[溶連菌が原因の発疹の症状]大人もかゆみが出たら要注意!薬による治療法も解説します!

溶連菌は咽頭炎の原因菌として広く知られていますが、その他にも「とびひ」を始めとした様々な皮膚トラブルに関与していることをご存知ですか?ここでは溶連菌による皮膚症状とそれぞれの治療法を病気別に詳しく説明しています。

溶連菌とは?

溶連菌とはあくまでも略称で、正確には溶血性レンサ球菌と言います。レンサ球菌は菌体の形に名前の由来があり、連鎖という特徴から名づけられました。そのためレンサ球菌は一列に連なりながら構成されているのがわかりますね。

溶血性レンサ球菌は4つの分類に分けられますが、私たちが溶連菌と呼んでいる病気の大半の原因となっているのはA群レンサ球菌と呼ばれるものです。そのため溶連菌という診断が出た場合はこのA群レンサ球菌に感染したと捉えることができますね。このA群レンサ球菌の正式な菌体名は化膿性レンサ球菌と言い、症状としては喉や鼻などの上気道炎や発疹、化膿などが起こります。私たちが知っている溶連菌の症状をまさに合致しているのではないでしょうか。

溶連菌に感染すると様々な皮膚症状を呈します。ここでは、主に溶連菌感染症の皮膚症状について詳しく説明しています。皮膚症状以外の症状や病気の詳しい説明については、「溶連菌感染症の症状・合併症・治療まとめ」をご覧ください。

溶連菌感染症のまとめ

どんな人がかかるの?

この感染症は、ほとんどの年代で感染する可能性があります。ですが最もかかりやすく感染が広がりやすいのは幼児や小学生などの児童と言えるでしょう。幼稚園や保育園などでも溶連菌が出た!と聞くと、ついつい来たか~!と思うお母さんもいるのではないでしょうか。

子供はもともと感染しやすい上に、くしゃみや咳により人から人へ感染する(飛沫感染)ため、学校などで集団生活をしている子供は溶連菌と接触する機会そのものが多いと言われています。また流行りやすい時期もあり、12月~3月のまさに冬季期間に見られやすい病気です。

溶連菌感染症の発疹とは?

illustrated by: snach

溶連菌は喉の腫れや痛みなどの炎症と共に皮膚にも症状が見られます。この喉の腫れ咽頭炎が主な感染源とされ、一般的には発熱してから1~2日で皮膚症状が出現しますが、咽の痛みや発熱などなく皮疹だけが出る場合もあります。

指の関節部分はゴワゴワとした「しわ」ができたり、赤くなったりします。感染の急性期を過ぎると、指先や手のひらの皮膚が剥がれ落ちることがあり、この現象を落屑(らくせつ)と言います。手足の落屑は、身体の落屑と比べ、びっくりするほど大胆に皮が剥がれ落ちる事もあります。皮膚がむけた後は指がつるつるになります。

手のひらや指先は赤くなったり、点状紅斑(赤い斑点状の皮疹)が出たりします。足先にできた点状紅斑は、ふくらはぎや太ももまで広がることもあります。この場合は他のじんましんや発疹などとは少し手触りが違っており、撫でるとザラっと引っかかるような感触のためわかりやすいでしょう。

熱や咽頭炎と共に発疹がでる病気といえばリンゴ病や風疹もおなじみですが、こちらは特に手触りに特徴が無いものです。このように発疹による見分けができるのも、溶連菌感染症の特徴と言えるでしょう。

顔に発疹が出来た場合も同様で、ニキビのようなものはもちろん、カサつきや赤身を帯びるようになります。すぐに完治するわけではありませんが、一週間程度で快方に向かうものなのであまり気にし過ぎないようにしましょう。触りすぎもやめましょうね。

溶連菌感染症の顔の皮膚変化、 溶連菌感染症のからだの皮膚の変化

ここまでは一般的な溶連菌感染症による皮疹の説明をしてきました。しかし、溶連菌は一般的に呼ばれる「溶連菌感染症」以外にも様々な皮膚の感染症に関与しています。以下ではそれぞれを病気別に説明していきます。

1.猩紅熱

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猩紅熱とは、発熱に伴って全身に赤い皮疹が出現するタイプの重症な溶連菌感染症のことを言います。抗生剤による適切な治療が受けられないと命に係わる事もあり、以前は危険な伝染病として恐れられていました。しかし、抗生剤が普及している現代では、治療をすればちゃんと治りますのでご安心ください。

