不妊の原因にもなるって本当?精巣上体炎の原因や症状をチェック!

精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)は、精巣上体という組織が炎症をおこす病気で、ひどくなると精巣上体自体を摘出する手術をしなければいけない場合もあり、不妊症の原因ともなるとされる男性の病気です。そんな精巣上体炎について、急性、慢性の違いや検査法、治療法などについて記載させていただきます。

精巣上体炎の原因と治療法

精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)とは、男性の精巣上体という精子が精巣から運ばれるときの通り道の組織が、細菌感染などの理由で炎症を起こす病気であると言います。精巣上体炎には、急性のものと慢性のものがあって、急性のものでは睾丸が激しく痛み、腫(は)れたり、場合によっては、膿が噴き出すといった症状が現れると言います。

この記事では、精巣上体炎について、急性、慢性の症状の違いや、原因、治療法、検査法などについて、詳しく解説させていただきます。

不妊症の原因にも!精巣上体炎とは?

精巣上体炎の特徴をまず見て行きましょう。精巣上体の炎症は、尿の中の細菌が、何らかの理由で逆流するといったことで起こると言います。これが原因で不妊になるといったケースもまれにあるようですので注意が必要です。

精巣上体で炎症が起こる病気

精巣上体(せいそうじょうたい)とは、精巣(睾丸(こうがん)とも呼ばれます)の横にある器官で、精巣でつくられた精子は、精巣上体を通過し、精管(せいかん)とよばれる管に流れ、精管は最終的に尿道につながります。

精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)とは、尿のなかの細菌が、何等かの理由で精巣上体に入ってしまい、そこで炎症を起こす病気であると言います。この病気の症状で特徴的なものは、陰嚢(いんのう:精巣を包む皮膚の袋)が痛みや熱を伴って腫(は)れることで、一番頻度が高いのもは急性精巣上体炎であると指摘されています。

不妊の原因にもなる

精巣上体炎は精巣上体が細菌に感染し、炎症をおこすものであるとされますが、原因はクラミジア感染症などの性感染症や結核などがあり、感染によって、精子の通り道である精管がふさがってしまうことがあり、これが不妊の原因になることがあると言われています。

精巣上体炎によって精管がふさがっている場合は、不妊治療として精路をつなぐ手術(精路再建術)を行うか、精巣から精子を採取して顕微授精を行うか考慮する必要があると言われています。

急性と慢性がある!精巣上体炎の種類

精巣上体炎には急性のものと慢性のものがあると言います。急性では、比較的激しい痛みや高熱を伴うことがあり、慢性ではそのような症状があらわれず、しこりなどの症状が軽微であり、病気が見過ごされるケースもあると言います。

急性精巣上体炎

精巣上体炎には急性と慢性の2種があり、急性精巣上体炎では、精巣と精巣上体が収まっている陰嚢に痛みや腫(は)れ、しこりがあらわれ、高熱(38度以上)や悪寒(おかん)があらわれると言います。重症化すると陰嚢の皮膚が赤みを帯びてきて硬く腫れあがるとされています。

また精子の通り道である精管にそって炎症が広がると、鼠径部(そけいぶ:太ももの付け根)や下腹部に痛みがあらわれたり、さらに悪化すると、精巣と精巣上体がひとかたまりになって腫大し、歩くことが不自由になる場合があるといい、陰嚢の中に膿がたまり、破れて出てくることもあるようです。

慢性精巣上体炎

慢性精巣上体炎は、陰嚢(いんのう)内のにぶい痛み、違和感が長い期間続く病気で、急性精巣上体炎が長引く場合(大腸菌やクラミジアなどが原因)、特殊な菌による炎症が長引く場合(結核菌などが原因)、原因がよくわからない場合、などがあるとされています。急性精巣上体炎が治らず慢性化すると、精巣上体にしこりがあらわれるものの、痛みや発熱は起こらないとも言われています。

