老朽化インフラ 調査行う企業3社が初めて技術提携へ
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全国で下水道や橋などのインフラの老朽化が課題となる中、国土交通省は、複数の民間の技術を組み合わせることで国や自治体が老朽化の状況を一元的に管理する取り組みを進めていて、道路の調査などを行う民間の企業3社が初めて相互に技術の提携を行い、サービスの提供を始めることになりました。
国土交通省によりますと、高度経済成長時代に作られた下水道やトンネル、それに橋などは各地で耐用年数を迎え始めていて、このうち下水道管の老朽化などによる道路の陥没は、平成26年度には全国でおよそ3300件に上っています。
しかし、多くの自治体では対象の数が多いうえ、財政難や人材不足などから調査や補修が追いつかず、実態をどう把握しメンテナンスを進めるかが大きな課題となっています。
このため、国土交通省は複数の民間の技術を組み合わせることで国や自治体が老朽化の状況を一元的に管理できる取り組みを進めていて、このほど道路などの診断技術を持つ3つの会社が来年度からのサービスの提供に向けて相互に技術の提携を行うことで合意しました。
それぞれの会社が持つ、スマートフォンに内蔵された揺れを記録するセンサーを活用し道路の舗装の劣化を調べる技術と、画像から路面のひび割れの度合いを解析する技術、それに、地面を掘らずに地下に空洞が無いか調べる技術を組み合わせ、道路の路面と地下の変化を一括して把握し、陥没のおそれのある場所の予測や作業の効率化につなげるということです。
提携を行う富士通交通・道路データサービスの島田孝司社長は「これまで企業単独では自治体のほうが困っていること、すべてに答えるのは難しかった。提携することで、今まで思いもしなかった実態の「見える化」ができるようになると期待する」と話しています。
しかし、多くの自治体では対象の数が多いうえ、財政難や人材不足などから調査や補修が追いつかず、実態をどう把握しメンテナンスを進めるかが大きな課題となっています。
このため、国土交通省は複数の民間の技術を組み合わせることで国や自治体が老朽化の状況を一元的に管理できる取り組みを進めていて、このほど道路などの診断技術を持つ3つの会社が来年度からのサービスの提供に向けて相互に技術の提携を行うことで合意しました。
それぞれの会社が持つ、スマートフォンに内蔵された揺れを記録するセンサーを活用し道路の舗装の劣化を調べる技術と、画像から路面のひび割れの度合いを解析する技術、それに、地面を掘らずに地下に空洞が無いか調べる技術を組み合わせ、道路の路面と地下の変化を一括して把握し、陥没のおそれのある場所の予測や作業の効率化につなげるということです。
提携を行う富士通交通・道路データサービスの島田孝司社長は「これまで企業単独では自治体のほうが困っていること、すべてに答えるのは難しかった。提携することで、今まで思いもしなかった実態の「見える化」ができるようになると期待する」と話しています。
多くの自治体で老朽化インフラ対策が課題に
高度経済成長期に作られた下水道や橋、それにトンネルといったインフラの多くが各地で老朽化し始めていて、財政難や人材不足を抱える多くの市町村にとって、点検や補修をいかに効率的に進めるかが大きな課題となっています。
国土交通省によりますと、国内の下水道管の総延長は、およそ46万キロに及び、そのうちおよそ1万キロが設置から50年の耐用年数を過ぎています。下水道管が壊れて水が漏れ出し、周囲の地盤が陥没する事故は全国で相次いでいて、平成26年度には、およそ3300件に上り、多くが老朽化が原因と見られています。
また、インフラの管理には市町村にとって財政的にも大きな負担となっています。建設から50年がたった橋の51%、トンネルの38%が市町村の管理で、点検の結果、市町村が管理する橋のうち、「緊急に措置を講ずべき状態」や「早期に措置を講ずべき状態」と判定された橋は、全体の12%に上ります。
一方、国土交通省がことし9月、全国の自治体にアンケートしたところ、点検の結果、「早期に措置を講ずべき」とされた橋について、全体の58%の自治体が「現在の予算規模では、5年以内の対処は難しい」と回答しました。また、村を中心に全体の22%の自治体では、橋の管理を行える専門の技術者が1人もいないなど、人材不足にも直面しています。
国土交通省は、道路や橋などが深刻な状況になる前に予防的な補修を進めることが必要だとしていますが、点検や補修を効率的に進める技術の開発が課題となっています。
