前立腺の痙攣は何の病気?考えられる原因と治療法を解説します!
女性には無く男性だけが持つ前立腺は、生殖活動を行う上で無くてはならない大切な器官です。前立腺に痙攣のような症状が見られる場合、主にどんな疾患が考えられるのか?前立腺に関する代表的な病気とその治療法などを紹介します。
前立腺に痙攣が起きたら
膀胱の真下にある前立腺は、男性だけが持つ生殖器です。前立腺に痙攣のような症状が起きたとき、可能性が最も高いのは前立腺炎の発症ではないでしょうか。
しかし、それ以外の症状が見られる場合、他の疾患の可能性も否定できません。前立腺炎の原因や治療方法をはじめ、前立腺に関わりのある主な病気について詳しく紹介します。
前立腺ってどんな器官なの?
前立腺はどこにあり、どんな役割を果たしているのでしょうか。最初に「そもそも前立腺とは何か」について見ていきましょう。
前立腺は男性だけが持つ大切な生殖器
前立腺は膀胱の下、直腸の前側に位置する、栗のような形をした器官です。大きさは直径3センチほどで、重さは15~17グラム。前立腺の真ん中を尿道が通っています。
主な働きは精液の一部となる前立腺液を分泌し、射精の時は、精子を尿道へ送り出します。前立腺液は精子を守り、その活動をサポートするなどの大事な役割があります。このほか排尿をコントロールする働きを持ち、男性ホルモンと深い関わりがあるとみられています。しかし、まだ解明されていない機能も多く「未知の臓器」とも言われているようです。
前立腺とはどんな機能を持っているの? | メンズヘルスクリニック東京(旧城西クリニック) AGA専門外来
前立腺とはどんな機能を持っているの?
痙攣が起きるのは主に前立腺炎
前立腺に痙攣が起きた場合、まず考えられるのが前立腺炎ではないでしょうか。前立腺炎は50歳以下の若い世代に多く、細菌に感染するなどして前立腺が炎症を起こす病気です。このほかストレス、過食や過飲、寝不足から前立腺炎を発症する場合もあるようです。
痙攣のほかに尿の回数が増える「頻尿」やトイレにいってもすっきりしない残尿感、下腹部の鈍痛など別の症状が見られる場合は、前立腺肥大症や、場合によっては前立腺がんなど他の病気の可能性も考慮した方がいいでしょう。
慢性前立腺炎
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前立腺とはどんな機能を持っているの?
前立腺炎の主な症状と治療法は?
比較的若い世代に多いとされる前立腺炎。どんな病気で、どんな治療法があるのでしょうか。次にご紹介します。
前立腺炎には急性と慢性がある
前立腺炎は30~40代の比較的若い世代に多く見られる病気です。「急性前立腺炎」と「慢性前立腺炎」に大別されます。慢性前立腺炎の原因の多くは細菌感染を伴わない非感染性です。
細菌による感染性の場合は主に大腸菌、クラミジア、弱毒性細菌などの細菌に感染して発症します。性交などの際に尿道から菌が入り込むケースがあるほか、血管やリンパ管経由で感染する場合もあります。
症状は湿疹や発熱、排尿時の痛みなど
急性の場合は痙攣のほか発熱や排尿時の痛み、排尿困難、腫れなどの症状が見られます。慢性の場合は慢性的な排尿痛や陰部の不快感が多く、このほか頻尿や残尿感、尿漏れ、下腹部や足の付け根の鈍痛などの症状もあるようです。
慢性前立腺炎には多くの症状、原因があるため、専門医の診察を受けた方がいいでしょう。
治療は抗菌剤など内服が中心
検査では、白血球の増減や病原体となる細菌を調べるための尿検査や、前立腺の状態を見る超音波(エコー)検査が行われます。また、医者が肛門から指を入れて前立腺の痛みを調べる「直腸診」が行われる場合もあります。
治療方法は原因によって変わりますが、急性の場合は抗生剤の内服と点滴が中心になります。万一重症化した場合は入院・加療が必要で、尿が出なくなる尿閉となった場合は、尿管にカテーテルを挿入して治療する場合もあります。
慢性の場合は抗菌剤、抗生物質、漢方薬の内服が中心です。生活習慣を見直すことで症状が改善する場合もあり、栄養バランスの取れた食事、ストレスを溜めない規則正しい生活、適度な運動を指導されることがあります。
慢性前立腺炎
前立腺肥大症ってどんな病気?
