[PR]

 東京電力福島第一原発の事故を受け、スイスで27日、「2029年の脱原発達成」の是非を問う国民投票が実施された。スイス公共放送などによると、反対が上回り、否決される見通しだ。

 スイス連邦政府は福島の事故後、将来の脱原発の方針を示しているが、明確な時期などは定まっていない。今回の国民投票を主導した「スイス緑の党」などは老朽原発の危険性を指摘した上で、「政府は古い原発を安全な限り長く運転させるだろう。本気で代替エネルギーへ投資するためにも古い原発を45年で止めることが非常に重要だ」(レグラ・リッツ同党党首)と主張。5基ある原発のうち3基を来年に運転停止させるなどして、29年までの脱原発完了の実現を訴えていた。

 一方、連邦政府や産業界は、同国の電力需要の約35%を原発でまかなっている現状を踏まえ、代替電力の確保に問題があるなどとし「時期尚早」と反対した。(ベルン=松尾一郎)

こんなニュースも