三陽商会は29日、2016年12月期の連結最終損益が95億円の赤字(前期は25億円の黒字)になりそうだと発表した。従来の3億円の黒字予想から一転、過去最大の赤字となる。昨年6月に英高級ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が切れ、百貨店での衣料品販売が苦戦。繰り延べ税金資産の取り崩しや希望退職の募集で大幅な損失が発生することが響く。
売上高は前期比28%減の700億円と、従来予想を70億円下回る見通し。販売できなくなった「バーバリー」の穴を埋める後継ブランドが育っていない。営業損益は68億円の赤字(前期は65億円の黒字)で、従来予想を48億円下回る。
こうした状況を受け、従業員の2割に相当する250人程度の希望退職を募る計画。これにともなって約30億円の事業構造改善費用が発生。繰り延べ税金資産の取り崩しで30億円強の法人税等調整額を計上し、最終損益を押し下げる。
業績の悪化を受け、期末配当は前期末比4円減の4円にすることも発表した。従来は前期末と同じ8円の配当を実施する計画だった。