今、日本で最も多く売れているクルマはトヨタ プリウスだが、同じトヨタのアクアも注目されている。発売は2011年12月。約5年を経過しながら、小型&普通車ではプリウスに次ぐ売れ行きだ。コンパクトなボディに直列4気筒1.5Lエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載して、JC08モード燃費は37km/L。コンパクトなボディは低燃費で運転がしやすく、Sグレードの価格は188万7055円と求めやすい。
このアクアに新たな強敵が出現した。日産 ノートe-POWERだ。コンパクトカーのノートに追加されたハイブリッドだが、メカニズムは電気自動車のリーフに似たところがある。インバーターと駆動用モーターは共通で、リーフのリチウムイオン電池を、直列3気筒1.2Lのガソリンエンジンと発電機に置き換えたと考えれば良い。
ボディスタイルは両車ともに5ドアハッチバックだが、アクアは全高が1455mmで、ノートe-POWERの1520mmに比べると65mm低い。ハイブリッド専用車とあって空気抵抗の低減などを重視した。立体駐車場は両車ともに利用しやすい。
ノートe-POWERは全長が4100mmで105mm長く、全幅は同じだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はノートe-POWERが2600mmを確保してアクアを50mm上まわる。
最小回転半径はノートe-POWER・Xが4.9m(14インチタイヤ装着車)、同メダリストが5.2m(15インチ)になる。小回り性能に不満はない。アクアは4.8mで小回りが利くが、16インチをオプション装着すると5.7mになって大幅に悪化するので注意したい。
視界はノートe-POWERが優れている。アクアはサイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたので、斜め後方と真後ろが見にくい。
勝者:ノートe-POWER
ノートe-POWER Xとメダリストの内装は、アクアよりも上質だ。この2グレードにはオートエアコンが装着されてインパネの中央がピアノブラックになり、マニュアルエアコン仕様とは見栄えがかなり違う。
またノートe-POWERはハイブリッドの作動状態を示す専用のカラー液晶ファインビジョンメーターなども備わり、機能性と質感を高めた。
アクアは造形が立体的だが、質感はいまひとつ。デジタルメーターはインパネの最上部に装着されて、この視認性は良い。
ノートはe-POWERを含めて、先ごろハンドルの形状をD型に変更した。この形状は大腿部とハンドルが接近するスポーツカーなどには適するが、ノートではメリットが乏しい。操作した時に違和感が伴う場合もある。
勝者:ノートe-POWER
ノートの特徴は、全高を立体駐車場が使える1550mm以下に抑えながら、広い室内を備えることだ。ホイールベースが2600mmと長いこともあり、大人4名が快適に乗車できる。
e-POWERでは前席の下にリチウムイオン電池を搭載するため、後席に座った乗員のツマ先が前席の下側に収まりにくい。それでも着座位置が適度で、座った時に足が前方へ投げ出されない。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕があるから、4名乗車時でも快適だ。
一方、アクアは天井が低いから着座位置も下がり、運転席は手足を伸ばし気味にクーペのような感覚で座る。その結果、前席のスライド位置が後ろに寄り、後席の足元空間が狭まった。後席に座る乗員の膝先空間は、ノートe-POWERと同じ測り方で握りコブシ1つ半だ。後席は窮屈で5ドアクーペに近い。
シートの座り心地は両車ともに同水準。ボリューム感が少し乏しく、特にノートe-POWERメダリストで選べる合成皮革のシート生地には突っ張り感が伴うが、両車とも価格に見合うレベルには達している。
勝者:ノートe-POWER
前後席ともにノートが勝る。アクアは天井が低めで頭を下げて乗り降りすることになり、着座位置も下がっているから腰の移動量も大きい。その点でノートは、自然な姿勢で乗り降りできる。
勝者:ノートe-POWER
両車ともに荷室の機能はあまり重視していない。後席の背もたれを前に倒した時に、座面が昇降する機能などは備わらず、広げた荷室の床には段差ができる。それでも天井が高い分だけ、荷室はノートe-POWERが少し広い。
勝者:ノートe-POWER
新車価格
139.3万円~228.6万円
新車価格
231.7万円~394.1万円
新車価格
194.8万円~516.1万円