朴氏辞任求め５週連続集会　ソウル、政局にも影響か

　韓国の朴槿恵（パククネ）大統領の辞任を求める大規模集会が２６日、ソウル中心部で開かれた。一連の疑惑が発覚後、１０月２９日から毎週土曜に開かれており、今回で５回目。参加者は主催者推計１５０万人（警察推計で２７万人）。国会は朴氏の弾劾（だんがい）訴追案をめぐり山場を迎えている。集会の勢いは政局にも影響を与えそうだ。

　集会は労働組合や市民団体などが主催した。過去５回で最大の規模になった。釜山や光州などの地方都市でも開かれ、主催者側は地方で計４０万人が参加したとしている。

　ソウルの集会は初雪となった寒さのなか、２６日午後から断続的に始まった。参加者が大統領府に向かって行進。辞任を訴えるシュプレヒコールを繰り返した。

　大学１年の女性（１９）は交際中の彼氏と来た。「与党で大統領の弾劾訴追に反対している人たちは、この世論がわかっていないのではないか」と話した。

　２０１４年の旅客船セウォル号沈没事故で、大勢の死者・行方不明者を出した京畿道安山市の檀園（タンウォン）高の生徒の姿もあった。一連の疑惑が発覚してから、事故当日に朴氏の動静がはっきりしないとされる「空白の７時間」が改めて問題になった。檀園高３年の女子生徒は先生や友人と来たといい、「すべて真実が明らかになったらいい」と語った。

　野党３党は、共同で弾劾訴追案を国会に提出し、早ければ１２月２日に採決することを目指している。与党では朴氏と距離を置く「非朴系」議員ら４０人が賛成の意向とされ、可決に必要な国会議員の３分の２を上回る情勢だ。

　野党３党は２６日、それぞれ集会を開き、最大野党「共に民主党」の秋美愛（チュミエ）代表は「大統領が最後まで、国民の下野しろという民心が聞こえないふりをすれば、残るのは弾劾だけだ」と訴えた。第２野党「国民の党」の朴智元（パクジウォン）非常対策委員長は「国民が希望する大統領の弾劾のために、もし親朴議員たちが反省して謝罪すれば、私たちは彼らと共に朴槿恵を弾劾する」と主張。弾劾訴追に賛成していない朴氏に近い「親朴系」議員を牽制（けんせい）した。

　韓国で弾劾訴追案が提出されれば、１２年ぶり２回目になる。前回は盧武鉉（ノムヒョン）大統領に対して国会が可決したが、憲法裁判所が退けた。今回、国会が可決し、憲法裁が弾劾を決定すれば、初めて。任期途中の辞任も１９８７年の民主化以降、初めてになる。（ソウル＝東岡徹）