尿道からの出血!?代表的な2つの原因や症状など6つの知識・一度でも血尿が出たら要注意!尿道がん(悪性腫瘍)の可能性も?

尿道からの出血がみられる場合、それほど問題にしなくてもすぐに治る症状がある一方で、放っておくと深刻な病に発展するものもあります。たかが血尿と放置せず、一度でも血尿が出たら要注意です。尿道からの出血の症状、原因、治療をまとめてみました。

尿道の出血とは

意外と血尿が出たことがある人は少なくないと思います。そのうちに、血尿が出なくなったので放置しているという人もいます。尿道からの出血で血尿が出ることがありますが、特に治療を必要としない疾患もあれば、きちんと治療をしないと命にかかわるような尿道の病気もあります。自己診断は危険です。尿道からの出血で考えられる病気をいくつか考えてみましょう。

尿道の出血の診断方法と病気

尿潜血(血尿)

血尿は専門的には「尿潜血」と呼ばれます。尿の中に血液の一成分である赤血球が混じることによって、尿の色が赤くなります。痛みなどの症状はあまりなく、健康診断に含まれる尿潜血検査で陽性反応が出て初めて血尿の存在に気づかれることもあります。

尿から血液が混じっていると判断されると陽性となります。この場合、目で見てはっきりと血が混じっていることが分からない場合もあります。目で見て血が混じっていることが分かる場合の血尿は肉眼的血尿と呼ばれます。

尿の中に赤血球が混じるということは、尿道からの出血が考えられます。もちろん、血尿があっても、すぐに対処が必要なものではない可能性もあります。しかし、中には尿道がんのように深刻なものも、最初のきっかけとして血尿で発見されることが多いので油断は禁物です。

血尿の出方

眼で見てはっきりわかる血尿の場合は、血尿の出方を見ることも大事です。トマトジュースのような赤い色でドロッとした血尿もあれば、薄いワインのようにサラッと色がついているという血尿もあります。

また、出始めが赤い色で終わりには薄くなるものもあれば、出始めから終わりまでずっと赤いという血尿もあります。これらは、尿道から出血しているのか?それ以外の場所からの出血なのかなどを見極める根拠になります。

尿道からの出血の原因は様々ですが、男性の場合は股間部分を打撲することなどによる外傷が多いようです。また、前立腺の中を尿道が走っているため、前立腺炎でも血尿が出ることがあります。血尿の出方を観察し、どんな疾患が考えられるのかを調べる必要があります。

考えられる主な病気

血尿は、尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道のいずれかでの出血があることを示しています。ですから、考えられる病気は非常に多くあります。ここでは尿道からの出血に絞って考えてみたいと思います。

外傷性など原因が明らかで、尿道からの出血がみられる場合は尿道損傷が疑われます。また、血尿だけではなく腹痛や背部痛なども伴う場合には尿路結石症などが疑われます。高熱や膀胱刺激反応(残尿感・排尿時の痛み)などがある場合は尿路感染症なども考えられます。

怖いのは無症候性血尿で、尿道腫瘍など悪性の腫瘍(がん)の場合もあります。中には一時的に血尿が止まり、放置している間に尿道腫瘍(悪性)がかなり進行していたという例もあるようです。たかが血尿と考えずに、早めの泌尿器科への受診は必須といえるでしょう。

尿道損傷

どんな病気?原因は?

尿道損傷は外傷によって生じるものです。外傷の原因は様々ですが、交通事故や仕事中の事故(労災)によって股間に打撲が生じるときに尿道が損傷されることがあります。何かにまたがったり、挟まれたりして、股間を強打したために、尿道が裂傷を負うことで出血することがあります。また、骨盤骨折によって尿道が損傷することもあります。

尿道への外科的な処置の最中に損傷を被ることもあります。膀胱カテーテルなど、尿道に何らかの器具を挿入している最中に尿道を傷つけてしまい出血するということもあるようです。

どんな症状か

尿道のどの部分から出血しているかによって症状が異なります。股間部の打撲などによって生じる前部尿道損傷の場合、血尿や排尿困難、排尿時の痛みなどが見られます。また、股間の皮下出血などがみられます。

骨盤骨折などによって生じる後部尿道損傷の場合などは、尿道からの出血は少ないようです。時間がたてば治ると思いがちですが、尿道が断裂してしまい尿が出なくなったり、尿道が破れて尿が漏れ出し、感染症などを生じると危険です。自己判断せずに、泌尿器科の診察を受ける必要があると言えます。

治療方法

尿道から出血している場合は、通常の排尿が困難になっていることも考えられます。膀胱から体外へ尿を出す管(カテーテル)を入れ、数日間、尿道を休ませます。その間に、自然に尿道が回復することもあります。主な治療として、抗生剤や止血剤を投与して尿道からの出血を止める方法が採られます。

尿道が裂けていて修復が必要な場合など、外科手術を行うためには、尿道の損傷がすっかり治り炎症が治まることが必要です。ここまで、8~12週間の期間がかかることもあります。

尿道カルンクラ

どんな病気?原因は?

