前触れもなく突然宇宙からやってきた少女、ルルシー。念願だった宇宙人との遭遇に、感激に打ち震える主人公は、何とか彼女とコンタクトが取れないかと思案し、刺激的な場面を見せればいいのではないかと結論。キスシーンを見せつけてみようと、同居する姉に提案する。姉は当然否定したものの、ルルシーの不思議な鼻歌を聞いているうちに、何故かキスに前向きになってしまう気分に。やがて、主人公は自分の思いの丈を姉にぶつけ、姉弟の間柄ながら貪るように唇を求め合う関係になっていく。そんな姉弟の激しいキスとセックスに触発されたルルシーも、段々見ているだけでは我慢できなくなってきて…。
この中盤までのあらすじをご覧になるだけでお分かり頂けるでしょうが、シナリオはいつものようにたっぷりと電波が加味されています。冴えに冴えた上質の電波は、今日もビュンビュンと元気に衰え知らず。平井次郎様の脳内ワールドは尚もご健在であらせられ、何人(なんぴと)の侵入も許さない独自の世界を直走っておられました。
しかしながら、そんな電波で独創的な世界こそ、私を含んだユーザーが待ちわびているもの。倒錯しきった世界を大いに満喫できる感覚の鋭い牙は、顧客のニーズにしっかり応えてくれた手堅い1本であったといえるのです。
ただ、今作品の場合、あまりに手堅い作品だっただけに、とってもレビューをしにくい作品であったりもします。というのも、私がこのエロゲをプレイして語りたい事は、KISS×200や前回のレミィで語った事とほぼ一緒。鋭い牙においての新たな刺激というものは殊更なく、良かった点も悪かった点も以前からそのまま残ってしまっているんで、鋭い牙をレビューするのならまた同じ文章を繰り返さなくてはならなくなるんですよ。
こちらが求め、女性側も恍惚の表情を浮かべてそれを返す。しつこいまでに交わされるキスは堪らない興奮。淫猥な唾液音を過剰なまでにぐちゅぐちゅと高鳴らせ、煽情的な台詞を交えながら行われるフェラチオも、他に類を見ないほどの逸品。キス、フェラをトコトンまで煮詰めようとするその姿勢。それが今回の鋭い牙にも脈々と受け継がれていた。
もう全部、私が以前書いたレビューのコピー&ペーストでまかなえてしまえますから。「ニーズにしっかり応えてくれた手堅い1本」とは、それだけ代わり映えしていないという意味も含んでおり、つまりは、鋭い牙で用意されているシチュエーションは、WINTERSさんの過去作において何度も拝見してきたシーンと同じものだという事なんです。如何に卓越したシチュエーションであるとはいっても、そう何度も何度も同じことの繰り返されては段々辛くなってくる…。
この際、ハッキリと言わせてもらえれば、さすがにこういうのも飽き始めてきたという事なんですね。鋭い牙自体に問題は確かにないのかもしれませんけど、同じシチュエーションを繰り返すだけのワンパターンでは、気持ちが徐々に冷めつつある。私はWINTERSさんの作品をプレイするのはこれで3作目ですけど、3作目にしてもう飽きが出てきてしまいました。
KISS×200では劇薬のように感じた異色のシチュエーションも、今では段々使い減りの感がでてきて、以前のような驚きや有り難味が感じられにくい。前回のレミィと今回の感覚の鋭い牙は、ともに目に見えるような成長が見られず、KISS×200と比べて、「これは良くなった!」という点がなければ、「ここが変わった!」といった点もなかった。結局、レミィも鋭い牙も、KISS×200の残滓というか、余熱のような作品としか感じられないんです。
幸い、鋭い牙にはまだ熱が残っていましたが、このままワンパターンを続けていけば、遅かれ早かれ完全に冷え切ってしまうのは避けられないんで、そろそろ次の一歩を踏み出してもらわないと。キスにこだわった倒錯した世界は残しつつ、アレンジを加えていくか、新たなプラスαのアイディアを付け加えていくか…。とにかく、少しでも何かを変えていかなければ、せっかくの倒錯した世界もマンネリ感が溢れてきて、トラヴュランスさんの二の舞を演じてしまう可能性すらあります。この最悪の事態だけは、絶対に避けていただかなければ。
原画がKISS×200の岩本幸子さんに戻りました。レミィよりは断然マシなので、必然的にレミィより鋭い牙のほうが評価が高くなりましたけど、それでもこの絵で万々歳とは言えない…。絵の好みは千差万別なんで、あまり上手下手とはいいたくないですが、倒錯した平井ワールドを担う絵にしては、この方の絵は大人しすぎるんじゃないかなーと。
WINTERSさんがマンネリの現状を打開する一番手っ取り早い方法は、華のないグラフィックを一新してしまう事なんですがねぇ。ぶっちゃけ、この鋭い牙でも絵がすごく上手な人が手掛けられていたのなら、私はワンパターンだとか、飽きただなんて口が裂けても言いませんでしたよ。 |
バックログがついたのは朗報です。音声のリピートも兼ねているんで、使いやすさはなかなか。でも、スキップが激重だったり、システム良好とまではいえません。 |
汚れた性器を髪の毛で拭く行為があるのも平井シナリオの特徴の一つで、今回も当然それは用意されていましたが、CGによる描写はまたもやなかった。この行為もそろそろCGで表してもらいたいものですね。 |
義理のお姉ちゃんの南畑千鶴。朝晩と怠惰に続く彼女とのエッチは堪らないの一言。これで、宇宙人なんかが話に絡んでこなければ、もっと良かったのに…。KISS×200のように、あくまで現実世界の中での倒錯した空間を表現していた方が、私はエロかったと思いますよ。 |
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