世界を恐怖のどん底に突き落とした独裁者ヒトラー。その男の死ぬ間際はどのようなものだったのか?冷酷な独裁者という顔とプライベートでは心優しい顔を合わせ持つ所に焦点を当てた映画です。この映画に出演したキャストや、ストーリー、見所などを紹介しましょう。 (ネタバレ注意)
「ヒトラー 最後の12日間」のキャスト
独裁者ヒトラーが死ぬ間際を目撃した秘書の証言をもとに制作された映画です。この映画に出演したキャストを紹介します。
アドルフ・ヒトラー(演:ブルーノ・ガンツ)
ヒトラーは、ユダヤ民族を徹底的に弾圧して、ヨーロッパを戦場にした恐るべき独裁者と思われています。しかし、その一方で大恐慌に苦しむドイツを世界有数の先進国に押し上げた優秀な政治家の顔を併せ持ちます。アウトバーンという高速道路を世界で初めて作り上げて、この公共事業によってドイツの失業率は50%近くとも言われていましたが、わずか5%程度まで下げたのです。さらに、ヒトラーの働きによって、ドイツでは車が普及して、多くの国民は車や立派なマイホームを持つ事が出来ました。さらに有給休暇制度・健康診断・1日8時間労働の法制化などを次々に実行。ドイツ国民は洗脳されたのではなく、生活を劇的に変えたヒトラーを感謝して熱烈に支持した背景があったのです。もしもヒトラーがオーストリアの併合とチェコスロバキアのズデーテン地方だけで満足して、ユダヤ民族を弾圧しなければ、ドイツで最も優秀な指導者になったかもしれません。この映画では、追い詰められるヒトラーばかりに焦点を当てた内容になっています。
エヴァ・ブラウン(演:ユリアーネ・ケーラー)
ヒトラーの愛人で、最後はヒトラーと共に自殺を図ったと言われています。この映画では、明るい性格で自由奔放にしてヒトラーのよき理解者として描かれています。
トラウドゥル・ユンゲ(演:アレクサンドラ・マリア・ララ)
ヒトラーの個人秘書官を務めた女性です。この女性の証言なくして、この映画は作られなかったと言えるでしょう。この女性は若い時の好奇心によってヒトラーに秘書になりますが、大戦後にヒトラーが犯した罪を知り愕然とする事になります。
ハインリヒ・ヒムラー(演:ウルリッヒ・ネーテン)
親衛隊の長官であり、ヒトラーに外交交渉するように提案した人物。敗色濃厚になったナチスドイツの中で、戦況を冷静に判断出来る人物と言えるでしょう。
ヘルマン・フェーゲライン(演:トーマス・クレッチマン)
エヴァの義弟ですが、ヒトラーに反逆したと見なされて処刑されようとします。エヴァはヒトラーを説得して恩赦するように進めようとしますが、ヒトラーは聞こうとしません。
「ヒトラー 最後の12日間」のストーリー
若くて美しい女性ユンゲは好奇心から、ナチスから依頼されたヒトラーの秘書官になろうと決意します。ユンゲが応募したら、秘書として採用される事になり、近くにいた多くの秘書の応募者達と喜びを分かち合うのです。
ベルリンに迫るソ連軍(起)
ユンゲが見たヒトラーは、意外と暖かい性格でした。しかし、その頃のドイツは戦況が悪化して敵から砲撃を受けて、ベルリンはパニックに陥っていたのです。ヒトラーは、敵の襲来を未然に気づかない部下達に激怒。部下のヒムラーは外交交渉するように提案しますが、プライドの高いヒトラーは却下します。
ヒトラーの愛人「エヴァ」は暗い毎日を払拭するかのように、パーティーを開きますが、その間も容赦なく砲弾の嵐が続きました。その間に、ドイツ軍は被害を拡大させていきます。ドイツの都市では、少年や少女達が進んで戦おうとしますが、その中にいた少年の親は考え直すように説得しますが、少年少女達は聞こうとしません。そしてヒトラーは戦況を無視するかのような司令を部下に伝えます。将校達は必死にヒトラーに、反論しますが、全く聞く耳を持ちません。モーンケはベルリンの防衛を任されたので、最後の一兵まで闘う事を誓いますが市民300万人の避難を進言しますが、ヒトラーは却下します。
ヒトラーの無理な命令(承)
戦況が悪化して、苦戦していた将校は、何とヒトラーの命令によって銃殺される事になります。その命令に納得できずに将校はヒトラーに事の経緯を説明したら、首都防衛司令官に任命されます。しかし、そんな名誉より銃殺のほうがマシと吐き捨ててしまうほどヒトラーに不信感を抱いてしまいます。
