ロサンゼルス=平山亜理、ワシントン=杉山正
2016年11月26日22時53分
フィデル・カストロ前国家評議会議長の死去が、キューバの国営テレビで伝えられたのは25日深夜。夜遅かったため、ハバナ市内は静かだったが、長らく国を率いたカリスマ的な指導者の死に、市民の間からは沈痛な声が漏れた。
フィデル氏の指導の下でバチスタ政権と闘ったという同市内のホセ・オイェル・タマヨさん(71)は、知人からの電話で死去を知った。「いつかは、と思っていたが、大きな喪失感だ」と沈痛な声で話した。
学生のサリエル・バルデスピノさんは「とても動揺している。誰が何を言おうと、彼は世界が尊敬し、愛した人物だった」とロイター通信に語った。
政府メディア「クバデバテ」は、「キューバが泣いているが、90年間もいてくれたことに感謝する」と伝え、各国首脳からの哀悼の言葉を紹介した。
ロイター通信によると訃報(ふほう)が流れた後、営業していたナイトクラブがすぐに閉店するなどしたという。
一方、多くの亡命キューバ人らが住む米フロリダ州マイアミの「リトル・ハバナ」では26日未明、数千人がサルサのリズムに乗って喜びを表した。AP通信によると、死去が発表されてから30分も経たずに人々が集まり出し、「キューバ、自由」などと連呼。亡命キューバ人の男性は同通信に「みな、喜んでいる。もう(フィデル氏が)損害をもたらすことがなくなった」と話した。
マイアミは、革命政権によって財産を失うなどしたキューバ人が移り住んだ主要都市の一つ。長年、祖国に戻れずに、カストロ政権に反感を募らせてきた人々やその子孫が多く住んでいる。(ロサンゼルス=平山亜理、ワシントン=杉山正)
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朝日新聞国際報道部