寄生獣、アニメ版「セイの確率」の感想。ネタバレなし。
先日書いたU-NEXTリトライキャンペーンからの視聴である。
他に観たい作品はごまんとあるが、一昨日の夜に「11月25日23:59までの限定」という文字が目に入って、慌てて昨日の予定をつぶしつつ全話視聴。
といっても、時間的に間に合うとは思えなかった。わけあって、それほど観たいという作品でもなく、途中で終わっても「まあいいや」という気分でもあった。
ところが、何故か26日になっても視聴可能だった。25日から切れ目なしで連続視聴すれば最終話まで完走できるのか?と思ったが、終わってみれば何と「2017年11月25日」と書いてあるではないか!単なる勘違いだったorz
さて「わけあって、それほど観たいという作品でもなく」と書いたが、その理由は本作の主要キャラの「ミギー」という寄生生物の見た目がキモイからだ。
当然ファンの反論があるだろうし、見終わった後だと、なかなか可愛いイイやつだったとさえ思うのだが、そうした先入観が自分を「寄生獣」から遠ざけていたのは事実だ。
ちなみにいうと、自分は血しぶき飛び散るスプラッター表現は割と平気で、むしろ好きだったりするのだが、触手系とかナメクジ系の気持ち悪さには耐性がなくキモイと感じてしまうのだ。
あと、本当に些細な事なのだが、刃物の形にも好き嫌いがあって、直線的な剣は好きなのだが、アックス状の曲がった刃は大嫌いなのだ。
上記の両要素と、目玉くちびるという、最悪の要素の集合体がまさに「ミギー」で、デスノートのリュークの方がまだマシというほど、おぞましいキャラだったのだ。
うわっ、やっぱりキモっw
というわけで、岩明均の原作漫画を連載中にアフタヌーンを買っても見て見ぬふりといった塩梅で、何やら名作という噂を耳にしていても避けてきたのだった。
ところが、見始めるとこれが面白い。既に別のファンタジー系萌えアニメを観ていて最高と思っていたのだが、それが霞むほどに面白いのである。また、ミギーがハルヒかミサミサであればいいのにと思ったほど、主人公に献身的であり、それはある理由の所為でもあるのだが、それだけに終わらない。最後でなくても途中からキモイ生物が可愛いヤツにランクアップし、最後には……号泣物なのだ。
詳しくはいわないが、敵役の女性キャラも良かった。彼女の最後は不覚にも涙ぐんだ。
なるほど、アニメ化される前から、名作として評価が高い作品だったが、それも頷けるほどの感動の嵐である。キモかわキャラのミギー以前に、岩明均の絵柄自体嫌いで、世間の評価を全く無視して触れずにきたが、そういうわけにはいかないらしい。原作漫画版も見てみたい。
驚きはストーリーやミギーだけではない。主人公の彼女の役を人気声優の花澤香菜が務めているのだが、いつの間にこの子うまくなったんだ?という位うまくなっていて驚きだった。この作品は2014年作なのだが、花澤香菜が人気声優として認知されるようになった2008年~2009年頃は、出演作が多くて人気なのは分かるが、どのキャラも同じ声、同じ傾向のキャラで少々食傷気味というか、テクはないのに可愛いだけのアイドル声優の扱いだった。それが、しばらくアニメを観ていないうちに変わるものだ。5年程のインターバルだが遥かにうまく、演技のできる声優になっていて驚いた。
そうとう努力したのだろう。最初の頃はアニメファンの間でも評判は良くなかったし、聞けば声優仲間からも「棒読みの下手糞」と言われていたらしい。腐らず努力した姿勢は尊敬に値する。
ミギーを演じた平野綾も良かった。冷たく突き放したようなトーンが、ぴったりはまっていた。
とにかく元々名作として誉れ高い作品で、自分などが薦めなくても、見る目がある人はとっくに観ている作品だろう。
もし、自分のように何等かの偏見があって観ていないというなら、偏見は横に置いて絶対に観た方が良い作品だ。
本当に「ミギーさん、キモイと思ってすみませんでした」である。