自動車はライトの上下よりスピードを落とせよ
ハイビームとロービーム
今から12月上旬にかけて日没が早くなり、自動車のライトを点灯する時間も早くなると思います。今日(11月26日)の日没は僕の住んでいるところで16時45分だそうで。
今日は帰りが少し遅くなって19時30分ごろ会社を出て田舎道を走っていたのですが、向こうから眩しくこちらを照らす車が走ってきます。そう、ハイビーム。
車の免許を持っていない、自動車に乗らない方はわからないかもしれないのですが、自動車のライトは通常2つのパターンを持っています。ハイビームとロービームです。ロービームのときはおよそ40メートル先までしか照らせないといいますが、これをハイビームに切り替えるだけで約100メートル先まで光が届くといいます。
私は仕事でも生活でも自動車に乗りますが、通常はロービーム、街灯がないなど真っ暗で見通しの悪い道などを走るとき、かつ向こうから車や人、自転車などがいない場合にのみハイビームに切り替えて走るときがあります。ですがまぁめったにハイビームは使いません。
ところが実はJAF(一般社団法人日本自動車連盟)によると「ハイビームが基本で、すれ違うときだけロービーム」という見解なのだそうで。
JAFの「なんでも質問箱」によると
JAFのホームページは安全運転のためのハウツーやテクニックなどを紹介しているページがあったり、質問に対する答えという形を使ったりしながら様々な啓発を行っています。
そこにあったのがこんな質問。
「夜間走行時のヘッドライトはハイビームが基本?
JAF|クルマ何でも質問箱:ドライブ運転テクニック|夜間走行時のヘッドライトはハイビームが基本?
ヘッドライトには、通常、ロービーム、ハイビームが備えられています。道路運送車両法等では、ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームは「走行用前照灯」とされ、その照射距離は、ロービームは前方40m、ハイビームがその倍以上の前方100m先を照らすことができるものと定められており、その使用方法として、対向車や前走車が存在する場合には、ロービームを使用することとされています。
ちなみに、道路運送車両法ではロービームもハイビームも出てきません。NAVERまとめなどであたかも道路運送車両法で「ハイビームは走行用前照灯なのだからハイビームがデフォ」という表現がされていたりしますがこれはいいすぎ。
「道路運送車両の保安基準」という道路運送車両法 (昭和二十六年)第三章 の規定の中に出てきますのでこれを抜き出します。
(前照灯等)
第三十二条
自動車(被牽引自動車を除く。第四項において同じ。)の前面には、走行用前照灯を備えなければならない。4 自動車の前面には、すれ違い用前照灯を備えなければならない。
この「走行用前照灯」がハイビーム、「すれ違い用前照灯」がロービームなんです。だからこれを置き換えると「自動車の前面にはハイビームを備える、そしてロービームを備えなければならない」となるということなんですよね。これをいいように捉えて「ハイビーム優先、すれ違い時だけロービーム」と言ってるんですよね。
で、さらに道路交通法。
(車両等の灯火)
第五二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
【令】第十八条
【令】第十九条
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
【令】第二十条
(罰則 第一項については第百二十条第一項第五号、同条第二項 第二項については第百二十条第一項第八号、同条第二項)
これにより道路にあるときはハイビームをつけろ、すれ違うときなどはロービームにしなくてはならないとなります。
もちろん、ハイビームでいつもは走っている、でも前方に車両などがあればロービームにしなくてはならない、のですよね。じゃあハイビームで走れるときなんて都会ではまずないでしょう。田舎でも前方に歩行者や自転車がいない時なんてそんなに頻度高くないですよ(場所にもよるかな)しかしハイビームにしてる人ってロービームにすぐ戻してくれない人も結構多いんですよ。そのまま走り続けてくる迷惑な人が多い。
ハイビームと不能グレア
グレアというのは不快感や物の見えづらさを生じさせるような「眩しさ」のことで、不能グレアというのはグレアの中での分類の一つ。
視野内の極端な高輝度部分もしくは極端に高いコントラストにより、網膜が順応不能となった状態。眼球内では入射光が散乱し、視界の把握がほとんど不能となる。
つまり眩しすぎて何もできなくなるということ。
自動車を運転している人はハイビームにすることで遠くまで視界が広がり安全確認ができるようになるかもしれませんが、そのハイビームを受けてしまった歩行者や自転車を運転している人はその眩しさによって不能グレア=視界が把握できない、ということにもなりかねません。
実際、細い道を走行中に向こうからハイビームの車が来るとします。その車に出会うまで暗い道に目が慣れていたところに急に強い光を当てられると眩しさで本当に何も見えなくなります。特にそのまますれ違いされたとき。車のミラーも見えなければ自分の左側にどんな障害物があるかも見えなくなったりします。
そのハイビームのままだった車が通り過ぎたあともまぶしさで何も見えないような状態にもなりますし、車が安全だったツケをこっちが払うことになります。
それでもハイビームが基本、ってやっぱり言うのかな。
基本はロービーム、たまにハイビームをすすめたい
ハイビームは確かに100メートルくらい先まで見通すことができるので、それならずっとハイビームのままにしている必要はないと思うんです。ロービームで走っていて、たまに数秒間ハイビームにするだけでも十分安全確認ならできるはず。その数秒で歩行者なり自転車を発見したならロービームにすぐ切り替える、速度を落とす、で十分安全な運転はできると思うんですよね。
暗い道での走行時は、対向車や先行車等がある場合を除いてハイビームにするのが基本ですが、当該車両等がない場合にもロービームで走行するドライバーが多いのが実態です。ハイビームを使用していないと、障害物の発見が遅れる可能性があります。特に高速走行時には、その傾向が顕著となり、衝突の危険性が高くなります。
これはあくまでも自動車側の目線のみでしょ、ハイビームのまま走ってくる車なんてただの凶器の塊ですから。こっちはそのハイビームを浴びたら目くらまし受けるんだから。こういう言い方は悪いと思うけど「自動車はいつから道路の王様になったんだ」と言いたくなる。
ほら、このページにもこれ。
道路運送車両法では、ハイビーム(上向き)を「走行用前照灯」、ロービーム(下向き)を「すれ違い用前照灯」と呼び、通常走行時は走行用前照灯を使用することとされています。
道路運送車両法の全文から「走行用前照灯」「すれ違い用前照灯」を検索してみてほしい。道路運送車両法の中にはこの2つの言葉は一度も登場しないから。通常走行時はハイビームを使えなんてこの法律では一度も言っていないからね。
ハイビームのまま走ってこられたら
細い道で前方からハイビームでこっちに向かってくる車両を見かけたら、わざと道路中央を自転車で走ることにしました。だって目がくらむと道路の凹凸、溝の有無などが見えにくくなるんですもの。道路の真ん中のほうが安全じゃない。
今のところそれですべての車はロービームに変えてくれたので通常通り左側走行に戻りますけど、そのまま走ってこられたら道路の真ん中で立ちふさがることになるでしょうね。
ハイビームで自分の安全は確保したいけど自転車や歩行者の安全は奪うなんてやっぱりおかしいもの。こっちにはこっちの安全を確保したいという気持ちがありますからね。
でもやっぱり一番大事なのは徐行運転
周りが暗くてハイビームで走らなくてはならないようなところはハイビーム、ロービームの問題ではなく「徐行運転」が一番大事ですよ。前方40mしか見えなくても「いつでもブレーキをかけて止まれるスピード」で走れば問題ありませんし。ハイビームにして100mの視界を確保しつつ猛スピードで走ってくる車はやっぱり駄目ですからね。