村瀬信也
2016年11月24日18時04分
将棋界の最高峰「名人戦」の挑戦者を決める戦いが熱を帯びている。公開中の映画「聖(さとし)の青春」は、病と闘いながら名人を目指した実在の棋士、故村山聖九段の物語。俳優東出昌大さん(28)は、村山のライバル羽生善治三冠(46)を演じた。その羽生三冠が、名人復位を目指し挑戦権獲得に挑む対局を観戦した。
17日午前10時、東京都渋谷区の将棋会館で渡辺明竜王(32)と羽生三冠の戦いが始まった。佐藤天彦名人(28)への挑戦権を争う、第75期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の5回戦。午後の対局が再開する直前、会館内で最も格式が高い「特別対局室」に東出さんが入った。
羽生三冠は休憩前に58分考えていたが、まだ次の手を指さない。腕組みをしたり、視線を下に落としながら左右に体を揺らしたり。東出さんは、みけんにしわを寄せて盤や対局者を凝視している。再開後、13分経って羽生三冠は21手目▲7七銀を着手した。
観戦を終えた東出さんは、盤面を映したモニターがある控室に腰を下ろした。「棋士は人生をかけて将棋を指していて、負けた時ほど絶望を感じることはないと聞く。その緊張感に慣れていないので、息が詰まりました」
両対局者は共に2勝2敗でこの…
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