前立腺の代表的な病気のひとつに前立腺肥大症があります。前立腺肥大症とはどんな病気で、どのような症状が現れるのでしょうか。検査方法、治療方法も合わせて見ていきましょう。
前立腺肥大症は50代以上に多い
前立腺は年齢を重ねるとだんだん大きくなります。前立腺肥大症は若い世代には少なく、50代以上に多い病気です。55歳以上の日本人男性の場合、5人に1人前立腺肥大が見られるといわれています。
前立腺が大きくなることで膀胱を圧迫し、排尿障害などを引き起こすのが前立腺肥大症です。前立腺の肥大には男性ホルモンのバランスの影響や食生活の偏り、生活習慣が関係していると考えられています。
前立腺肥大症
前立腺肥大症と薬物治療:前立腺の働きと前立腺肥大症|患者・ご家族のみなさま向け|旭化成ファーマ
前立腺の働きと前立腺肥大症
主な症状は頻尿・残尿感・排尿困難
前立腺肥大の主な症状は、尿の出る回数が多い(目安は1日8回以上)頻尿をはじめ残尿感、尿が出にくい排尿困難、尿切れが悪いなどがあります。
さらに残尿が原因で、合併症として膀胱結石が起こることがあります。その結石が膀胱内部を傷つけ、出血して血尿が出るということもあるそうです。
前立腺肥大症と薬物治療:前立腺肥大症の原因と症状|患者・ご家族のみなさま向け|旭化成ファーマ
前立腺肥大症の原因と症状
薬物治療のほか、内視鏡手術も
専用の機器で排尿の勢いを調べる検査のほか、前立腺の大きさや形を見る超音波検査、残尿測定、直腸診などが行われます。
治療は薬物治療、手術。薬物治療は2種類。前立腺の平滑筋を緩めて尿道の圧迫を抑える薬、もうひつとつは前立腺が大きくなる原因の男性ホルモンの作用を抑え、前立腺自体を小さくする薬。
手術は尿道から内視鏡を挿入し、電気メスのようなもので前立腺の肥大した部分を切除したり、放射線で除去する手術。尿道にステントと呼ばれる筒状の医療機器を設置し、内部から尿道を広げる方法もあります。
このほか保存療法として、コーヒーやアルコールを飲みすぎない、長時間座ったままの生活をしない、適度な運動をする、下半身の冷えを防ぐよう指導される場合もあります。
前立腺肥大症と薬物治療:前立腺肥大症の治療法のいろいろ|患者・ご家族のみなさま向け|旭化成ファーマ
前立腺肥大症の治療法のいろいろ
前立腺がんが疑いが!どうすればいい?
50歳を過ぎたら、前立腺がんにも注意が必要です。前立腺がんの主な症状や治療法について紹介します。
50歳を過ぎたら要注意!
もともと欧米に多いがんでしたが、近年は日本でも患者数が増加。前立腺がんは前立腺の細胞が正常な細胞増殖のコントロールを失い、無秩序に増殖することで引き起こされます。悪性腫瘍であるがんの発生場所は前立腺の外側の外腺と呼ばれる部位で、がん細胞がゆっくりと増殖するのが特徴。
45歳以下の男性が発症することはまれですが、50歳を過ぎると加齢とともに発症する割合が上昇し、70代では人口10万人当たり100人、80代は200人といわれています。
危険因子として脂っこい食べ物の大量摂取、肥満などがあげられています。また、加齢により男性ホルモンのバランスが崩れることも要因とみられています。
しかし現在で前立腺がんのリスクは、「性経験が20人以上である場合は低くなる」ということがわかっているそうですね。
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前立腺がん
初期は症状が見られない
前期から中期にかけて、症状らしい症状は見られず、がん細胞の成長が遅いのが特徴です。前立腺肥大症が同時に進行しているケースでは、前立腺肥大症の症状である尿切れの悪さ、排尿時の勢いの低下、残尿感、夜間のトイレや頻尿、場合によっては尿閉などが現れます。
ただし、これらの症状は加齢によって生じる場合があり、専門医の診断が必要です。進行すると血尿や骨への移転による腰痛が起きる場合があります。
前立腺がん
前立腺がんの治療/ホルモン療法・手術など
症状が出る前の早期に発見することが大変重要です。早期発見にはPSP(前立腺特異抗原)検査が有効とされています。検査方法は血液を採取し、前立腺から分泌されるPSPという物質を調べます。
前立腺に異常があると、その数値が上がります。ただし、がん以外の前立腺肥大症の患者でも数値が上がる場合があり、専門医の診断が必要です。このほか直腸診が行われることもあり、医者が前立腺のしこりの有無や硬さなどを調べます。直腸診によって前立腺肥大か、前立腺がんの違いも判断できるようです。
代表的な治療方法は、ホルモン療法(内分泌療法)、手術療法、放射線療法があります。ホルモン療法は前立腺がん治療の基本になる治療法です。前立腺がんの増殖は、男性ホルモンの働きに大きく左右されます。
ホルモン療法は、男性ホルモンの分泌を抑える薬を内服したり、女性ホルモンを服用したりします。また、男性ホルモンを生み出す精巣を除去する手術が行われる場合もあります。
手術療法は、前立腺と精のうをすべて取り除き、膀胱と尿道をつなぐ全摘除術が一般的です。下腹部を切開して行う開腹手術のほか、腹腔鏡手術と組み合わせた腹腔鏡下小切開手術などがあります。最初にホルモン治療を行ってがんを小さくした後に手術する場合もあるようです。
放射線療法は早期がんから進行がんまで幅広く行われています。外部から放射線を照射する外部照射法と内部から照射する組織内照射法に分類されます。組織内照射方法は、前立腺の中にカプセルを埋め込んで照射する方法、針を挿入して照射する方法があります。
前立腺がん
まずは専門医で検査を
いかがでしたでしょうか?前立腺の痙攣は前立腺炎に多く見られる症状ですが、ほかにも頻尿や残尿感、下腹部の違和感などが感じられるようであれば、他の疾患も疑ってみた方がいいかもしれません。心配であれば一度、専門の医療機関で検査を受けることをお勧めします。
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