発熱から1~2日で日焼けをしたかのように体中が赤くなります(「猩紅」熱の名前の由来でもあります)。また、特に強く猩紅熱が出るとされているのが脇や肘の内側、股関節などの関節です。関節のシワに重なるように赤くなることが多いようです。

顔では、おでこや頬が赤くなる一方で、口の周りは赤くならないため、口の周りだけ白く抜けているように見えます。これらの皮疹は痒みを伴います。また、例えば採血の際の駆血などで腕をきつく縛ると、その刺激で縛った部分の皮疹が悪化します。皮疹が現れた部分は急性期を過ぎると落屑が認められることがあります。

また、舌は発症初期は白苔で覆われて白く見え、その後白苔が剥がれ落ち赤くブツブツとした「イチゴ舌」が見られることがあります。

1.発疹の特徴

猩紅熱の治療

猩紅熱の治療は、通常の溶連菌感染症と同様にペニシリン系の抗生剤を使用します。完全に除菌するために、症状が改善しても少なくとも10日間は抗生剤を服用し続ける必要があります。ペニシリン系の抗生剤にアレルギーを持っていたり、溶連菌が耐性を持っていて効きにくい場合は、別の種類の抗生剤を使用することもあります。

治療・予防

2.とびひ(伝染性膿痂疹)

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とびひとは正式には伝染性膿痂疹と言い、溶連菌や黄色ブドウ球菌が皮膚に感染することで発症します。とびひの原因菌は黄色ブドウ球菌が大半を占めており、この菌に感染した場合は水泡性(水ぶくれ)の膿痂疹となり、溶連菌によるとびひでは、痂皮性(かさぶた)の膿痂疹となることが多いようです。

最近では院内感染で見られることの多いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によるとびひが増えており、治療に難渋するため問題となっています。とびひは、元々あった湿疹や虫刺され、小さな擦り傷などから感染することが多く、特にアトピー性皮膚炎の場合は皮膚に細かい傷があることが多く、この傷がブドウ球菌の住処になりやすく、発症の原因になってしまうことが多いようです。

今回は溶連菌が原因となる痂皮性膿痂疹の症状について説明します。
痂皮性膿痂疹は年齢、季節に関係なく発症する傾向にあります(水泡性は夏に多く、子供に好発します)。最初は感染の始まった皮膚の一部分が赤くなり、そこから膿疱(膿のつまった水泡)やかさぶたが全身に広がっていきます。炎症によりリンパ節が腫れたり、発熱や咽頭痛を伴うことがあります。

とびひの治療

水泡性膿痂疹の場合は水泡がつぶれると感染の拡大を招くので清潔を保ち抗生剤の塗り薬を使用しなくてはなりませんが、痂皮性の場合はそこまで神経質にならなくても良いと言われています。治療は、通常の溶連菌感染症と同様に、抗生剤の飲み薬を使用し、症状改善後も最低10日間は服用を続けます。痒みが強い場合は、抗ヒスタミン薬などの痒み止めを使用することもあります。

伝染性膿痂疹(とびひ)とは

3.丹毒

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丹毒とは、主に溶連菌が皮膚に感染することによって起きる病気で、高齢者など免疫力が弱い方に好発します。丹毒は小さな傷口や湿疹から細菌が侵入して発症しますが、原因となった傷がわからないことも多くあります。外傷の他、咽頭からの溶連菌が原因になることもあります。また、なんらかの原因でリンパの流れが阻害されるリンパ浮腫の方は同じ場所に繰り返し丹毒を発症しやすく、習慣性丹毒と呼ばれます。

皮膚に出る症状としては痛みのある赤い腫れが浮き出るように出現し、体には発熱や悪寒なども見られます。顔や手足にできやすく、紅斑は境界明瞭で、光沢があり、熱感があります。紅斑はどんどん大きくなり、顔の片側で発症した場合は両側に広がっていきます。炎症によりリンパ節は腫れ、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。丹毒が治ってくると、落屑を生じることがあります。

丹毒の治療

まずは安静にし、赤くなった部分を冷やします。治療は抗生剤の内服、または重症の場合は点滴にて行います。点滴の場合は、症状が改善したら飲み薬に切り替えます。他の溶連菌感染症と同様に、最低10日間は抗生剤の服用を続けます。

