英国の国税局がめちゃくちゃなことをしやがっている。
昨年まではユーザーIDとパスワードだけでするっと自分のアカウントに入ってオンラインで確定申告できたのだ。
ところが、なんかいきなり自分のアカウントにログインするのが至難の業になっている。
ユーザーIDとパスワードを入れると、「あなたがご本人かどうか確認します」とか言いやがって、人のクレジット・ヒストリー(信用履歴。ってやつか日本語では)を詳細に聞いてきやがる。
1998年にクレジットカードのアカウントをオープンされていますが、それは何月だったでしょう?
A2月 B3月 C4月 D5月
とか本人も覚えていない質問を次から次によこしやがって(またこれが三択じゃなくてなぜか四択。よけい迷うだろ)、一度でも間違ったら「7日後にもう一度トライしてください」とか言いやがり、こんなことではわたしはいつになっても自分のアカウントにログインできないと激昂し、国税局オンラインサービスのヘルプラインに電話。
1時間以上も「ちゃららーらららーん、すっちゃらららららーん」とかいうムカつきを覚える音楽を聞かされて、ようやく生きた人間の声が。と思って怒涛のように状況を説明するも、スコティッシュ訛りの姉ちゃんが、
「7日後にやってもらうしかないですねえ」とか何の助けにもならんことを言うので、
「間違うたびに7日間も待っていたら、期限を守れなくなっちゃうだろ」と怒りの声を発すると、
「間違えないように正しい答えを入力するしかないです。ルールですから」とか言われ、
「クレジットカードつっても一枚じゃないし、わたしみたいに長く生きてると作ったのも遠い昔だから、何年何月に作ったかなんて記憶はすっかりぶち飛んでいるだろ」とさらに激憤の声を発すると、
「信用履歴情報を提供する機関のサイトに登録して、ご自分の情報を入手して学習し、その知識を持って再びログインにチャレンジするしかないですねー」とか言いやがる。
なんで確定申告の自分のアカウントにログインするために、いちいち自分の信用ファッキン履歴(しかもこれ、カードだけじゃないぞ。「2010年に登録したメールオーダーの会社のアカウントを閉じたのは、A24カ月前 B36カ月前、C48カ月前、」というトリッキーな質問とかも来る。わざわざひっかけ問題みたいにYEARSではなく、MONTHSを使ってな)を学習するために信用履歴情報提供企業に登録し、自分の情報を取り寄せ、あの4択試験に合格するように学ばなければならないというのだ。
これ、どう考えても英国政府は我々が確定申告を提出することを不可能にし、期限を守れない人を続出させ、提出遅延の罰金で稼ごうとしているとしか思えない。なんで一度入力に失敗したら7日間も再トライ不可なのかというのも疑問だしな。それに、国税のヘルプラインが特定の信用履歴情報提供機関を2,3指名してくるのもおかしな話だ。ログインするために自分の情報を取り寄せる人が増えれば、これらの機関は儲かるわけだし、上のほうであいつらみんなつるんでんじゃねえのか。という、陰謀論とアンチ・エスタブリッシュメント感情が生成されるのはこのような末端の現場だからこそ、ややこしくて吝嗇な社会をつくってはいかんのだ。伊達や酔狂でわたしが反緊縮を唱えていると思うなよ。
「ご心配なく。あなただけじゃないですよー。ほかにも同じ経験をしている人がたくさんいらっしゃいます」
とか電話口で言われてもぜんぜん心は晴れないし、いったいわたしは今年、無事に確定申告を提出できるのだろうか。というか、そもそも、この残された人生のうち、わたしが自分のアカウントに再びログインできる日は訪れるのだろうか。
確定申告にデモクラシーを。っつか、その前の段階であるログインにデモクラシーを。
(そんなわけなんで、ここからが本エントリ執筆の目的ですが、英国在住の確定申告対象者で、毎年自分でやっているよという勇敢な方々、1月になってログインしてオンラインで片づければオッケー。というほど今年は楽じゃないかもしれませんぞ。とりあえず、早目にログインしてみることをお勧めします。えらいことになっているので)