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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 【しょっぱい】とはいうまでもなく、塩味の濃いことだが、相撲やプロレスの世界では「情けない」「ぶざま」という意味になる。「しょっぱい試合を見せて申し訳ない」。レスラーのそんな発言を聞いたことがあるだろう

▼もとは角界の符丁と聞く。力のない力士は投げ飛ばされ、土俵の塩をなめることになるところからきている。プロレス界に伝えたのは、相撲出身のレスラーだろう

▼この発言も相当に【しょっぱい】。野党の国会対応を「田舎のプロレス」とたとえた萩生田光一官房副長官の発言である。野党の反発を受けて発言を撤回し、謝罪した。【しょっぱい】上に【失敗】である

▼国会での法案採決時の野党の抵抗などが萩生田さんには、茶番めいて見えるらしいのだが、国会運営を冗談の材料にした先の山本有二農相の発言といい、問題発言→野党からの批判→撤回と謝罪という毎度の流れが政権与党の「必殺技」なのだとしたら、こちらの方がよほど見るに堪えぬ

▼一方、野党である。気持ちは分かるが、採決時に委員長席に詰め寄り、いくら怒っても、その時には勝負は終わっている。負けている

▼萩生田さんをかばう気はない。しかし、反対→採決→抵抗、激怒という「筋書き」だけでは野党の人気は出まい。効果的で巧妙な国会での「新技」を。それを見つけぬ限り、土俵で塩をなめ続けることになる。

 

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