動膀胱の症状がある場合、前立腺肥大症が主疾患としてあげられるからです。
前立腺肥大症の主な症状は、排尿の勢いがない、とぎれとぎれに尿が出る、尿が出にくいなど。これに過活動膀胱の症状である尿意切迫感・頻尿・切迫性失禁が加わります。これらは前立腺が肥大して尿道を狭くすることで起こります。
このような場合は、過活動膀胱の治療薬である「抗コリン薬」は使用せずに、「α1受容体遮断薬」が使用されるようです。「α1受容体遮断薬」は前立腺や尿道を緩ませて、尿を出しやすくする作用があります。
行動療法
過活動膀胱の治療は薬物治療に加えて行動療法も有効なようです。具体的には膀胱訓練や骨盤底筋体操などの理学療法があります。膀胱訓練とは、膀胱に尿をためる訓練をして、膀胱の能力をもとに戻し、過活動膀胱の症状を改善させます。訓練方法はシンプルで、尿意を感じたときにすぐにトイレに行かずに少しの時間我慢してみる方法なのです。
最初は5分間くらい我慢をしてみて、徐々に我慢する時間を延ばしていき、最終的に2〜3時間程度我慢できるようになると、過活動膀胱の症状が和らぐといわれています。
骨盤底筋体操は、主に切迫性尿失禁の症状に有効といわれています。膣と肛門を締める運動をすることで、尿道を締まり、腹圧性尿失禁にも効果的なようです。2〜3ヶ月続けることで尿漏れが80%改善されたという報告もあります。
骨盤底筋体操の基本姿勢は仰向けで膝を立てた状態ですが、家事をしているときや仕事をしているときの姿勢でも応用することができますので、気がついたときに意識的にやってみることをおすすめします。
やり方は簡単で、肛門と膣に意識的に締めたりゆるめたりします。1回あたり3分間程度からはじめてみましょう。徐々に時間を増やしていったり、締める時間を長くしたりすることをおすすめです。過活動膀胱の病院にかかると生活指導の一貫として膀胱訓練や骨盤底筋体操を教えてくれるようですので、興味がある方は一度病院で教えてもらってみてはいかがでしょうか。
電気刺激治療
電気刺激治療は、骨盤底筋や膀胱や尿道の神経に、電気や磁気で刺激を与えて、過活動膀胱の症状を緩和させる治療です。腹圧性尿失禁にも効果があるといわれています。
過活動膀胱の漢方薬・市販薬を紹介!
漢方薬
八味地黄丸(はちみぢおうがん)は過活動膀胱の漢方治療としてもっともよく使用されているようです。
漢方成分としては地黄・山茱萸、山薬、附子が配合されています。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)は頻尿、排尿痛、残尿感などの排尿異常に適応し、神経症状(イライラや不安感)がともなうときに使用されます。
フラボキサート塩酸塩は、漢方薬ではありませんが、過活動膀胱の代表的な治療薬である「抗コリン薬」が聞かない場合に処方されることがあるようです。
市販薬
レディガードコーワ
レディガードコーワは、女性用の頻尿・残尿感を改善するための薬で、有効成分はフラボキサート塩酸塩です。膀胱の筋肉をゆるめて、尿をためられる量を増やすことで「トイレが近い」状態を改善します。さらに脳に働きかけ、尿が溜まっていないのにの尿意を感じてしまう状態を改善します。
飲み方は、1日3回、1回1錠を服用します。男性や15歳未満の方、妊娠中・授乳中は服用できません。
ベルアベトン
ベルアベトンは、八味地黄丸(はちみじおうがん)という漢方薬から作られて市販薬です。八味地黄丸(はちみぢおうがん)は過活動膀胱の漢方治療としてもっともよく使用されているようです。1日3回食前又は食間に1回4錠服用します。15才未満は方は服用できません。
ジンフリックはレディガードコーワと同じ効果効能があります。そのためジンフリックも男性や15歳未満の方、妊娠中・授乳中は服用できません。
ハルンケアの効果は?
ハルンケアは八味地黄丸(はちみぢおうがん)が主成分ドリンクタイプの薬です。効果にはもちろん個人差がありますが、自覚症状の改善率の調査では 60%以上の方が効果を実感していることが報告されています。さらに服用し始めてから5日目までに効果を感じた方が多いともいわれています。
ひとりで悩まず専門家に相談を
過活動膀胱について症状と原因や治療方法・市販薬についてご紹介してきました。過活動膀胱の症状は、どれもとてもデリケートな問題なので、だれにも相談できずにひとりで悩んでしまっていませんか。ご紹介したように治療方法や薬の選択肢は多く用意されていますので、まずは医師や薬剤師に相談してみることをおすすめします。
頻尿や尿漏れの悩みから解放されて、旅行やショッピングを思う存分楽しみましょう。
このまとめのキュレーター
カテゴリ一覧