気になる頭部の湿疹…症状に合わせた正しいヘアケアが早く治すカギ
人知れず悩みを抱えている人も多いといわれる頭部の湿疹。かゆみや痛みで生活に支障が出る湿疹もあれば、フケの原因になる場合も。湿疹はケアや治療をせすに放置しておくと悪化、再発、慢性化するケースもあるようです。代表的な頭部湿疹について詳しくご紹介します。
頭部の湿疹の原因と対処方法
頭部が痒い、腫れていて痛みがある、毎日洗髪しているのにフケが出るなどの症状があるときは、頭部に皮膚炎が発症しているかもしれません。まずはご自分の頭皮の状態をよく観察してみましょう。
代表的な頭部の湿疹はこの4タイプ
頭部にできる湿疹の代表的なものに脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎があります。まず自分の湿疹がどのタイプなのかを知ることがケアや治療の第一歩。それぞれの症状の特徴や原因を見ていきましょう。
脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌で起きる
30歳を過ぎたころから、フケが多くなったり、脂っぽいフケが頭皮に付着したりするのは、脂漏性皮膚炎の主要な症状です。頭以外でもこめかみや耳の裏側、鼻の両脇などが赤くなったり、脂っぽい皮がはがれたりすることもあります。
脂漏性皮膚炎は、痒みはそれほどないですが、放っておいても自然に治ることが難しいようです。放置しておくと症状が悪化したり、頭のフケがひどくなってしまうこともありますので、できれば早めに医療機関を受診した方がいいでしょう。
脂漏性皮膚炎は、マラセチアと呼ばれるカビ皮脂の中性脂肪を分解することで炎症が引き起こさすといわれています。唐辛子やわさび、コーヒー、アルコールなど、刺激性のある食べ物を好む人は、皮脂の過酸化を促進させ、症状を悪化させる原因にもなるようです。
皮脂欠乏性皮膚炎は肌の乾燥が原因
皮脂欠乏性皮膚炎は「乾燥性皮膚炎」「ドライスキン」ともよばれ、肌が乾燥する冬に起きやすい皮膚炎です。高齢者に多いですが、最近は若い人にも増えているようです。
冬は空気が乾燥し、気温も下がります。気温が低いと皮膚表面の血流が低下し、肌の乾燥が進行します。乾燥した肌はバリア機能が低下し、肌がガサガサになったり、うろこ状になったり、皮がポロポロとはがれてしまうことも。皮脂欠乏性皮膚炎は強い痒みを伴う場合が多く、細菌に感染するリスクも高いようです。
頭皮を清潔に保とうと、毎日シャンプーしたり、ゴシゴシ強く洗うと、皮膚のバリア機能を持つ角質層がはがれてしまい、逆効果。また、シャンプー剤やクレンジング剤を多用すると角質層を包む皮脂膜を痛めることにもなりかねません。
アトピー性皮膚炎はアレルギー体質の人に要注意
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質の人や肌のバリア機能が低下した人に起きやすく、痒みをともなう湿疹が発生し、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。赤くはれたり、肌の潤いが失われてカサカサしたり、フケのようにはがれ落ちたりすることもあります。頭部以外の体のさまざまな場所に発症することがあります。
原因はアレルギーのほか、精神的な要素が関係していることもあると言われています。皮膚には本来、細菌やウイルスから体を守る免疫機能が備わっていますが、アレルギーがある場合は細菌やウイルス以外のアレルゲンにも過剰に反応することで炎症が引き起こされます。主なアレルゲンは食物のほかダニやカビ、ハウスダストなど。このほか汗や紫外線などに影響されるケースもあるようです。
接触性皮膚炎は刺激物との接触で発症
皮膚にアクセサリーなどの金属や香水、毒性のある植物や昆虫など何らかの刺激物が触れることで炎症が起きる皮膚炎です。肌に赤いブツブツや水ぶくれができたり、肌が盛り上がるような湿疹が発生します。刺激物に触れた場所とそうでない場所がはっき分るのが特徴で、「かぶれ」とも呼ばれます。痒みや痛みを伴います。
接触性皮膚炎は「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」に分けられます。刺激性接触皮膚炎は原因物質の刺激性、毒性などで誰にでも発症することがあり、刺激物に触れてからそれほど時間を置かずに発症します。アレルギー性接触皮膚炎は、特定のアレルギーを持つ人が発症します。原因物質に触れてから1〜2日後に湿疹や腫れなどが現れます。
頭部の湿疹の治療方法は?