細菌の感染!精巣上体炎の原因

精巣上体炎の原因について見て行きましょう。感染菌の種類は様々あり、大腸菌などや、クラミジアや淋菌などの性感染症も原因になると言われています。

高齢者は大腸菌などの細菌

高齢者では、前立腺肥大症や尿道狭窄(きょうさく)症、膀胱(ぼうこう)結石によって尿が汚れて細菌が増えることで精巣上体炎を起こしやすくなるとされています。大腸菌などが炎症の原因になると言います。

尿道炎

若年層での急性精巣上体炎は、尿道炎(性病の1つです)から広がることがより多くあり、尿道炎の原因であるクラミジアや淋菌(りんきん)が炎症の原因になると言います。尿道炎、前立腺炎、膀胱炎、精嚢(せいのう)炎などを起こしたクラミジアや淋菌が精巣上体に感染することが多いようであると指摘されていて、尿道カテーテルから侵入した細菌が原因になることもあると言われます。

睾丸に膿がたまる!急性精巣上体炎の症状

急性精巣上体炎の症状について、見て行きましょう。慢性に比べて、症状が顕著であり、精巣に膿が溜まってしまい熱を持つといった症状があらわれ、また、膿が溜まる症状は結核菌が原因になることもあると言います。

陰嚢の痛みやしこり

陰嚢(いんのう)の痛みがあらわれ、精巣上体の軽い痛みで始まり、やがて陰嚢(いんのう)全体に痛みが広がりるといいます。また、陰嚢が赤く腫(は)れ。しこりがあらわれて、足の付け根(鼠径部(そけいぶ))や下腹部にも痛みが広がることがあるとされています。

発熱

発熱も症状としてあらわれることがあると言います。陰嚢が熱を持ち、全身性の発熱も起こることがあると言います。高熱(38度以上)や悪寒(おかん)が見られ、重症化すると陰嚢の皮膚が赤みを帯びてきて硬く腫(は)れ上がることもあると指摘されています。

排尿痛

排尿時に痛みを感じることがあると言います。尿道炎を伴っている場合に起こる場合があるとされ、尿道から膿(うみ)が出ることもあるようです。排尿時痛とともに、頻尿などの下部尿路症状を伴うことが多いとも言われます。

陰嚢の膿

陰嚢の中に膿(うみ)がたまり、破れて出てくることもあると言います。

精巣上体結核では、結核菌が血行性に感染し、結核の既往があることが多いとされ、通常は片側性で、緩徐に発症するが、急性精巣上体炎に比べると、疼痛(とうつう)は軽微で、発熱はないものの、陰囊皮膚を穿破(せんぱ)し排膿することがあると言われています。

持続する鈍痛!慢性精巣上体炎の症状

慢性精巣上体炎の症状については、激しくはないものの、にぶい痛みが長期間続くことが特徴であると言います。

精巣上体の痛み

精巣上体のにぶい痛みが特徴的であると言います。

長期間の違和感

また違和感が長い期間、続くとされていて、熱、急激な腫(は)れ、激しい痛みなどはありません。

尿検査と血液検査!検査方法は?

精巣上体炎の検査方法を見て行きましょう。尿検査にて原因菌が特定できれば、診断を確定できると言いい、血液検査では、全身で炎症が起きていないかを確認するとされています。

尿検査

尿検査では、尿中の白血球や細菌を検出する検査が行われるといいます。クラミジアが疑われる場合も尿で検査が可能であるものの、一方で細菌が検出されないこともしばしばあると言われています。クラミジアと淋菌(りんきん)の尿検査は、尿の中に含まれるクラミジアと淋菌の遺伝子を検査することにより、感染の有無をしらべるスクリーニング検査(ふるい分けの検査)であると言います。

尿検査はクラミジアそのものの存在を調べるのに対して、血液検査ではクラミジアなどの菌の存在そのものは確認できず、尿検査で陽性ならクラミジアに感染しているし、陰性なら感染していないとされています。

血液検査

上述のとおり、血液検査では、原因となる細菌について調べることはできませんが、全身への影響を診断するために、血液検査が行われると言います。血液検査では、炎症反応がチェックされると言います。白血球、CRPという炎症反応の上昇を認めることが多いとされています。

陰嚢の切開が必要な場合も!治療法は?