国土交通省によりますと、国内の下水道管の総延長は、およそ46万キロに及び、そのうちおよそ1万キロが設置から50年の耐用年数を過ぎています。下水道管が壊れて水が漏れ出し、周囲の地盤が陥没する事故は全国で相次いでいて、平成26年度には、およそ3300件に上り、多くが老朽化が原因と見られています。
また、インフラの管理には市町村にとって財政的にも大きな負担となっています。建設から50年がたった橋の51%、トンネルの38%が市町村の管理で、点検の結果、市町村が管理する橋のうち、「緊急に措置を講ずべき状態」や「早期に措置を講ずべき状態」と判定された橋は、全体の12%に上ります。
一方、国土交通省がことし9月、全国の自治体にアンケートしたところ、点検の結果、「早期に措置を講ずべき」とされた橋について、全体の58%の自治体が「現在の予算規模では、5年以内の対処は難しい」と回答しました。また、村を中心に全体の22%の自治体では、橋の管理を行える専門の技術者が1人もいないなど、人材不足にも直面しています。
国土交通省は、道路や橋などが深刻な状況になる前に予防的な補修を進めることが必要だとしていますが、点検や補修を効率的に進める技術の開発が課題となっています。
提携3社は独自の調査技術を開発
今回、技術提携を行う3つの会社は、それぞれ道路の表面や地下の状況を調べる独自の技術を開発しています。
このうち「富士通」の子会社の「富士通交通・道路データサービス」は、スマートフォンに内蔵されている揺れを記録するセンサーを活用して、車で走るだけで路面の舗装の状態を調べ、5段階で表示する技術を開発しています。
千葉県柏市では、2年前からこの技術を使ってスマートフォンを道路のパトロールカーに取り付け、管理しているおよそ1500キロの道路の舗装の状態を調べています。
また、地質調査会社の「川崎地質」は、車でけん引する機器から電磁波を地下に向けて発射し、跳ね返ってくる抵抗の大きさから地面を掘らずに地下に空洞がないかなどを調べる技術を開発しています。
従来の技術では、およそ1.5メートル程度の深さまでしか調べられませんでしたが、複数のレーダーを組み合わせることで倍の3メートル程度の深さまで把握することが可能になったということです。
また、「東芝」は、車に取り付けたカメラで撮影した画像からひび割れだけを抽出して、路面の状態を調べることができる技術を開発しています。
今回は富士通の子会社が中心となり、ほかの2つの会社とそれぞれ技術提携を行います。多くの自治体では、道路の舗装や下水管の管理は別々の部署が担当し、データもそれぞれが管理していましたが、今回の提携によってこうしたデータが一元的に管理されることで、どこで陥没などが起きるおそれがあるか予測できるようになり、補修の優先順位を的確に決めて負担の軽減にもつながります。
国土交通省は、こうした民間企業の提携を、今後堤防や橋などのメンテナンス技術にも拡大していきたいとしています。
このうち「富士通」の子会社の「富士通交通・道路データサービス」は、スマートフォンに内蔵されている揺れを記録するセンサーを活用して、車で走るだけで路面の舗装の状態を調べ、5段階で表示する技術を開発しています。
千葉県柏市では、2年前からこの技術を使ってスマートフォンを道路のパトロールカーに取り付け、管理しているおよそ1500キロの道路の舗装の状態を調べています。
また、地質調査会社の「川崎地質」は、車でけん引する機器から電磁波を地下に向けて発射し、跳ね返ってくる抵抗の大きさから地面を掘らずに地下に空洞がないかなどを調べる技術を開発しています。
従来の技術では、およそ1.5メートル程度の深さまでしか調べられませんでしたが、複数のレーダーを組み合わせることで倍の3メートル程度の深さまで把握することが可能になったということです。
また、「東芝」は、車に取り付けたカメラで撮影した画像からひび割れだけを抽出して、路面の状態を調べることができる技術を開発しています。
今回は富士通の子会社が中心となり、ほかの2つの会社とそれぞれ技術提携を行います。多くの自治体では、道路の舗装や下水管の管理は別々の部署が担当し、データもそれぞれが管理していましたが、今回の提携によってこうしたデータが一元的に管理されることで、どこで陥没などが起きるおそれがあるか予測できるようになり、補修の優先順位を的確に決めて負担の軽減にもつながります。
国土交通省は、こうした民間企業の提携を、今後堤防や橋などのメンテナンス技術にも拡大していきたいとしています。