インドで最悪級の大気汚染、PM2.5基準の16倍
日経ナショナル ジオグラフィック社
インドの首都ニューデリーで過去最悪レベルの大気汚染が発生、近郊に暮らす2000万人が息を詰まらせている。米国のニューヨーク・タイムズ紙によれば、ニューデリーの大気汚染はここ17年で最悪の規模で、人体に及ぼす影響は1日にタバコを2箱以上吸うのに等しいという。
学校は3日間の休校となったが、専門家は、家の中の空気が外気よりましとは言えないと警告する。もっとも危険な汚染物質であるPM2.5の濃度は急上昇しており、1立方メートルあたり1000マイクログラムに達した。これはインド政府の安全基準の16倍という数値だ。
PM2.5は呼吸器を詰まらせる原因となる微粒子で、ニューデリーのPM2.5の平均値は1立方メートルあたり約700マイクログラム。インド政府が定めた許容値の12倍、世界保健機関(WHO)が安全とする推奨値の実に70倍だ。
住民たちは屋内の空気清浄機のそばに集まる。子供や老人、そして呼吸器系の病気を抱えた人々は、汚染によって健康を害したり、最悪の場合は死に至る可能性すらある。
2016年11月6日、デリー州首相は5日間の建設工事の中止と、10日間の発電所の閉鎖を命じた。住民は目を洗うことが推奨されている。呼吸の際に痛みを感じる場合や、胸の調子が悪い場合は、治療を受けるようにも呼びかけられている。
数日後には天候が変わると見られており、それによって大気汚染は解消される見込みだ。
政府は、大気汚染の原因となっているのは自動車、発電所、工場、建設現場などだとしている。その他、ごみの焼却や農地、花火なども原因にあげられている。
インドの環境団体は、長期的な解決策が見つからなければ多くの人々がリスクにさらされることになると声を上げている。
■街はここまで視界不良に、写真6点
(文 Brian Clark Howard、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年11月11日付]
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