「不利益を被ったと直接感じたことはない。事が大きくなるのが心配」
これは、「政権から不利益を被ったことはないか」という問いに、「フィギュアの女王」キム・ヨナ(26)が自らの考えを語った言葉だ。一部メディアではこのところ、「キム・ヨナは2014年11月の国民体操『ヌルプム体操』お披露目イベントに出席してほしいという文化体育観光部(省に相当)の要請を拒んだため、後に不利益を受けたのでは」と盛んに報じているほか、同部の金鍾(キム・ジョン)元第2次官が「私はキム・ヨナのことが好きではない」と発言したことを伝えている。
キム・ヨナは23日、「2016年スポーツ英雄」名誉の殿堂入り記念式に出席した後、記者会見で「(自分自身をめぐる)さまざまな話については報道で初めて知った。不利益を被ったと直接感じたことがないので、事が大きくなるのではと心配している」と語った。自分自身をめぐる疑惑はほとんどが事実ではないと否定したものだ。また、ヌルプム体操のお披露目イベントについては、「エージェンシーが処理する問題なので、そんなイベントがあったことすら知らなかった」と言った。
キム・ヨナは、昨年の光復節(日本による植民地支配から解放された日、8月15日)行事で、朴槿恵(パク・クネ)大統領の手を払いのけたという一部報道にも初めて言及した。しかし、「あの行事は生放送で、右往左往している時にそうなったこと。映像だけ見ると誤解されるかもしれない」と言いながらも、「私がどんなに無礼でも、目上の人の手を払いのけたりしないと思う」と一蹴(いっしゅう)した。
キム・ヨナの所属事務所「オール・ザット・スポーツ」ク・ドンフェ代表は「キム・ヨナが政府に目を付けられたという話は報道で初めて聞いた。もし本当に『目を付けられた』なら、政府・政治関連行事に出席できなかったことが原因ではないかと個人的に思っている。だが、実際に不利益を感じたことはなかった」と述べた。
キム・ヨナはこの日の殿堂入り記念式で「良い成績を挙げた選手はほかにも大勢いるのに、私が『スポーツ英雄』に選ばれたのは光栄だ。今後は韓国のスポーツとフィギュアスケートのために献身したい」とあいさつした。そして、後輩のフィギュアスケート選手イム・ウンス(13)が感謝の手紙を朗読すると、照れくさそうに笑顔を見せた。大韓体育会は、2011年から韓国を世界に知らしめ、韓国人に誇りを持たせてくれた体育関係者に対し、「スポーツ英雄」を選定している。昨年までにベルリン五輪マラソン金メダリストの孫基禎(ソン・ギジョン)氏ら8人が「スポーツ英雄」として殿堂入りしており、今年はキム・ヨナが9人目として殿堂入りを果たした。