丹毒(たんどく)、当クリニックの考え方・治療方法

4.蜂窩織炎

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蜂窩織炎(ほうかしきえん)は黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が皮膚に感染することで発症します。ちなみに、とびひ、丹毒、蜂窩織炎はいずれも皮膚の細菌感染が原因ですが、この3つの病気の違いは感染した皮膚の深さにあります。浅い順に、とびひ(角層下)、丹毒(真皮)、蜂窩織炎(真皮深層~皮下組織)となっています。

蜂窩織炎は顔や手足に好発し、その中でもふくらはぎ周辺に発症しやすいと言われています。丹毒と同じように、小さな傷や毛嚢炎、湿疹などから感染しますが、感染源がよくわからないことも多々あります。丹毒同様にリンパ浮腫がある方はより注意が必要です。また、糖尿病やAIDSの方も蜂窩織炎を発症しやすいと言われています。

蜂窩織炎が発症した箇所は熱を持って腫れ上がります。また腫れあがった箇所は、痛みと共に周辺へと広がります。この腫れあがった部分が水ぶくれになってしまったり、膿んでしまうこともしばしば見られます。丹毒の紅斑との違いは、丹毒は正常な部分と病変の境界がはっきりしているのに対し、蜂窩織炎は不明瞭になっているところです。炎症により発熱、悪寒、頭痛、関節痛を伴うことがあります。リンパ節の腫れや、リンパ管炎が見られることがあります。これらの症状が進行してしまうと、壊死性筋膜炎や敗血症などの命にかかわる病気になってしまうこともあります。

蜂窩織炎の治療

蜂窩織炎の治療は、できる限り入院した上で行い、抗生剤を点滴投与し、局所は冷やして安静を保ちます。治療を行っても症状が改善しない、または進行する場合は壊死性筋膜炎を疑い、手術などのさらなる治療に移行します。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)、当クリニックの考え方・治療方法

5.リンパ管炎

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リンパ管炎とは、皮下で起きた炎症がリンパ管に広がった状態のことを言います。主な原因菌は溶連菌です。他の皮膚の感染症と同様に、傷口からの細菌侵入の他、蜂窩織炎などの感染症から引き起こされることもあります。元々リンパ浮腫のある方はリンパの流れが滞っていますので、より注意が必要です。リンパ管炎は急性と慢性に分けられますが、一般的にリンパ管炎とは急性リンパ管炎のことを言います。

リンパ管炎の症状はリンパ管に沿って、線状の紅斑が手足に出現します。紅斑の幅は数ミリから数センチに及ぶこともあり、熱感と痛みを伴います。紅斑は近くのリンパ節に向かって広がっていき、リンパ節に到達すると、リンパ節の腫れや痛みを伴うリンパ節炎が引き起こされます。炎症により、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐などが皮膚症状の前に見られることがあります。

リンパ管炎の治療

リンパ管炎の治療は、蜂窩織炎の時と同じように抗生剤の投与と局所の冷却と安静です。病変周辺の腫れやむくみがひどい場合は、患部を持ち上げてむくみの消褪を図ることもあります。

溶連菌感染症の予防法とは?

1.清潔に!

擦り傷や湿疹により小さな傷ができた場合は、患部を清潔に保ち、菌の侵入を予防しましょう。また、小さい傷をつけないよう日常生活で注意をするのもいい方法です。例えば髭剃りは慎重に、耳かきは綿棒で優しく行う、鼻をかみ過ぎない、などです。また、リンパ浮腫やアトピー性皮膚炎などの感染のリスクになり得る基礎疾患を持っている場合は、きちんと治療をしましょう。

当クリニックの考え方・治療方法

2.感染者と接触しない

溶連菌による咽頭炎の場合は、飛沫感染により人から人へうつるので、近くで咽頭炎や猩紅熱などを発症した人がいた場合は注意をし、うがいや手洗いをきちんと行いましょう。また、溶連菌感染症を発症してしまった場合は、周囲の人のことを考えて症状が改善するまでは学校などをお休みすることが望ましいとされています。

しかし、傷口から菌が侵入するような皮膚感染症は人から人へうつるものではありませんので、感染者を避ける必要はありません。

治療・予防

溶連菌感染症は何科?

