2016-11-24
■逃げるは恥だが役に立つ・・・・または愛情というものの正体について 
口コミというのは恐ろしいもので、いくら「逃げ恥」がヒットしてるだとか、ガッキー可愛いだとかいうニュースが流れてきても、基本的に全スルーしていたのだが、いざ面と向かって「逃げ恥見たほうが良いですよ」と言われると、見なければならないような気がして、とりあえず見てみた。
すると想像を絶する設定のドラマで、頭の中で?マークが無数に浮かんでは消える。
僕の中でガッキーといえばリーガルハイに始まってリーガルハイに終わっている。そしてリーガルハイだけを見ている限り、ガッキーはそれほど可愛い印象はない。まあ常に怒ってるからかもしれないが。
魅力的に見える人間の条件というのがあって、実はそれは常に笑っているだけでも、常に怒っているだけでもいけなくて、基本的には、表情豊かであることだ。だから基本的に映画の主人公は過剰に悔しがり、過剰に喜び、過剰に涙するのであり、敵役は無表情を保つのである。
さて、タイトルの「逃げるは恥だが役に立つ」とというどことなく気持ち悪い日本語は、ハンガリーのことわざ「Szégyen a futás, de hasznos.」から来ているらしい。
szégyenが「恥/羞恥心/面汚し/恥になるもの」 futásは「走る(run)」、hasznosは「便利/有益」なので、まあたしかに、「恥ずかしい走りは有益」と直訳できなくもない。
で、別の辞書を調べると、そこでは思いっきり意訳されていて、「自分の得意分野で勝負しろ」となるらしい。こちらのほうがしっくりくる。
でも「恥」と「逃げる」の要素がなくなってしまうので少しさみしい気もする。
ちなみに最近進歩したと噂のGoogle翻訳によると「ランはなく、知っておくと役立ちます。」
さっぱりわからない。
このドラマ・・・というか原作漫画を読んでも、「逃げるは恥だが役に立つ(または自分の得意分野で勝負せよ)」という感じはしない。就活の失敗からの契約結婚という名の就職、たしかに就職活動からは逃げたかもしれないが、それが役に立っているかどうかはよくわからない。生活ができてる、とい点では役に立っているのかもしれないけど。
このドラマは、互いに愛情のない業務としての結婚を選択した夫婦が、いつのまにか互いに惹かれ合っていくという比較的陳腐な流れの物語だ。
何故陳腐なのかというと、そもそも互いに愛情のない結婚というのは、むかしからお見合い結婚などで沢山あったからだ。むかしは女性は就職せずに結婚するのが普通で、そのための斡旋の仕組みとしてお見合いという制度があった。
ただし、お見合いの場合は、結婚した時点では愛情がなかったとしても、お互いに愛情を育んでいくという暗黙の了解がある点だけが違う。
僕の先生世代にはお見合い結婚が少なくない。
今でも覚えているのは、僕が中学校の頃、ちょっと憧れていた女性の先輩のお父さんが、僕の高校の学年主任で、彼が家庭訪問で僕の家に来た時に「自分は見合い結婚ですが、今、妻に恋をしてます」と言っていたことだ。なぜ家庭訪問にやってきて先生の個人的な恋愛事情を聞くことになったのかよくわからないが、あの美しい先輩は、まだ恋されてなかった頃のお母さんから生まれたのかと思うと微妙な気分になった。
要するに結婚したり子供ができたりするその時点では、それほど強い愛情で結ばれているわけではないのだ。
そしてそれが当たり前の世界では、恋愛結婚のほうがむしろ少数派であり、結婚に過度の幻想を抱かないのがいわば当たり前だったのかもしれない。
最近になると、見合いで結婚したという話はほとんど聞かない。
もしかしたら本当は見合いがキッカケかもしれないけど、結婚式でわざわざそれを言う人は減ったのではないか。それは恋愛結婚コンプレックスとでも言うべき、結婚とは結婚前に互いに愛情の存在を確認してからでなければいけないという幻想があるからではないだろうか。
だけど愛情ってなんだろう。
様々な領域で愛情の表現というものがありうるとして、それは単一のものだったり、ただ一人に向けられるものだったりするのだろうか。
愛情がなんであるかという興味は、AIを研究する上でももたげてくる疑問の一つだ。
拙書「よくわかる人工知能」の中でも、慶應大学の2人の先生から、意識の実装やホルモンバランスの実装はどうやらできそうだという指摘がある。
しかし、愛情の実装については誰も言及していない。
AIに愛情を実装されれば、それは憎悪や妄執といった好ましからざる性質をも持ってしまう可能性がある。AIは愛情を持つべきではないのか。
しかし今のAIは我々の想像を超える働きをし始めている。
今の翻訳AIは独自の中間言語表現を獲得している可能性がある。
AIを作る、鍛えるというのは、むかしよりずっとシンプルになっている。
https://github.com/satoshiiizuka/siggraph2016_colorization
例えば上図は早稲田大学による、白黒画像をカラー化するためのニューラル・ネットワークだ。
局所的特徴と大域的特徴を顧みながら、最終的にカラー画像を生成する。
ところが同じことをもっとシンプルなネットワークでも実装できる。
https://github.com/richzhang/colorization
こちらはカリフォルニア大学バークレー校のRichard Zhangによるニューラル・ネットワークで、白黒画像を見せて、カラー画像に戻すことが出来るようにシンプルに学習させる。
出来上がった結果はどちらもカラー画像が生成できることには変わりないが、一長一短といった感じで、誤差の範囲に見えなくもない。
「こんな雑なネットワークで本当にうまくいくのか?」と思って試しにRichard Zhangのネットにひたすらカラー写真を学習させると、lossはこんな感じに減っていく。
時間をかけて、しかし確実にlossが減っていくのがわかると思う。
最初のlossは絶望的に大きい。そらそうだ。乱数のフィルタをかけただけだもの。
これだとまだ7万エポックしか回してないけど、実際には45万エポックまで回さないとならない。のでまだ回し中。
さすがにニューラル・ネットワーク慣れしてくると、この程度の問題はある程度収束するだろうなというのは予想できる。
このAIの中で実際にはなにが起きているのかというと、それこそ局所的な特徴と大域的な特徴を畳み込みニューラル・ネットワークは同時に持っているので、「こういう特徴の白黒画像はこういう特徴の色で再現するとそれっぽい」ということを再現しているに過ぎない。それでも凄いことではあるけどね。
もしかするとラダーとかあったほうがいいのかもしれないけど、これだけ再現できればまずはいいのではないかと思ったりもする。早稲田のはラダーに近い発想で精度を上げようとしてるんだろうね。
どちらにせよ特筆すべきはlossが極端に減っていることで、lossがある限り学習できるわけだから、これはこれで素晴らしいことだ。
我々が意識的に愛情を実装することは、愛情の正体が解明されていない今の状態では難しいが、もしかして愛情のある振る舞いとない振る舞いを学習させると、いつのまにか機械の中に「愛情とはこういうものである」という表現獲得が成されてしまうかもしれない。
今、僕はAIにひたすらドラマとか映画とかを見せてるんだけど、そのうち結末を予測できるようになったりだとか、たいていの二時間サスペンスで「あ、こいつが犯人だな」と予測できるようになったりだとか、まあその程度のことはできるようになるかもしれない。
でも愛情の正体を突き止めたり、AI自身が愛情を獲得したりするようになるには、まだ時間がかかるだろうなあ
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