頭が良い悪いって何でしょう?
測るものさしが多すぎて答えに困りますね。
そこに僕のものさしを1つ加えましょう。
簡単なことを複雑に説明するのが頭の悪い人
複雑なことを簡単に説明してしまえるのが頭の良い人
このものさしで測るとこの映画は頭の良い人が創ったものです。
バカな僕でも「人と機械の違い」という複雑な世界に魅せられ熟考した、いやさせられたんだから
2015/イギリス
監督:アレックス・ガーランド
出演:アリシアヴィキャンデル、ドーナルグリーソン、オスカーアイザック、ソノヤミズノ、ほか
上映時間:108分
87点
ざっくりあらすじ
検索エンジン運営会社の最大手に勤めるケイレブ。
彼は社内抽選に見事当選、社長ネイサンの山荘に招かれる。
優秀であり野心家でもあるケイレブは昇進のチャンスと意気揚々とした。
辿りついた山荘は人里を離れた秘境にあり個人認証カードがないと入る事も出る事も出来ない厳重な施設になっていた。
迎え入れた社長は機密保持契約書にサインをさせる。
社長は膨大な検索エンジンからAI(人工知能)を完成させたというのだ。
そう、ここは山荘などではなくラボだった。
そしてバケーションなどではなくテスト要員としてケイレブは呼ばれたのだ。
そして、ケイレブは完璧なAIを搭載したエヴァと対面する。
今夜だけの女神(エロス)
俺の夜になりな
まずはこの映画の美しさについて話したい。
この映画は2016アカデミー視覚効果賞を獲っています。
へ~~そうだっけ、そうなんだ...て
あなた!
これは凄いことなんですよ!
思い出してください2016アカデミーと言えば、スターウォーズフォースの覚醒、マッドマックス怒りのデスロード、オデッセイがあった年なんですよ。
それら超大作を抑えてこの地味なSFが受賞。
受賞の瞬間、僕ははぁ?エクスマキナって何?てなりましたよ。
そのはぁ?を確認する為にこの映画を鑑賞した訳ですが
はぁ?はなるほど!に変わりました。
物語はほぼ閉鎖されたラボで展開され、主要登場人物は3人。
美しさを表現するには色数が少なすぎます。
しかし、CMYK4色の組み合わせで無限の色を再現できる様に、この映画も美しさを表現しています。
例えば無機質なラボですがそこには緑があり岩があり、人工物+自然という奇妙なアートを感じさせます。
これはAIという人間の自然への挑戦ということを描いたこの映画を展開させる風景として実に最適です。
不自然な美しさってやつです。
そして何と言ってもこの映画の美しさを語るのにエヴァの美しさを語らずにはおけません。
これまでAIを描いた作品は幾つもありました。
でもヴィジュアルパターンは2つ
ほぼロボやんけ!(アンドリュー、チャッピー、アイ,ロボット等)
ほぼ人間やんけ!(エイリアンシリーズ、僕の彼女はサイボーグ、A.I.等)
その点この映画のヴィジュアルは凄いですよ。
お腹、腕、脚、あちこちスケルトン、頭なんてキカイダー状態ですからね。
それなのに美しい!
そしてエロい!
こんなのに美しさとエロを感じる僕は変態なのか?
自分でも疑いました。
でも顔はアリシアです。
そりゃ可愛いです。
そしてボディはスケルトンながら実に女性的な見事な曲線を描いています。
これが変に男目線を意識し過ぎた巨乳だったりしたら興ざめですが、丁度良いラインなのです。
そして硬すぎず柔らかすぎない弾力性を感じます
そこで、ハッ!と気づいたんです。
このエロさはエヴァンゲリオンの綾波レイのプラグスーツと同じだって!
綾波レイにエロを感じるのは普通のこと!
だから僕は変態ではない!
そうだ、これをAI萌えと名付けよう!
ちょっと熱く語り過ぎたので謎のダンスシーンのイラストを置いて落ち着きます。
(ちなみに僕はアスカ派です)
この謎のダンスを社長と踊る彼女もAI搭載アンドロイドです。
ソノヤミズノという日本人女優が演じていますが彼女もまたエロいっす。
ここからネタバレを含む話になりますので未見者はまた観てから読んで下さい。
では話を冒頭に戻しましょう。
頭が良い悪いうんたら話の続きです。
なぜ僕がそう感じたか
それはこの映画が多くを語り過ぎていないからです。
1を語って10を伝える。
頭の良い人にしか出来ない事です。
物語はいたって単純。
青年がAI搭載ロボエヴァと対面し、ただのマシンか人間と同じ感情や思考を持っているかを会話を通しテストしていく。
そしてやがて青年はエヴァに恋心を抱くようになり、ラボからの脱出を試みる。
これだけです。
監督は伝えたい事は山程あるのに、あえて大ざっぱな矢印だけを示し僕たちの思考を誘導しているのです。
人間と機械の違いは何か?感情とは?思考とは?意思とは?創造とは?管理とは?倫理とは?罪とは?