その頃、ヒトラーはシュタイナーを当てにしていたが、シュタイナーの師団には攻撃能力がすでにありませんでした。さらにヒトラーは、多くの部下達を臆病者と蔑みます。多くの部下は憤慨して、忠誠心が無くなっていきます。ゲルダという秘書はそれを廊下で泣きながら聞いていました。ヒトラーは、この戦争に負ける事を覚悟していましたが、ベルリンから退くぐらいなら頭を撃ち抜く事を部下に言い切ります。そして、部下には好きにしろと言うのです。その後、ヒトラーがいない廊下では、将校達が降伏すべきか戦い続けるか言い合いを起こしていきます。
ドイツの市街地では、SSが逃走兵を銃殺して、それを止めよとした軍医と激しく睨み合います。ある将校は市民兵が次々に犠牲になっているので、ゲッペルスに作戦を改めるように進言しますが、自ら志願したので自業自得だと言われてしまうのです。
戦火の中の歌声(転)
ヒトラーの元に、ゲッペルスの子供達がを訪れて、共に歌って束の間の団らんをヒトラー達は楽しみます。ヒトラーは以前に、部下へ好きにしろと言っておきながら、ヘルマンが裏切ろうとしたら、激怒して処刑しようとします。
ヒムラーは連合国に降伏する事を勧めますが、それにヒトラーは激怒。そればかりかヒトラーは、ヒムラーの副官が逃亡したので処刑する事を決定します。ヒトラーは食事中でも大声を張り上げてしまいます。将校たちの中には、降伏するという屈辱は一度でたくさんだと主張する者もいました。そのような中で、覚悟を決めたヒトラーは部下に亡骸を焼いて晒し者にされないように頼みます。
ヒトラーは多くの秘書や将校の夫人と最後のお別れをします。そして、一発の銃声が聞こえてきました。それはヒトラーが自殺をした時の銃声だったのです。ヒトラーから命じられていた部下達は、ヒトラーやエヴァの遺体にガソリンをまいて火葬します。その豪華を見つめたまま部下達はナチ式敬礼をするのです。
ドイツの都市では激しい市街戦が続いていましたが、ソ連の指揮官は休戦交渉に応じられないと言って、無条件降伏しかないと言い切ります。首相になったゲッペルスは、無条件降伏に反対します。将校達の間では市民の犠牲を増やすべきでないという主張と降伏に反対するという主張に分かれます。そして、ゲッペルス夫人は、子供達に薬を飲ませて寝かせる事にします。ゲッペルス夫人は、昏睡状態になった子供達に一人ずつ口を開けさせて、毒を飲ませていくのです。
瓦礫の山になったベルリン(結)
秘書は、将校達と一緒に外へ出て行きます。残った数人の将校は、銃で頭を打ち抜き自殺をしていきました。瓦礫の山になったベルリンでは、ヒトラーが亡くなり戦闘中止を呼びかけるヴァイトリングの声がこだましていました。
最後にゲッペルス夫婦は銃によって最後を迎えます。ドイツの軍医は最後の最後まで救助活動を行いました。そして秘書達が街中で見たものは、負傷者が山となった惨状でした。ゲルダという秘書は動く事を否定したので、トラウドゥルは孤児となった子供と一緒に逃げて行きました。
1945年5月7日にドイツは無条件降伏。第二次世界大戦の死者は約5000万人で、ユダヤ民族は600万人以上も虐殺されたと言われています。トラウドゥルは、自分の犯した過ちを後悔して「ヒトラー最後の12日間」は終わりを告げます。
「ヒトラー 最後の12日間」の見所
ヒトラーが死ぬ前の数日間に焦点を当てたストーリーで、見所と感じた所を紹介します。
独裁者の本性か?
ヒトラーは残酷な独裁者である一方で、ドイツ国民を一時的とは言え生活水準を上げた政治家の一面がありました。そのヒトラーが死ぬ直前に、国民が苦しんでいく事に、どのような思いを馳せていたのか知りたくて、このDVDを見る事にしました。
次々にドイツ国民がソ連の攻撃によって亡くなっても、ヒトラーは同情するそぶりを見せませんでした。余裕のある時はドイツ国民を幸福に導く為に懸命になりましたが、余裕がなくなったヒトラーは残酷な独裁者になっていたのです。結局の所、ヒトラーがどこまでドイツ国民の事を考えていたのか?それはこの映画を見ても確信が持てないものがありました。一つ言える事があるのなら、敗色濃厚になった時点で、ヒトラーはドイツ国民を見殺しにした事は間違いようのない事実と言えます。なぜなら、1日も早い降伏をしていれば、これほど多くのドイツ国民は死なずに済んだのですから。
ヒトラーの人間性が分かる所
この物語では、将校達に叫びまくるシーンや、秘書に優しい顔をするヒトラーが描かれています。私達が知るヒトラーは残虐極まりない独裁者という事しか知りません。歴史を知っていたとしても、残酷な独裁者だけど優れた政治家の一面があったという所ぐらいでしょう。しかし、この映画を見る事によって、ヒトラーの性格や亡くなる前にどのような行動を取っていたのか分かる事が最大の見所と言えます。