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2016/11/25

萩生田光一官房副長官、政府の戦後談話を覆す発言

萩生田光一官房副長官は安倍晋三首相の最側近の一人とのことで、政府見解を計る上でとても重要な発言だと思うので、記事をクリップしておく。萩生田氏が言うように「日本人はものすごく素直な国民、民族」であるかどうかは知らないが、萩生田氏ご自身がある意味で「ものすごく素直な」人ではあるのだろうとは思う。

「強行採決は田舎のプロレス」首相側近、持論次々に:朝日新聞デジタル(2016年11月23日21時45分)

 安倍晋三首相の最側近の一人である萩生田光一官房副長官が23日、東京都内のシンポジウムに出席し、「強行採決」や「戦後70年談話」「環太平洋経済連携協定(TPP)」などについて、自身の考えを語った。萩生田氏が参加したのは、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が理事長を務める「国家基本問題研究所」主催のシンポジウム。

■「強行採決」は「田舎のプロレス」

 「強行採決なんてのは、世の中にあり得ない。審議が終わって、採決を強行的に邪魔をする人たちがいるだけでありまして。じゃあ、あの(野党の)人たちが本当に声を枯らせて質問書を破りながら腹の底から怒っているかといったら、『田舎のプロレス』と言ったらプロレスの人に怒られるが、ここでロープに投げたら返ってきて、空手チョップで一回倒れて、みたいなやりとりの中でやっている。ある意味、茶番だと思いまして、もうそろそろこういう政治のあり方は変えるべきだと思っている」

■過去の「談話」は「安易なおわび」?

「(昨年8月に安倍内閣が閣議決定した)戦後70年の首相談話を出す時にも、本当にみんなで悩みました。日本人はものすごく素直な国民、民族でありますから、例えば悪くないと思っていることでも、その場を謝ることで収めるということをみなさんもするじゃないですか。私なんかこの国会で、山本(農林水産)大臣のために何回頭を下げたのか分かりませんよ。政府の一員として申し訳ありませんでしたと。結果として、納得してもらうというのが日本の価値観じゃないですか。同じように、過去に発した文章の中には安易なおわびを入れることによって、間違ったメッセージを世界に発信してきたという後悔と過ちがあったと思います」

■TPP再交渉に「含み」

 「(米次期大統領の)トランプさんがもし譲れるものがあるんだったら、もう一度、『(TPP交渉の)再協議には応じない』と日本は基本的な姿勢を示していますから、安易にそこに入っていくことを望むことではありませんけど、しかし、前向きにTPPに関して話し合いをしたいということであるならば、私は時間をかけても米国をプレーヤーとして巻き込んでいくというのは、極めて重要なことではないかと思います」

■トランプ氏登場は橋下徹氏を「思い出して」

 「みなさん思い出してほしいんですけど、橋下徹さんが大阪府知事になる前、なってから、言っていることは全然違いますよ。だけど、政治経験がなかった橋下さんが知事になって、様々な広い角度から勉強した結果、やっぱりこれは必要だ、これは大事だということで政策を変えても、大阪の人たちは認めてきましたよね。これは(政治経験の長い)小池百合子さんはできないんですよ。その辺の暗黙の許容の範囲というものが、トランプさんにはあるんだなと思います」

トランプ政権「オバマ氏より期待」 萩生田官房副長官 - 沖縄:朝日新聞デジタル(2016年11月23日19時06分)
■萩生田光一・官房副長官

 インテリ層の皆さんからすると、「トランプ(米次期大統領)を支持していると言うと近所の人に白い目で見られたりするんじゃないか」ということもあって、なかなか世論調査には反映されなかったのではないか。よく似ているのは沖縄県の世論調査でありまして、沖縄県の基地問題の話を聞けば、世論調査の段階では、圧倒的に基地移転に賛成。しかし、選挙が毎回接戦になるというのは、世論(調査)に答えない潜在的な静かな基地容認派もいるんだな、と我々は感じているところでありました。

 連日、米国から放映される映像を見ますと、「トランプなんかが大統領になるんだったら、おれは米国から出て行くんだ」と言った人たちが、トランプさんと手を握って、そして何らかの要請を受けつつある。この前、(安倍)総理ともちょっと話したんです。日本だって自民党総裁選で「あんなやつが総裁になるんだったら、日本は終わりだ」と言っても、そんなやつが総裁になり、大臣をやってくれと言ったら必ず受けるじゃないですか。「米国の人たちもそんなに変わらないんじゃないか」と。

 共和党の皆さんも、大事なのはアメリカ合衆国なんだという思いがあるならば、経験のある人たちがトランプ新大統領を支えることは決して難しいことではないんじゃないか。オバマ政権が始まった時よりも、ある意味では、期待できる政権として、総理がしっかりお付き合いすることができるのではないか。(東京都内でのシンポジウムで)