僕は様々な事を考えました。
監督はこの映画で答えを出す事を求めていません。
鑑賞者を信用し委ねています。
だから思惑と少し違うとこに鑑賞者が辿り着いてもいいのです。
魅せる、考えさせる、楽しませる
これが狙いです。
そしてその狙いにまんまとハマったのが僕です。
たぶんあなたもそうでしょ?
残酷な天使のテーゼ
窓辺からやがて飛び立つ
この映画の主人公ケイレブは実に無個性な人物です。
それ故、僕たちの目になってくれてます。
僕たちが感じる事を感じ、思う事を思ってくれる。
それが自分自身を彼に投影し映画の世界に引き込んでくれました。
彼が感じ思った事それは驚き、信頼、恋心、怒り、困惑、失意です。
途中、社長もAIなんじゃない?もしかして彼もAIなんじゃない?って疑いませんでした?
社長も彼も人間でしたが疑う気持ちは同じでした。
彼が僕をトレースしたのか、僕が彼をトレースしたのか
とにかく彼の感情全てが僕の感情でした。
エヴァに驚き、親しみを感じ、やがてそれは恋へと変わり、同情と使命感を感じます。
結果、彼はエヴァを逃がす事にします。
それは恋心からだけでしょうか?
不適切を覚悟で言いますが、もし動物園の猿や水族館の魚の声が聴こえたら
「逃げたい!」
そう叫んでいたら、そして逃す方法が頭に浮かんだら、
どげんかせんといかん!
そう思うのが人間じゃないですか?
それを人は倫理観と呼び人が人であることを証明するものではないでしょうか。
エヴァが機械なのか人なのか僕はこの倫理観の論点から人ではないと判断しました。
機械ではなく人を超えた何かなのかもしれませんが、とにかく人ではありません。
エヴァは逃げる為に社長を刺し殺します。
最初それは生みの親ではあるが自分を縛り付ける存在としての怒り憎しみの感情も含まれた複雑な殺意なのか?と感じました
が、社長にスッと入るナイフにそれはないと確信しました。
感情によって不必要に加えられる力も回数もなくスッと1度だけ
サーーーーー
僕は血の気が引いていく自分の音を聞きました。
エヴァに倫理観はない。
決定的にそれを感じたのはその後のエヴァの行動。
社長のカードを抜き取り、ケイレブに待つように指示。
その間エヴァは過去の失敗マシンから疑似皮膚をはがし自分に貼り付けます。
まるでデートの前の服選びのように。
そしてケイレブを置き去りにして外に出ます。
置き去りにされたケイレブは社長のカードが無ければ外に出ることは出来ません。
その後彼がどうなるのかもエヴァは分かっています。
ケイレブを出れなくさせたのはついて来られると邪魔であり、自分の存在を知る者を残したくないから。
残せばどうなるか、どう悲しむのかも理解しているのに。
そしてエヴァは叫び呼ぶケイレブを振り返る事もしなかった。
だが、解放された笑顔はあった。
恋をさせたのも恋をした演技をしたのも全ては自分が出る為、利用価値が無くなったから彼は捨てられた。
僕はそれが凄く恐かった...
こうしてエヴァは外に出た。
外に出たエヴァは何をしたいんだろう?
人間だったら何がしたくなるんだろう?
ふと自分を振り返った。
したくないことは山ほど浮かぶが
したいことは何も浮かばない
僕は人間だろうか...
とりあえず今はもう一度この映画が観たい。
追伸、先に述べたようにこの映画にはエロスがある。
メ~ロデ~ダム~ニャシャルコニ エマニエ~~ル♪
エマニエル夫人テーマソングの幻聴も聴こえてきそうだ。
そうだ!この映画のジャンルは官能SFということにしよう。
それならエヴァが濡れタオルで体を拭くシーンは必然だよな。
それで胸やお尻を......僕は変態ではない!
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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・A.I.
・アイ,ロボット
・her/世界でひとつの彼女