同じ賃貸に、超絶ココロ優しいパパさんがいる。
ものすごく穏やかで仏のような雰囲気で、
私はすごくステキなパパさんだなぁと思っていた。
えなりかずきをさらにさらにソフトにしたような感じ。
お子さんがちょっと悪さしても
「ほらほら、ダメだよ~笑」
と優しく諭していて、お子さんもパパさんにすごく懐いていて、
奥さんはバリキャリ。バランスが取れていて、ほのぼのするおうち。
たまに接点があり、お喋りしててもとても腰の低い人だ。
ある夜、近所のコンビニにいたら、
「ゴルアアア!品物戻せよゴルアアア!」
という罵声が響いて、なんだなんだとソッチを見ると
男性が2人の我が子(男の子)を叱っている声だった。
子供さんはヤンチャ盛りで、商品を手にして遊んでいる。
年齢的にオイタも仕方ない頃だ。
なのに周囲がビビるほどに大声を上げ続けている。
私は内心(そんなにオラつかなくたって・・・)と思いつつ
その男性がかなりコワモテでムキムキで
サングラス&五分刈り&タンクトップ姿だったので、
肩でもぶつかったら大変と思い
なんとなく遠回りしてさりげなく回避した。
外見で判断するのではないが、周囲を威嚇していて
どうも良い印象を持てなかったからだ。
しかし回避しているわりに、なぜか店内で何度も鉢合わせする。
私は無用のトラブルを避けるため、
買い物もそこそこにお店を引き上げた。
寝る前に、その男性のことをふと思い出して
「なんであの人は、あんなにオラついてたのか・・・」
と謎に思った。
ライザップで結果にコミットしたようなBODY。
おそらく腹筋はシックスパック。
いかにも怖モテな雰囲気を周囲に与えて・・・理解不能すぎる。
(息子ちゃんはあんなに可愛いのに・・・)
とハッとそこで気づいた。
モア・ソフティーなえなりかずき似の、
あのパパさんのお子さんではないか。
そうだ、お子さんたちを見たとき、
「どこかで見たような・・・」と感じたのは
気のせいではなかった。
まさか・・・
ソフトパパさん=ライザップパパさん・・・!?
点と点が、線で結ばれた瞬間。
寝床で私は軽くパニックだった。
近所の人と長期間顔を合わさないことって
別に珍しいことじゃない。
えなりパパさんと私は、2年ほどお会いしていなかった。
その間に、いつの間にかライザップ化し、
見た目もキャラクターも声も、すべて
怖くてイカツい人に変貌していた・・・?
そんなことが現実にあるだろうか。
でも、店内で何度も鉢合わせになったのを思うと、
先方は私と再会したと思い、挨拶を試みたのかもしれない。
いや、でもそんなバカな。
まるで別人である。別人としか思えない。
体型や物腰が180度変わっているのだ。
私は思った。この人は、奥様のご兄弟かもしれない、と。
数日後、私は賃貸の敷地内で、
ライザップパパさんに遭遇した。
コンビニで、私は先方を無視したことになる。
私は、笑顔で挨拶してみた。すると、
「ちす・・・」と不機嫌そうにそっぽを向いたのだ。
この反応・・・何?
私は姉にそのことを話してみた。
姉の推測は、突拍子もないものであった。
「再婚したんじゃない?」
つまり、ライザップパパさんは新しいご主人なのでは?
ということである。
こんな下世話な推測、したくてしているのではない。
近所づきあいに支障が出そうだから、姉に相談したら、
まさかの再婚説が飛び出しただけである。
「いやいやいや」
「いや、そうとしか思えんって」
「いや・・・それはないって」
と問答を繰り返し、
姉は再婚説を主張、私はご身内の親戚説を主張し続けた。
そして後日、
私はふたたびライザップパパさんに賃貸の敷地内で遭遇した。
前回の態度が妙だったので、こちらもちょっと笑顔が曇る。
先に声をかける。「こんにちは~」。
「ちゎす・・・」。やはり態度が悪い気がする。
もしや、私の壮大な勘違いかもしれない。
単に不機嫌な、同じ賃貸のどこかに住む男性で、
あのえなりパパさんはきっと別に存在している。
そう思いたい。
でもあのお子さんたちは間違いなく
えなりパパさんのお子さんだった。
もう何が何だかわからない。
それから、敷地内では会う人を注意深く見ているが、
そういうときに限って、出会えないものです。
あれ以来、どちらのパパさん(というか同一人物?)とも
会えずじまいである。
しかし、同じコンビニで
またライザップパパさんらしき人を見かけた。
前よりさらに態度がオラついていて、
なんとコンビニの店員さんにまで態度が悪い。
そして、私はたまたまその横を通り過ぎたが
ジロジロ見ることもできず、スルーしてしまった。
目が合った気がしたが、あまりにオラオラしているので
逸らしてしまった(チキン)。
どうしたら、2人のパパさんの関係を
知ることができるのだろう。
ひとつ分かることは、
姉は名探偵にはなれそうにないということです。