手汗に悩んでいる人は手に水泡が出来て、かゆくなったことがあるかも知れません。
手のひらがかゆくなって、肌もボロボロになるので水虫を疑う人も多いのですが、水膨れの湿疹ができていれば汗疱の可能性があります。
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手のひらの水泡は汗疱かも
汗疱というのは、皮膚病の一種で手のひらに直径1mm程度の水泡ができることです。
この汗疱ができる原因は、汗が皮膚や汗腺のなかで詰まり(貯留し)、水泡になることです。水泡のなかの水は汗だったのですね。
汗疱は汗が原因の湿疹なので異汗性湿疹とも呼ばれます。
この汗疱は手のひらだけでなく、指や足の裏などにもできます。手汗の人は足汗もかきやすいので、足にも汗疱ができたことがある人もいるかも知れません。
この水泡はかゆみをもたらすので、「手のひらや足の裏がかゆい、水虫では?」って考える人もいますが、水虫は白癬菌が原因なので、汗疱とは根本的に異なるものです。
足なら水虫にもなりやすいですが、手のひらの場合は白癬菌に感染しにくいので、まずは汗疱を疑うべきでしょう。
水虫でないのに抗真菌剤を使うと、汗疱(湿疹)が悪化してしまうこともあるので注意してください。
汗疱は人にうつるのか
手に水泡ができる皮膚病というと、なんとなく他人にうつりそうな気がして、他人に触るのを気が咎める人もいるかも知れません。
しかし、汗疱は汗が詰まったことで起きる症状なので、菌が原因の水虫と違い、他人にうつることはありません。
水泡が破れても、その中に菌が入っているわけではないので、汗疱が広がるとか他の人にうつるとかという心配をしなくても良いのです。
ただ、水泡ができる原因はまだ正確に解明されておらず、手のひらの炎症を抑えるための水(体液)という説もあるので、むやみに水泡をつぶすのはやめた方がよさそうです。
手のひらの水泡が破れると汗疱状湿疹になる可能性がある
手のひらの水泡が破れても、人にうつる心配はないのですが、皮膚が傷んで湿疹になることがあります。
汗疱が原因で湿疹になることを汗疱状湿疹と言い、皮膚がぼろぼろになり小さな傷(びらん)がたくさんできることで、手のひらがかゆくなります。
似たような言葉がたくさん出てきたので整理しますが、
- 汗疱=異汗性湿疹
- 汗疱が悪化して湿疹化すると=汗疱性湿疹
ということになります。汗疱性湿疹の方が重いわけですね。
汗疱状湿疹を繰り返すと、手のひらが角質化して固くなるほど悪化することもあるので注意が必要です。
手のひらに水膨れが出来ても汗疱でないケース
ここまで手のひらに水膨れができたときに、それが汗疱であるとの前提でお話してきました。
一方で、手のひらの水膨れの原因が、汗疱でないこともありえます。
そうしたケースを見ておきましょう。
水虫が原因の水泡
既に述べてきましたが、水泡ができる水虫は汗疱と見た目がよく似ています。手のひらには、足ほど白癬菌が感染しにくいのですが、足が水虫になってしまった人が爪を切る際などに感染する可能性もあります。
掌蹠膿疱症
手のひらに水泡ができる皮膚病に掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と言うものがあります。
掌蹠膿疱症では、手のひらの水泡が汗のような透明なものではなく、膿のような濁ったもの(膿疱)になります。
ただ、初期のころは膿のようではなく、水泡に見えるので汗疱と見分けは付きにくいです。
万が一、掌蹠膿疱症の場合は金属アレルギーや喫煙が原因になるので、一旦金属製のアクセサリーを使うのをやめたり禁煙してみるのも良いでしょう。
汗疱になりやすい季節
話をまた汗疱に戻します。
汗疱は体の抵抗力が落ちる季節の変わり目にできやすく、春と秋が要注意です。
不思議なのは、汗疱の原因が汗が詰まることなら、夏には汗疱になり安いはずですが、反対に夏には汗疱はあまり罹らないようです。
体の抵抗力や発汗量が影響していると言われていますが、詳しいことは解明されていません。
特に抵抗力の弱く、かつ手汗持ちの子供は春と秋に、水泡が出来てそれが破れることで手のひらの皮がぼろぼろになるケースが多くみられるようです。
汗疱、汗疱性湿疹の治療法
手のひらに汗疱が出来ただけは、水膨れがあるだけで、そこまで重い症状にはならないので、治療しないのが普通です。
汗疱が悪化し、汗疱性湿疹になったら強いかゆみや痛みを伴うため治療が必要になります。
その場合、ステロイド外用薬やサリチル酸、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を用います。ステロイド外用剤としては、マイザー軟膏やアンテベート軟膏などが使われますね。
汗疱の予防
汗疱の原因が汗なので、手汗を予防することは汗疱を防ぐことに繋がります。
また、すでに汗疱が発症している場合でも、悪化を食い止めることに繋がるでしょう。
手汗の予防には、制汗クリームやスプレーを用いるのが良いでしょう。塩化アルミニウム系の他、アルミニウムイオンの効果を用いた制汗剤は発汗量を抑えるため、汗疱の予防や症状改善に役立つと言われます。
かいた汗をこまめに拭う、手洗いして手のひらを清潔に保つなども、汗が皮膚内につまらないことに繋がり、汗疱の予防になります。

