ニュース
2016年11月25日 09時16分 UPDATE

米当局、運転中のスマートフォン機能制限を要請 自動車死亡事故の増加を受け

日本ではPokemon GOを運転中に操作したことによる事故が問題となっているが、米国では特定アプリではなく、スマートフォンそのものの操作について規制が生まれるかもしれない。

[AP通信]

 米当局はスマートフォンメーカーに対し、自動車を運転中のユーザーがスマートフォンを使用している場合には大半のアプリを使えなくするよう要請している。

 この任意のガイドラインは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が11月23日に発表したもの。運転者がスマートフォンに気を取られたことで起きる衝突事故を減らすことが狙いだ。さらにNHTSAはメーカーに対し、車載インフォテインメントシステムとスマートフォンとの連係強化も求めている。

 ガイドラインで定められているのは、例えば、運転者は電話をかけることはできても、スマートフォンや車載システムの機能によってテキスト入力はできないようにするといったことだ。インターネットの閲覧、運転とは関係のない動画の再生、書籍や写真の表示なども、運転中はできなくなる。ナビゲーションシステムは使用できるが、運転者の注意散漫を避けるためのガイドラインが併せて表示される。

 注意散漫な運転者による衝突死亡事故の増加に伴い、交通事故による死亡者数はこの2年間で急増している。米当局によれば、2015年に交通事故で死亡した3万5000人のうち、約10%にあたる3477人は運転者の注意散漫に起因する事故で亡くなっている。2014年と比べて8.8%の増加だ。交通事故死亡者数は何年も減少傾向にあったが、2015年に7.2%の増加に転じ、2016年上半期には10.4%増加している。

photo (AP Photo/Rich Pedroncelli)

 「交通死亡事故が増加している背景に運転者の注意散漫があるからには、私たちは業界と協力し、モバイルデバイスを使用する運転者の視線が常に道路状況に向けられるよう、対策を講じる必要がある」とNHTSAのマーク・ローズカインド局長は声明で述べている。

 自動車メーカーは既にそうした方向に舵を切っており、多くのメーカーが、スマートフォンを自動車のタッチスクリーンとペアリングして一部アプリのみを使用できるようにする「Apple CarPlay」や「Android Auto」といった車載システムを提供している。NHTSAはスマートフォンメーカーに対し、ユーザーが自動車を運転中かどうかを判断し、運転中であれば大半のアプリを無効にできる技術の開発を求めている。だが現時点では、そうした技術は存在しない。そうした技術を提供できないなら、せめてユーザーが自分でアクティベートできる「運転者モード」を搭載するようNHTSAはスマートフォンメーカーに促している。

 General MotorsはApple端末やAndroid端末とのペアリングシステムを既に世界で約40車種に搭載している。同社の広報担当者ビジェイ・アイヤー氏によれば、このシステムを使えば、運転者の注意散漫を引き起こすようなスマートフォン機能の多くを使えないようにできるという。例えば、運転者はテキストメッセージを手では入力できないが、音声では入力できる。「基本的に目指しているのは、運転者が常に両手をハンドルに置き、道路状況から視線をそらさず、注意散漫を最小限に抑え、手以外の手段——主に音声——でシステムと対話できるようにすることだ」と同氏は語る。

 NHTSAは60日間の意見公募期間を経て、このガイドラインを発効するかどうかを判断する。連邦政府による規定とは異なり、自動者メーカーとスマートフォンメーカーはこのガイドラインに従う必要はない。

Copyright 2016 The Associated Press. All rights reserved. This material may not be published, broadcast, rewritten or redistributed.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

マーケット解説

- PR -