生理と血尿、どうやって見分けたらいい?
もし生理の時に血尿が出ている場合、目で見ても経血が混じっているだけなのか血尿なのか、中々判断がつきにくいかと思います。ここでは生理と血尿の見分け方や、血尿が出る原因となる病気について詳しくお伝えしていきます。
生理か血尿か、その違いは?
何だかおしっこが赤い気がするけど、生理中だから…と血尿に気付かず、病気のサインを見逃してしまうケースがあるようです。ここでは、生理と血尿を見分ける方法はあるのか、血尿が出た場合に考えられる病気は何なのか、どの科を受診すれば良いのかについてお伝えしていきます。
血尿には2種類ある
ひとくちに血尿と言っても、見て分かるかどうかで2種類に分類されています。また、血尿とともに排尿痛や腰痛を伴うものと、全く痛みのないものがあります。
肉眼的血尿
肉眼的血尿とは、目で見てはっきりと、血が混ざっていると分かる尿が出る状態です。トマトジュースのような粘度のあるものや、ワインを薄めたような淡い赤色のものなど、様々です。色の出方も、一定している人もいれば出始めだけ濃い人、終わりに濃くなる人など、いくつかのパターンがあります。
肉眼的血尿がある場合に疑われる病気としては、尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)や膀胱がん、前立腺肥大症、尿路結石(尿管結石や腎結石)、泌尿器科がん(腎細胞がん、前立腺がん、尿管がん)などがあります。
顕微鏡的血尿
顕微鏡的血尿とは、見た目では分からなくても、検査によって尿潜血陽性と診断された場合です。尿中に一定数以上の赤血球が見られる状態です。この赤血球の数や、尿中たんぱくも出ているかどうかは、病気の診断の上でとても重要です。しかし生理的血尿と言って、運動した後や発熱後に尿潜血反応が出る場合もあります。45%前後の方はこれにあたります。
また、治療の必要のない良性疾患としては、血管の位置の奇形(ナットクラッカー現象)や良性家族性血尿などがあります。顕微鏡的血尿がある場合に疑われる病気としては、前立腺肥大症、尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石)、尿路感染症、膀胱がん、腎疾患などです。
生理と血尿の見分け方は?
生理と血尿の見分け方は難しいですが、症状によって分かるケースについてご紹介します。
見た目での判断はむずかしい
やはり生理中や生理の前後では、尿が赤くなっていたとしても、血尿かどうか自分で判断することは難しいでしょう。尿検査を受ける場合でも、生理をはさんだ前後1週間は、尿潜血反応で陽性が出る可能性があります。経血が混じるのを防ぐため、カテーテルで採尿する場合もあります。
血尿以外の症状が出る病気は?
病気が原因で肉眼的血尿が出ている場合は、他に何らかの症状を伴っていることがあります。排尿時に痛みを感じたり、トイレの回数が増えたり、残尿感がある場合は出血性膀胱炎が考えられます。痛みは、排尿の途中から終わりごろに強くなるのが特徴です。熱が出るときは、微熱であることが多いようです。急性膀胱炎でも、炎症が進むと血尿が出る場合があります。症状は出血性膀胱炎とほぼ同じですが、発熱することはありません。
腎盂腎炎では、寒気や震えを伴う38度以上の高熱、吐き気、腰や背中の痛みなどの症状が現れます。背中やわき腹に鋭い痛みが現れる場合は、尿路結石症が疑われます。通常は発熱せず、間隔を置いて強烈な痛みが感じられますが、鈍痛の場合や血尿のみの場合もあります。
女性の血尿、考えられる原因は
女性で血尿が出た場合、どのような病気が考えられるのでしょうか。可能性のあるものをいくつか挙げていきます。
急性膀胱炎
尿道を通じて膀胱に細菌が侵入して増殖し、炎症を起こす病気です。主な症状は排尿の終わりごろに痛む、残尿感がある、下腹部に違和感がある、頻繁にトイレへ行くものの尿はあまり出ない、といったものです。濁りのある尿が出るのが特徴ですが、炎症が進むと血尿が出るケースもあります。
