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【社会】

飛び込み、高校授業でも原則禁止 7月の事故受け来年度から

 東京都立高校で七月、水泳の授業中にプールに飛び込んだ男子生徒が首を骨折した重傷事故を受け、都教育委員会は二十四日、都立の高校など約二百五十校を対象に原則として来年度から水泳の授業で飛び込みを禁止することを決めた。 (木原育子)

 都教委によると、水泳の授業や水泳大会などの学校行事では飛び込みを原則指導せず、水中からスタートするようにする。ただ、保健体育の専門学科は都教委に指導計画を提出して飛び込みを指導できるほか、部活動の水泳部でも、顧問教諭らの立ち会いがあれば練習できるようにする。

 飛び込みによるスタートを巡っては、学習指導要領で小中学校の授業での飛び込みを禁止する一方、高校では禁止せずに段階的に指導するよう定めている。本年度に水泳授業で飛び込みを指導した都立高校は、全体の2・5%に当たる七校あったという。

 都教委によると、七月にあった都立墨田工業高校(江東区)の事故では、プールに飛び込む指導を受けた三年の男子生徒が底で頭を打って首を骨折。都内の公立高校では、一九九九年にも体育の授業で高校一年の男子生徒がプールに飛び込んだ際に頭を強く打って死亡したほか、脊髄損傷などの重傷事故が二件あった。

 こうした事故を受けて都教委は二〇〇一年度、「水深一・三五メートル未満のプールではスタート台の設置を禁じる」とした日本水泳連盟のガイドラインに基づき、基準を下回る学校から飛び込み台を撤去していた。

 墨田工業高の三神幸男校長は「再発防止に努めるとともに、リハビリ中の男子生徒に対して、学校としてできるだけのことをしていきたい」と話した。

◆後遺症事故10年で33件

 学校プールの水深は文部科学省の基準がなく、溺れるのを防ぐために水深一・三メートル程度と浅く造られている。このため頭から飛び込んだ子どもが底に頭を打つ重傷事故が多発。名古屋大の内田良准教授(教育社会学)の調べでは、〇五〜一四年度、小中高校の授業や部活中に起きた後遺症の残る事故は三十三件あった。このうち高校生の事故は十六件で、うち八件が授業中に発生した。

 都の高体連水泳専門部常任委員で、東京大教育学部付属中等教育学校(東京都中野区)の井口成明教諭も「水泳の授業は体力向上や水に親しむことが目的。頭からの飛び込み練習は不要」と都教委の決定を評価する。

 一方で、部活動での飛び込み練習は大会出場に不可欠だと指摘。事故防止には、水面に対する体の入水角度を三〇度以下に抑えることや、自然に体が浮くように入水時に手首を返して指を上に向けるなどの指導が重要だが、こうしたポイントを知らない教諭が多いという。井口教諭は「教育委員会が指導者対象の講習会を開き、周知徹底してほしい」と話す。 (細川暁子)

 

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