精巣上体炎の治療法については、抗生剤が効けば、サポーターなどを利用して、1~2週間患部を安静にして治癒するとされていますが、抗生剤が効かない場合は、鎮痛薬などを利用することがあり、また、排膿が必要な場合は、陰嚢切開を行う場合もあると言います。

抗生剤の経口投与

治療では、薬剤の経口投与が検討されると言います。経口抗生物質療法が選択される場合があるとされ、例として、シプロフロキサシン500mgを経口にて1日2回、またはレボフロキサシン500mgを経口にて1日1回を、21〜30日間継続することが紹介されています。

別法としてトキシサイクリン100mgを経口にて1日2回、またはトリメトプリム-スルファメトキサゾール2倍量(160/800mg)を経口にて1日2回投与することもあるとされます。

安静と冷却

上述のとおり、抗生剤を使った上で、陰嚢(いんのう)を冷やし、安静を保つ(運動を避ける程度で大丈夫です)ことが、軽度の場合の治療の基本であるとされています。

激しい症状があらわれない場合には、放置してしまう場合も多く見受けられるといいますが、症状が徐々に悪化してしまったり、他の病気が見つかったりすることがあるため自然治癒を期待するのではなく、やはり病院を受診することが勧められています。

サポーター

精巣上体炎では、熱がない限り寝ている必要はないといいますが、治療中は激しい運動や飲酒を控える必要はあると言います。さらにサポーターをしたり、きつめのパンツをはくことで、陰嚢を固定すると、痛みが和らぐ可能性があると指摘されています。

消炎鎮痛薬の投与

慢性精巣上体炎では、細菌性炎症よりも炎症性瘢痕(はんこん)化が病態の中心であり抗菌薬の効果があらわれない場合は、消炎鎮痛剤などの投与が有効であることがあるとされます。

陰嚢切開

急性精巣上体炎では、抗生物質の効果があらわれれば1~2週間で症状が治まることが多いと指摘されていますが、しかし、抗生物質が合わず炎症が悪化すると、陰嚢に膿(うみ)がたまってしまい、陰嚢を切開したり、精巣上体を摘出したりしなければならないこともあると言われています。

精巣上体の摘出

急性精巣上体炎では、初期の治療が不十分だと炎症が悪化して膿(うみ)がたまり、陰嚢を切開して膿を出さなければならなかったり、精巣を含めて精巣上体を摘出しなければならないこともあると言います。

また慢性精巣上体炎では、上述のとおり抗生剤の投与ではよくならない場合が多く、痛み止めなどの炎症を抑える薬を長期間投与する必要があり、それでも不快な痛みが続く場合は、精巣上体を摘出することで完治を目指すこともあるとされています。

精巣上体のはたらきは、精巣で作られた精子を成長させることで、精巣上体の管は長く、この中を精子が運ばれて行くのに10~20日かかり、この間に、精子は成長し、運動する能力や受精する能力を持つようになり、成長した精子は、精巣上体から精管へ運ばれて行くとされます。

そのため、慢性精巣上体炎では、後遺症として精子が通りづらくなることがあり、左右両側に炎症を起こすと男性不妊の原因となると言われますので注意が必要であると言います。

放置は危険です!病院に行きましょう

最後までお読みいただきありがとうございました。このように精巣上体炎は、急性では痛みが激し場合が多いとされますが、慢性では痛みがあらわれない場合もあり、放置すると不妊の原因となったり、他の病気が隠れていたりするため、少しでも気になる症状を感じた場合は、通院して検査の上、治療することが推奨されています。

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