咽の痛みなどがメインの溶連菌感染症(咽頭炎、猩紅熱など)の場合は、子供は小児科、大人は一般内科を受診しましょう。皮膚が赤く腫れ上がり化膿している場合(とびひや丹毒など)は皮膚科を受診しましょう。

溶連菌の発疹に関するみんなの体験談・感想まとめ

ウサギさん(専業主婦・35~39歳・女性)

子供が、感染をしました。熱が高くて咳や鼻水と風邪の症状なのですが、全身に湿疹も出ていました。幼稚園で溶連菌が流行っていると聞き症状をネットで調べると喉の奥がプチプチと赤い湿疹ができている、全身に湿疹が出ると書いてあったので子供の喉や体を見たところやはり湿疹があるので、先生に相談したところ、唾液をとって検査するキットを使って調べてくれました。待ち時間は、10分程度。やはり感染をしていました。熱が下がれば登園してもいいのですが、菌が体内に残っているので抗生物質2週間の見切り、2週間後に一度尿検査。さらに2週間後に尿検査をして菌が出なければ完治とみなされます。

犬飼さん(専業主婦・35~39歳・女性)

夏に小2の子供が溶連菌に感染しました。溶連菌の症状と言えば喉の痛みと思っていましたが、息子は喉の痛みは殆どなく、体に発疹がたくさん出ました。お腹や背中に小さなブツブツした発疹が広範囲に色がっていて、痒みもありました。熱も微熱程度でとても元気でしたが、すぐに小児科に連れて行き、検査した結果、溶連菌が陽性でした。処方された抗生物質はしっかり飲みきるように言われました。発疹は2日ほどで引きました。2週間後に尿検査に行きました。稀に菌が体内に残って、腎機能などに問題が出ることがあるからだそうです。

丸井さん(会社員・35~39歳・男性)

小学校に入学してから少しして6月ごろに息子が溶連菌にかかりました。38度くらいの熱が下がった後に手足に発疹が出ました。急いで病院へ行くと舌も発疹が出ていたようでしたので尿検査をした結果、溶連菌と診断されました。抗生剤を飲んで熱もすぐ下がったので翌日には小学校へ通学しても良いと言われたので登校させました。病院を受診して2週間後に尿検査をし、菌が残っていないことを確認しました。

山田さん(専業主婦・40~44歳・女性)

子どもが幼児教室に通い始めて1か月、GW明けに口の中が痛いと言いだし、発熱しました。喉が赤く腫れていて、しばらくすると舌も赤く腫れていました。口の中に食べ物を入れると痛かったらしく、薬をアイスにのせてのみこませたり、ポカリスエットを飲ませたりしていました。今思えば、甘いものや甘味料はおさえて、刺激のないおかゆをもっと上手に活用すればよかったです。

星野さん(看護師・30~34歳・女性)

幼い頃風邪を引きやすく、元々扁桃腺が他の人に比べ大きかったこともあり、しょっちゅう喉から来る風邪を引いてました。そのとき、溶連菌にもかかりました。やはり症状は、のど風邪に似た、喉の痛みや咳、高熱などなのですが、その際一緒にての発疹が出ました。加え、舌にブツブツした物ができ、これは風邪ではないと思っていたところ溶連菌でした。舌の違和感で食事がまともにできず、ヨーグルトなどサラサラしたものを食べていたのですが、栄養がとれないせいか治りが悪く、完治まで時間がかかりました。

まとめ

「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」という迷信がありますよね。それは、明かりがあまりなかった昔は、暗くなってから良く見えずに爪を切ると、誤って指を切ってしまう恐れがあるから、という説があります。しかしなぜ指を切ってしまうだけで親の死に目に会えないのか?それはそんな小さな傷から感染症を引き起こし死に至る危険性があったからなのです。抗生剤などというものが存在しなかった昔は、感染症は死と隣り合わせの危険な病でした。

医療が進歩し当たり前のように抗生剤が使えるようになった現代では、皮膚感染症は軽く見られがちです。しかし、感染症は今の時代も適切な治療を受けなければ命に係わる危険な病気であることに変わりはありません。少し赤く腫れている程度だから大丈夫、などと油断せずに、感染を疑った場合は迷わず病院を受診しましょう。

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