尿道カルンクラは40代以上の中高年の女性に多い病気で、良性の尿道腫瘍です。尿道の出口にできる血豆のような腫瘍で、皮下の血管が膨らんでいるだけのものです。視診のみで診断されます。原因ははっきりせず、便秘や多産の可能性も指摘されています。良性の腫瘍なので、それほど心配は必要ありません。

どんな症状か

尿道カルンクル は腫瘍が小さい場合は痛みも少ないようです。ある程度の大きさになると、排尿時の痛みや、触れると痛みを感じることもあるようです。容易に出血するので血尿が出ます。また、排尿時にトイレットペーパーで拭いたりするときに出血したり、下着に血がつくことがあり、産婦人科などを受診する人も多いようです。

治療方法


何もしなくても、炎症が治まり腫瘍も小さくなっていくことがありますので、経過観察の処置がとられることが多いようです。将来的にもガン化したりする心配はありません。抗生剤や鎮痛剤などの薬、塗り薬などを使用しながら様子を見ることが多いようです。

とはいえ、腫瘍が大きくなると、尿道からの出血が増えたり、尿道の出口の腫瘍により尿が分かれて飛ぶなどの不具合が生じることもあります。頻繁に出血したり、痛みがあれば、手術も視野に入れる必要があります。尿道カルンクラの手術は、局所麻酔で簡単に電気切除できるので心配はいりません。

注意!尿道腫瘍(悪性がん)

どこで発生する?

尿道からの出血の中で看過できないのは「尿道腫瘍(悪性がん)」です。尿道に悪性腫瘍ができることは稀ですが、見逃さないようにしたいものです。尿道がんは、がん化した細胞の種類により、扁平上皮がん、尿路上皮がん、腺がん、に分けられます。

尿道がんの発生部位は、尿道球部( 肛門と陰のうの間の部位)の上皮がんが多いことが報告されています。それ以外のがんは、男性の場合、振子部と呼ばれる陰茎部分を含む前部尿道に多くおこります。また、前立腺部尿道粘膜下に腺がんが生じることもあります。

出血以外の症状は?


尿道がんにおいて最も多い症状は、尿道からの出血による血尿です。排尿困難や、排尿痛、尿道周囲腫瘍などがみられることもあります。また、進行したがんにおいては、膿性分泌物がみられることもあります。

このような膿性分泌物は尿道で炎症が起きていることのサインです。もっとも、このような症状は尿道がん特有のものではありません。早期の場合は、自覚症状があまり無い場合も少なくありません。その中でも、血尿は自覚症状が少ない早期に現れる症状です。血尿はあまく見ることなくすぐに泌尿器科に受診したいものです。

診断、検査、治療は?

尿道からの出血などがみられる場合には、尿沈渣や尿細胞診が行われます。さらに、超音波検査やCTやMRIなどで尿道がんの可能性が見えてくると膀胱尿道鏡検査が行われることがあります。最終的に尿道がん(悪性腫瘍)と、他の良性腫瘍(尿道カルンクラ等)を区別するためには、組織を採取して診断する「生検」が必要です。前部尿道の狭窄部位などを発見するために尿道造影が用いられることもあります。

尿道がんの治療は、悪性腫瘍が尿道のどの部分にあるか?また、がんの進展度、浸潤の深さなどによって異なってきます。前部尿道にがんがあり、浸潤がごくわずかであれば、放射線療法を用います。また内視鏡を入れて腫瘍を切除する「経尿道的腫瘍切除術(TUR)」を用いることもあります。

後部尿道にがんがあり、浸潤が深い場合は、外科手術、尿路変更術、放射線療法などを併用した取り組みが必要になります。ゲムシタビンとシスプラチン という抗がん剤を併用したGC療が行われることもあります。

まとめ

健康診断で尿潜血の陽性反応が出たり、自分でそれとわかる血尿が出たりすると、さまざまな病気の可能性を考えてしまいます。今見てきたように尿道からの出血の中には、それほど心配がないものもありますが、怖いものもあります。

自然と放っておいても血尿が出なくなることがあるとはいえ、悪性の尿道腫瘍による出血の可能性の場合は、後になって命にかかわる問題となることがあります。たかが血尿とみなさず、一度でも血尿が出たら泌尿器科を受診するようにしたいですね。

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