原因となる細菌の多くは大腸菌です。女性は男性より尿道が短く、また尿道近くに肛門や膣があるため細菌が侵入しやすく、膀胱炎になりやすいと言えます。トイレを長時間我慢する、ウォシュレットを強くあてる、過労やストレスにより抵抗力が落ちる、などが引き金となります。まれに、ウィルス感染や放射線、薬剤が原因となることもあります。
腎盂腎炎
腎盂とは、腎臓から送られた尿の集まるところです。腎盂腎炎は腎盂や腎臓そのものが細菌に感染し、炎症を起こした状態です。腎盂腎炎には、急性と慢性があります。急性では38度以上の発熱、吐き気や嘔吐など風邪のような症状が出ます。腰や背中の痛み、膀胱炎のような頻尿(尿量は少ない)や残尿感、排尿痛もあります。尿が白く濁ったり、血尿が出る場合もあります。
慢性は、腎盂腎炎に繰り返し何度もかかることでなります。活動性であれば急性と同じような症状が現れ、非活動性では微熱や食欲不振、全身倦怠感が現れますが、軽いことが多いようです。進行すれば高血圧や腎不全になることもあります。
尿路結石症
尿路結石症は、尿の通り道である尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)に結石が引っかかって起こる病気です。結石の主な成分はカルシウムやシュウ酸、尿酸などで、大きさは数ミリから数センチ程度です。一番多く見られるのは尿管に結石が詰まってしまう尿管結石です。
半数の人に肉眼的血尿が見られ、わき腹や下腹部、背中に激しい痛みが現れるケースも多いようです。発熱はせず、痛みが弱い場合や無いこともあります。原因としては、大人の場合は食生活の影響が大きいと言われています。
膀胱がんやその他のがん
血尿が出るがんの種類としては、膀胱がん、腎盂・尿管がん、尿道がんがあります。膀胱がんは40歳以上の男性に多く見られ、喫煙する人では2~3倍かかりやすくなると言われています。血尿以外に症状が無く、数日間血尿が続いたあとは通常の色に戻るケースが多いため、見逃さないように注意が必要です。がんの発生した場所が膀胱の出口に近いと、膀胱炎と同じような症状も出てきます。
その他のがんは、膀胱がんと比べると頻度は少ないようです。腎盂・尿管がんは、がんの増殖により腰や背中、わき腹に痛みが出る場合もあります。こちらも女性より男性に多く見られます。尿道がんは50歳以上の女性に多く発生し、排尿障害(排尿困難、閉尿、頻尿、排尿痛)や尿道腫瘤が現れます。早期では、これらの症状が出ない場合もあります。
妊娠
妊娠中では、膀胱から尿を全て排出するのが難しくなり、膀胱炎にかかりやすくなると言われています。また妊娠初期には、少量の出血が起こることもあります。約30%の方が体験するそうで、子宮内膜の血管が破れることで起こります。この出血を切迫流産と言いますが、流産との関わりは低いと考えられています。
更年期による女性ホルモンの減少
更年期になり女性ホルモンが減少すると、膀胱の粘膜が薄くなり細菌に対する抵抗力が弱くなるため、膀胱炎になりやすいそうです。
血尿では何科を受診すればいい?
では、血尿かもしれない…と不安になったらどの科を受診すれば良いのでしょうか。
泌尿器科
まずは泌尿器科を受診することをおすすめします。問診や尿検査、超音波検査で大きな病気が無いかを調べ、必要であれば膀胱鏡検査やレントゲン検査、CT検査やMRI検査などで病気の確定をします。正確な鑑別のために、生理前や生理後は避けて受診した方が良いでしょう。
婦人科
特別な症状として、子宮内膜症が膀胱に出来た場合、血尿が出ることがあります。子宮がんやホルモンの乱れが原因で起こる、不正出血もあります。泌尿器科で異常が見つからない場合は、これらのケースも視野に入れて、婦人科の受診も考えてみてください。
迷った時は病院へ
自分の体のこととは言え、生理か血尿かを正確に判断するのはかなり難しいのではないかと思います。他に気になる症状がある場合や、いつもと違うと感じることがあれば、迷わず病院に行くことをおすすめします。
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