頭部に起きる4タイプの皮膚炎はそれぞれ皮脂の過剰分泌や肌の乾燥、アレルギーなど別々の原因により発症します。それぞれの治療法を整理してみました。
脂漏性皮膚炎は菌の増殖を抑える
皮膚科を受診すると、ステロイド外用薬を処方されるのが一般的で、比較的短期間で症状の改善がみられるようです。頭部の湿疹の場合は主に液体のローションタイプが使われます。症状が改善してきたら、ステロイド剤の使用は控えた方がいいでしょう。
このほかマラセチアの増殖を抑える抗真菌外用が処方される場合もあります。ステロイド剤よりも効果が表れるまでに時間がかかりますが、副作用の心配がほとんどないため、軽症の場合や症状が落ち着いてきた場合に用いられることが多いようです。皮脂の分泌を抑えるビタミンB2やB6が処方される場合もあります。
薬局でも抗真菌剤が配合したシャンプーなどが販売されていますので、自分で購入してケアする人もいるようです。皮脂の過剰な分泌を抑えるには、刺激のあるアルコール、コーヒー、刺激物、甘いものや脂っこいものを控えましょう。
十分な睡眠を取り、ストレスをためない生活を送ることも大切です。ビタミンB群の豊富なトマトやホウレンソウ、牛乳、卵、レバーなどを積極的に取ることも大切です。
皮脂欠乏性皮膚炎は痒みを抑えて保湿
皮膚科を受診すると、肌の乾燥を防ぐワセリンや尿素など配合の保湿剤などが処方されます。炎症がある時はステロイド剤が処方される場合もあります。痒みが強い場合は抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が処方されます。
ワセリンやケラチナミン配合の保湿クリームはドラッグストアなどでさまざまなタイプが販売されていますので、症状が軽い場合はそれらを試してみる方法もあります。皮脂欠乏性皮膚炎は加齢と体の洗いすぎが大きな要因です。
お風呂はぬるめの39~40度、湯船に浸かるのは15分程度にとどめましょう。洗髪は爪を立てたり強くこすったりせず、優しく丁寧に洗いましょう。保湿剤は入浴後の肌がしっとりしている時に塗ると効果的。加湿器は湿度設定40%程度で使用するようにしましょう。
アトピー性皮膚炎はアレルゲンの排除とスキンケア
アトピー性皮膚炎が疑われる場合はまず医療機関を受診し、アレルギー検査を受けてアレルゲンを特定することが早道のようです。自分のアレルゲンが分かったら極力、生活環境の中からアレルゲンを排除しましょう。ダニやハウスダストが原因の場合は部屋をきれいに掃除し、空気清浄器を活用するのもいいでしょう。
医療機関では炎症を抑えるステロイド剤、痒みを抑える抗ヒスタミン剤、抗アレルギー薬、保湿剤などが処方されます。
家庭では肌の保湿を心がけ、入浴後は早めに保湿クリームなどでケアしましょう。シャンプー剤は皮脂を取り過ぎず、適度なうるおいを保つものを選びたいですね。洗髪の時は、よく泡立てて優しく洗うようにしましょう。
接触性皮膚炎は原因物質の特定を
もし原因物質に触れてしまった場合は、すぐに水で洗い流しましょう。炎症や痒みがある場合はステロイド剤や抗ヒスタミン剤の治療が中心となります。刺激性接触皮膚炎の場合は、時間をさかのぼって刺激を受けた原因の特定に努めましょう。原因物質を遠ざけることが一番の予防になります。
日頃のケアで健やかな頭皮を保ちましょう
頭部に起きる湿疹を防ぐには、日ごろから自分の頭皮の状態を把握しておくことが大切です。皮脂が多い場合、乾燥しがちな場合などそれぞれのケアをまとめました。
正しいヘアケア法
一言で「頭皮の湿疹」と言っても、タイプがまるで違うということは先述した通りです。ここでいう「正しいヘアケア」というのは、まず自分の頭皮湿疹の原因を知るところから始まります。皮膚科で診察してもらい、自分の肌の状態を知るようにしましょう。
乾燥が原因であれば、潤いや"洗い過ぎない"といった意識が正しいヘアケアとなりますし、アトピーやアレルギーが原因なのであれば、科学物質の少ないヘアケア剤を使う、食生活から見直す、といったことが正しいケア方法につながります。
症状別で選ぶシャンプー
乾燥肌、アトピーなどの敏感肌には植物系アミノ酸シャンプー
乾燥が原因で起きる湿疹、アトピーなど敏感肌には植物系のアミノ酸シャンプーがオススメです。頭皮への刺激が少なく、洗い上がりがしっとりしているのが特徴です。植物生まれのオレンジ地肌シャンプー(石澤研究所)、M-markアミノ酸せっけんシャンプー(松山油脂)をはじめ多彩なラインナップがあります。
脂漏性皮膚炎には抗真菌成分入りシャンプー
脂漏性皮膚炎の場合、通常のシャンプーで洗っても、原因となるマラセチアを減らす効果はありません。医薬部外品の薬用シャンプーであれば、マラセチアの増殖を抑える抗真菌成分の入ったものがあります。抗真菌成分入りではコラージュフルフル(持田ヘルスケア)、メディクイックH(ロート製薬)、オクトセラピエ(ライオン)などがあります。
市販の薬も利用可能
オイラックスPZ軟膏などの少ステロイド剤
炎症を抑える薬です。オイラックスPZ軟膏(第一三共ヘルスケア)、テレスHi軟膏(ジョンソン&ジョンソン)、メディクイック軟膏(ロート製薬)などがあります。
アレジオンなど抗ヒスタミン剤
痒みなどを引き起こすヒスタミンを直接抑える薬です。アレジオン10(エスエス製薬)アレグラFX (久光製薬)などがあります。
ダマリンなどの抗真菌薬
脂漏性皮膚炎を治療する薬です。ダマリングランデX(大正製薬)、ブテナロック(久光製薬)、ピロエースZ(第一三共ヘルスケア)などがあります。
湿疹に気付いたら早めに対処を
頭部の湿疹に気付いたら、なるべく症状が悪化する前に対処しましょう。症状が治まっても再発する場合がありますので、日頃から頭皮の状態に関心を持つように心がけたいものですね。
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