印象深いところを一部抜粋。

●戦後談話は「過ち」

戦後70年の首相談話を出す時にも、本当にみんなで悩みました。日本人はものすごく素直な国民、民族でありますから、例えば悪くないと思っていることでも、その場を謝ることで収めるということをみなさんもするじゃないですか。私なんかこの国会で、山本(農林水産)大臣のために何回頭を下げたのか分かりませんよ。政府の一員として申し訳ありませんでしたと。結果として、納得してもらうというのが日本の価値観じゃないですか。同じように、過去に発した文章の中には安易なおわびを入れることによって、間違ったメッセージを世界に発信してきたという後悔と過ちがあったと思います
●トランプ氏と橋下氏は良いが小池百合子氏はダメ。
橋下徹さんが大阪府知事になる前、なってから、言っていることは全然違いますよ。だけど、政治経験がなかった橋下さんが知事になって、様々な広い角度から勉強した結果、やっぱりこれは必要だ、これは大事だということで政策を変えても、大阪の人たちは認めてきましたよね。これは(政治経験の長い)小池百合子さんはできないんですよ。
●沖縄も本当は基地容認派が多数のはず
トランプ(米次期大統領)を支持していると言うと近所の人に白い目で見られたりするんじゃないか」ということもあって、なかなか世論調査には反映されなかったのではないか。よく似ているのは沖縄県の世論調査でありまして、沖縄県の基地問題の話を聞けば、世論調査の段階では、圧倒的に基地移転に賛成。しかし、選挙が毎回接戦になるというのは、世論(調査)に答えない潜在的な静かな基地容認派もいるんだな、と我々は感じているところでありました。
●権力者の思考法
「トランプなんかが大統領になるんだったら、おれは米国から出て行くんだ」と言った人たちが、トランプさんと手を握って、そして何らかの要請を受けつつある。この前、(安倍)総理ともちょっと話したんです。日本だって自民党総裁選で「あんなやつが総裁になるんだったら、日本は終わりだ」と言っても、そんなやつが総裁になり、大臣をやってくれと言ったら必ず受けるじゃないですか。「米国の人たちもそんなに変わらないんじゃないか」と。

現職の官房副長官によれば「……チッうっせーなぁ、ハイハイどうもすいませんでした」が日本人の本音だったとのこと
悪いと思っていないのに謝って場を治める→安易なおわび
間違ったメッセージ=日本は責めると言うことを聞く軟弱な国、格好のカモだと思われてしまう
ということだろう。いろいろダメである。
・殺戮も略奪も、性暴力も強制労働も「悪くない」んだなあ…。
・取り繕うためなら日本人は平気で嘘をつくんだなあ。それが日本政府だったんだなあ。
・弱腰…強気の交渉に弱いのは自民党の対米関係だよねえ、例えば。
・安易なおわび…慰安婦や強制労働被害者への賠償を頑として拒否しつづけていますよねえ…。
・内閣官房の重役が閣僚の不祥事を謝罪するのは「悪くないのに謝る」例なんだぁ。身内の恥は家長の責任じゃないの、日本の伝統的な「家」の倫理では? それとも山本大臣の不始末は「悪いこと」ではないと?テキトーにごまかすために謝ったと?それは批判者を馬鹿にし嘲っているのと同じでは?

なお、萩生田氏が講演したのは櫻井よしこ氏の国家基本問題研究所のシンポジウム。
参考:国家基本問題研究所の役員一覧

萩生田氏はここで小池百合子都知事を批判している。そこで思い出されるのが以下の指摘。

国家基本問題研究所、あるいは櫻井よしこは、小池百合子のことをあまり信用していないようだ - ライプツィヒの夏

安倍総理の「最側近の一人」である萩生田氏がどうしようもない言動を繰り返しているのは以前から知られている。今回のシンポジウムは、また新たに彼の本音や人柄への認識を補強してくれたわけで、政府要人が気持ちよく言いたい放題本音を話せる場所って実はとても大切なのではないかと思ったりする、逆説的に。

ところで全くの余談だが、トランプ氏が大統領選挙に勝利してアメリカ各地でマイノリティへの迫害や差別行為が発生したり、KKKが祝賀集会を開いたり、Alt-Rightの人たちがナチスを称揚したりしている。安倍氏が選挙で勝ったあと、日本では排外主義的な活動があからさまになったことが思い出される。

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追記(2016年11月25日)

「首相は不良と付き合い上手」=萩生田官房副長官、トランプ氏ら指し:時事ドットコム()

 萩生田光一官房副長官がトランプ次期米大統領やロシアのプーチン大統領らを指して「不良」と発言したとして、野党が24日、問題視した。

 萩生田氏は23日の東京都内でのシンポジウムで、安倍晋三首相がトランプ、プーチン両氏やフィリピンのドゥテルテ、トルコのエルドアン両大統領と良好な関係を構築しようとしていると説明。その際、「首相はおぼっちゃま育ちの割には不良と付き合うのが上手だ。荒っぽい政治家と堂々と話すことができる」と述べた。
 萩生田氏の「不良」発言は、野党の国会対応を「茶番」などと述べたのと同じ会合で出た。民進党の小川敏夫参院議員会長は24日の記者会見で「とんでもない暴言で、外交上非礼だ」と批判し、萩生田氏の罷免を求めた。 (2016/11/24-16:33)


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